金丸夢斗の交渉権を獲得し喜ぶ中日・井上一樹監督(左端、カメラ・今成 良輔)

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◆2024年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD(24日)

 事前の1位指名公表は明大・宗山を狙う広島の1球団のみ。11球団が手の内を隠す“隠密ドラフト”は、ふたを開けてみれば宗山に5球団、関大・金丸に4球団、青学大・西川に2球団の抽選ラッシュ。一本釣りは愛知工大・中村を指名したヤクルトのみという、スリリングな展開となった。

 例年、公表する理由は競合を避けたい球団が“降りる”ことを期待してなのだが、今年は金丸、宗山と投打の目玉の力量が圧倒的。それゆえ公表のメリットは薄く、11球団は果敢に抽選へと臨んだ。直前の会議では各球団とも、外れ1位の選定に議論を重ねたと聞く。あるスカウトは「2位以下も他球団の出方が読みにくく、予想しにくいドラフトだった」と振り返った。

 12球団が1巡目で、いの一番に指名したのは全て大学生。彼らは高3だった2020年夏、コロナ禍で夏の甲子園が中止になり、絶望に襲われた世代だ。そこから気持ちを切らすことなく大学4年間、野球を続け、この日を迎えたことに拍手を送りたい。プロの夢舞台で躍動し、自らの青春が正解だったと証明してほしい。(編集委員・加藤 弘士)