鈴鹿央士(左)と松本穂香

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異色コンビが難事件を解決

 俳優の鈴鹿央士と松本穂香がW主演を務めるフジテレビ系月9ドラマ「嘘解きレトリック」(月曜午後9時)の初回が15分拡大版で放送され、早くも先行きを心配する声が上がっている。初回視聴率は世帯平均7.1%、個人4.1%で7月期の「海のはじまり」のそれぞれ8.0%、4.6%を下回る結果だった。(※以下、ネタバレを含みます)

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 月9は2018年7月期の「絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜」以降、23年4月期の「風間公親―教場0―」まで18作連続で、初回視聴率2ケタをキープしてきたが、同7月期「真夏のシンデレラ」でガクンと下がり以降、6作連続で1ケタ発進となってしまった。

鈴鹿央士(左)と松本穂香

 放送ライターは月9のあるパターンを指摘する。

「『風間公親―教場0―』の主演は木村拓哉だったため初回12.1%と好発進で最終回は10.6%でゴールしました。人気の理由ははやりキムタクが数字を持っていたからでしょう。しかし、これに続く『真夏のシンデレラ』は初回6.9%と大幅に下がってしまいました。主演の森七菜と間宮祥太朗にキムタクほどの大物感がなかったためです。今回の『嘘解きレトリック』も同様で、『海のはじまり』のSnowMan・目黒蓮と有村架純と比べ、鈴鹿央士と松本穂香コンビは月9としては“小粒感”が否めないのです」

「海のはじまり」がモヤモヤ続きだったため、「嘘解きレトリック」のメリハリの良さは清々しいのだが、目黒という旧ジャニーズ事務所の大物の後ではやりづらさもあるだろう。ただ、業界的には今回のキャスティングはまさに教科書通りだという。

「鈴鹿は2021年4月期のTBS系『ドラゴン桜』で鼻持ちならない成績優秀な高校生を演じて存在感を見せました。所属事務所は広瀬すずと同じで、『鈴鹿』の名前は『広瀬すず』に由来しています。すずの姉の広瀬アリスも同じ事務所で月9では4月期の『366日』に主演しています。鈴鹿は『海のはじまり』の制作チームが手掛けた2022年10月期の木曜劇場『silent』で目黒と共演していたのも“流れ”に沿ったもの。一方、松本は『海のはじまり』の有村と同じ事務所でこちらも“事務所行政的”には完璧ですが、“有村架純の妹分”というキャッチフレーズで女優活動を始めているため、二番手感が抜けきりません」(前出の放送ライター)

 主人公は、昭和初期の賑わいを見せる街を舞台に鈍感そうに見えて鋭い観察眼を持つ借金まみれの貧乏探偵・祝左右馬(鈴鹿)と、嘘を聞き分ける奇妙な能力を持つ浦部鹿乃子(松本)の異色コンビ。その2人が「ウソ」と「マコト」が入り交じる難事件を解決していくレトロモダン路地裏探偵活劇となっている。

マンネリ化の懸念も

 初回は、他人のウソが分かってしまう鹿乃子が村で差別を受けて、生まれ故郷の村を去り、空腹で行き倒れた九十九夜町で金欠探偵の祝と出会う。そして、偶然にも2人が協力して殺人事件を解決していくプロセスがコミカルに描かれた。村でひどい差別を受けてきた鹿乃子を、そのまま受け入れる祝の優しさが初回の感動ポイントだ。

 原作は「別冊花とゆめ」(白泉社)に2012年から18年まで連載されていた都戸利津(みやこ・りつ)さんの同名コミック。漫画原作の実写化ドラマを巡っては、23年10月期の日本テレビ系「セクシー田中さん」の原作者・芦原妃名子さん(享年50)が急逝するという事態が起こった。

「『嘘解きレトリック』の初回を見る限り、鹿乃子の母親の描き方に若干の演出が入っているほかは、概ね原作の世界観を踏襲しています。レトロ感あふれるセットは映画『三丁目の夕日』のような懐かしさがあふれていますし、鹿乃子が『おいてけ〜』と唸りながらメザシをめぐって、ネコと対決する屋外でのロケも臨場感がありました」(同)

 それでも、初回視聴率の弱さは気になるところ。テレビ誌編集者は「そもそも昭和を感じさせるレトロな舞台設定自体、月9としては大変な冒険。ネットでは『月9らしくない』の声が飛び交っています。鈴鹿と松本が漫画のキャラとそっくりなのは、原作者を尊重してのことでしょう。ただ、他人のウソを見抜くことができる鹿乃子の能力によって、毎回難事件が解決するというパターンが続くようならマンネリ化は避けられません」と懸念する。

“大コケ”が「マコト」にならなければ良いのだが……。

デイリー新潮編集部