この記事をまとめると

■「フェロー」はダイハツ初の軽乗用モデルとして1966年に発表された

■デビュー翌年には高性能モデル「SS」が登場した

■2代目のマイナーチェンジ時に車名が「MAXクオーレ」となりフェローは消滅した

ダイハツ初の軽乗用車だった

 オート三輪のミゼットやハイゼットなど、すでに1960年代には軽商用車のジャンルで確固たる地位を築いていたダイハツが、初めて軽の乗用モデルとしてリリースしたのが、1966年9月に発表されたフェローだ。

 宝石をイメージしたという「プリズムカット」と名付けられたボクシーなスタイルをもち、大人4人が乗れるスペースと上質さを兼ね備えた質感の高さもウリとしていた。

 メカニズムはすでにハイゼットで実績のあるFRレイアウトを採用していたが、エンジンは空冷2気筒のハイゼット用ZL型エンジンを水冷化したZM型を新たに採用。水冷化したことによって安定したヒーターの利きを実現したところも乗用モデルとしてのセールスポイントのひとつとなっていた。

 また、足まわりも4輪独立サスペンションを採用し、くせのない操縦性と快適な乗り心地をもち合わせていたこともポイントで、ダイハツ初の乗用モデルとしては好調な販売をマークしたのだった。

 ただ、フェローのデビュー翌年に登場したホンダN360によって軽自動車にもパワーウォーズが勃発し、1968年6月にはツインキャブやエンジンの高圧縮比化などで32馬力までパワーを高めたスポーツモデルの「SS」を追加。

 それとは別に1970年にはフェローピックアップのシャシーにFRP製のバギー風ボディを被せた変わり種モデルのフェローバギィを100台限定で販売するなど、当時からダイハツは遊び心溢れるメーカーとなっていた。

 しかし、結局パワーウォーズではN360の後塵を拝した形となったフェローは、1970年4月に2代目へとフルモデルチェンジを果たし、車名もフェローMAXへと進化。駆動方式もFRからFFへと大きく方向転換する。

 先代でもスポーツモデルとして存在していた「SS」は、1970年7月に追加となり、最高出力は360ccながら史上最強スペックとなる40馬力を発生。さらに、翌1971年8月には2ドアハードトップモデルも追加されると、最上級グレードには全輪ディスクブレーキにラジアルタイヤ、レザートップと普通車にも匹敵するような上級装備を多く備えていた。

 その後はオイルショックや排出ガス規制の強化などの影響もあり、ツインキャブモデルが廃止になるなど高性能化は下火に。1977年のマイナーチェンジのタイミングでボディサイズを新規格サイズに拡幅し、車名をMAXクオーレとしてフェローの名前は消滅することとなったのだった。