東京のうまい「町中華のラーメン」ベスト3店…スープ絶品、創業90年《浅草・下北沢・学芸大学》覆面調査で大発見
先端のラーメンもいいけれど、結局行き着くのは昔から親しまる老舗の味。
そこには美味しさだけじゃない、心惹かれる何かがある…。ということで、家族で守る歴史の味、常連の声で生まれた味などなどの名店を覆面調査隊が実食レポートします。
浅草「鳳凰軒」
愛し愛されて87年、普通に店を続けることさえ困難な時代、ここ浅草橋で味を守る家族の物語が奇跡のように紡がれている。重厚な扉を開ければドラマの始まりだ。”看板娘”として常連客に愛される2代目お母さん、長男の3代目、その弟妹が迎えてくれる。
豊富な麺類の中でも定番の「支那ソバ」は歴史を伝える一杯だろう。聞けば初代の頃から自家製麺。現在は小麦に詳しい元パン職人の弟さんが麺の配合を任されており、つるんと弾力ある細ストレート麺は2日ほど生地を寝かせてコシを出すそう。これが鶏ガラベースのクリアなスープと相性抜群で。シンプルな味わいだが、奥の方に芳醇な旨みを感じるのは醤油ダレの隠し味に白ワインを加えるからか。なんて思いつつ頬張る横目にせっせと餃子を仕込む家族の姿が(時々遭遇、ほっこり〜)。思わず加わって手伝いたくなる居心地の良さもこの店の魅力です。
下北沢「一龍」
器の中に黄金のお宝発見! 黄金は黄金でもスープのこと。3行で黄金4回書きました(笑)。強調するのは訳がある。色の正体、それは仕上げに鶏油をたっぷり入れるからでしょと思いきや、鶏ガラから自然に溶け出た脂の色。しかも長時間煮込んでも崩れにくい親鶏じゃないとこの色と味は出ないんだそう。
豚骨のコクも入り、見た目はちょいこってり風だけど食べれば意外とあっさり。爽やかなアクセントの紅ショウガも名脇役だ。実はここ、福井の名店の味がルーツで、下北沢に店を構えたのは約40年前。「味を変えないこと」を先代と約束した2代目が十数年前に跡を継いだ。真摯な仕事で受け継ぐ旨さはまさに町の宝。黄金の宝探しなら下北へ。あ、5回目。
学芸大学「味味」
味な”店主と料理にハマればそこは楽園。何食べる?→ 黄ニラ肉炒めかな → 麻婆豆腐が美味しいから食べてみてヨ→じゃそれ! てな感じ。憎めないキャラが楽しいのなんの。おまけに出てくる料理がどれもまあ驚くほど旨かった。ニララーメンも然り。その風情は常連曰く「緑の絨毯」だ。
風味を生かすためニラは生のまま麺にオン、そこに豚挽肉と溶き卵が入る熱々の鶏ガラスープをジャッ。脂っこくないからスルスルと胃袋へ。「ビタミン豊富で風邪予防になるヨ」。愛情たっぷりに笑う店主は台湾と日本のハーフで、中国や南米などを食べ歩き独自の中華を確立した。小さな厨房から生まれる美味はもはやマジック。もう完全にアナタとアナタの味の虜です。
『おとなの週末』2022年2月号より(本情報は発売当時のものです)
…つづく「東京のうまい「究極の醤油ラーメン」ベスト5店…スープ濃厚、150人が試食した「究極の一杯」を覆面調査隊が《浅草・王子・上大岡・糀谷・尾久》で発見」あまたひしめくラーメン屋のなかから、究極の醤油ラーメンを紹介しています。