豪脚でねじ伏せたブレイディヴェーグ(手前)=撮影・棚橋慶太

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 「府中牝馬S・G2」(14日、東京)

 来年には名称を『アイルランドトロフィー』にリニューアル。メンバー唯一のG1馬ブレイディヴェーグが『府中牝馬S』のラストを飾るにふさわしい走りで、貫禄勝ちを果たした。

 昨年のエリザベス女王杯以来、11カ月ぶりの実戦。序盤は後方10番手で運んだが、ルメールは「休み明けでしたし、気にはしていなかった」と冷静だった。リズム良く4角を回ると、抜群の手応えで大外へ。末脚一閃−。メンバー最速タイの上がり3F32秒8の切れ味を存分に発揮し、G1馬の底力をまざまざと見せつけた。

 鞍上は前日の秋華賞に続いて重賞連勝。「能力はチェルヴィニアと同じぐらいのレベル。(体質的に)たくさんは使えませんが、ポテンシャルは高い」と実力を再認識。鮮やかなV発進を決め、「コンディションが上がれば、トップレベルの走りができると思います」と、さらなる良化を期待した。

 戦況を見守った宮田師は開口一番、「感動しました」と感慨深げだった。春のドバイ遠征を脚部不安で、そして夏の新潟記念を筋肉痛で回避した経緯から「まずは無事に」と祈りながらの復帰戦。最良の結果を得て「結果的に我慢して良かった。本当に素晴らしい馬」と安どの表情を浮かべた。

 今後については「長い休みがあった馬ですし、強い反動が出る可能性もある。しっかりと馬体のチェックをしてから」と明言を避けたが、暮れの香港国際競走に登録するなど、オランダ語で「広い道」というその名の通り、多くの選択肢を持ちながらビッグレースを見据える。帰ってきた女王の今後から目が離せない。