「ものもらい」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説
監修医師:
柿崎 寛子(医師)
三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科
麦粒腫(ものもらい)の概要
麦粒腫(ものもらい)は、まぶたの汗や脂を出す腺に細菌が感染し、まぶたが赤く腫れる病気です。一般的にはものもらいと呼ばれていますが、医学的には外麦粒腫と内麦粒腫に分類されます。外麦粒腫は、まつげの毛根や汗腺が細菌感染を起こした場合に発症し、まぶたの外側に腫れや赤みが見られます。一方、内麦粒腫は、まぶたの裏側にあるマイボーム腺が感染することで発症し、まぶたの内側に腫れや痛みが現れます。症状は基本的に同じですが、内麦粒腫の方が症状が強く出ることが多いです。
この病気の主な原因となる細菌は健康な人の皮膚や鼻、喉などに常在しており、通常は無害です。しかし、抵抗力が低下した場合や目にけがをした際に感染が進行し、炎症が引き起こされます。麦粒腫は比較的一般的な目の感染症であり、適切に治療を行うことで完治できます。
麦粒腫は、目の衛生状態を保つことで予防できます。特に、目をこすらない、手を清潔に保つ、適切にコンタクトレンズを使用することが重要です。また、ストレスや疲労が原因で免疫力が低下することも発症の要因となるため、日常生活での健康管理も大切です。
麦粒腫(ものもらい)の原因
麦粒腫の原因は、主に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの細菌感染によるものです。これらの細菌は日常生活の中でどこにでも存在しており、通常は無害ですが、目にけがをしたり、抵抗力が低下したりすると、これらの細菌がまぶたの汗腺や脂腺に侵入して感染を引き起こします。特に、不適切なコンタクトレンズの使用や清潔を保たないことが感染のリスクを高めます。また、糖尿病などの持病がある人は特に発症しやすいとされています。
以下が主なリスク要因です。
・汚れた手で目をこすること
・不適切なコンタクトレンズの使用
・目の周りの不衛生な状態
・糖尿病や免疫力の低下
これらの細菌がまぶたの腺に侵入すると、急性の化膿性炎症が発生し、腫れや痛みを伴う症状が現れます。感染が広がると、まぶた全体が腫れて痛みが強くなることもあります。
麦粒腫(ものもらい)の前兆や初期症状について
麦粒腫の初期症状としては、まぶたの赤みと腫れが見られ、軽度の痛みやかゆみを伴います。まぶたのゴロゴロする異物感や目やにの増加も初期の兆候です。これらの症状は感染が進行するにつれて悪化し、まぶた全体が赤く腫れて、痛みやかゆみが強くなります。また、充血することもあり、まぶたの腫れがひどくなると、目が開きにくくなることもあります。
患部が化膿し、赤み、腫れ、痛み、かゆみがひどくなることもあります。場合によっては、膿がたまり、腫れた部分が自然に破れて膿が排出されます。膿が出ると、その後は回復に向かうことが多いですが、治療を受けないと再発することもあります。初期段階での治療が遅れると、症状が悪化し、治療期間が長引くことがあります。
これらの症状が現れた場合、 眼科を受診して適切な検査・治療を受けましょう。
麦粒腫(ものもらい)の検査・診断
麦粒腫(ものもらい)の診断は、主に目視検査と患者の症状に基づいて行われます。眼科医は、まぶたの腫れや赤み、痛みなどの症状から診断します。外麦粒腫と内麦粒腫の違いを見極めるために、まぶたの裏側も詳細にチェックされることがあります。まれに、症状が重篤な場合や再発を繰り返す場合には、より詳細な検査が行われることがあります。例えば、細菌培養検査を行い、感染を引き起こしている特定の細菌を特定することがあります。また、眼科医は視力検査や眼圧測定を行うこともあります。
麦粒腫(ものもらい)の治療
麦粒腫の治療は、症状の重さや感染の程度によって異なります。軽度の麦粒腫の場合、目を清潔に保ち、温湿布を1日数回、5分から10分程度貼ることで自然に治ることがあります。しかし、症状が重い場合や痛みが強い場合は、眼科医による治療が必要です。抗生物質の点眼薬や眼軟膏が処方されることが多く、これにより感染を抑え、炎症を軽減します。場合によっては、抗生物質の内服薬が処方されることもあります。また、膿がたまっている場合は、切開して膿を排出させることもあります。再発を繰り返す場合は、免疫力の低下が原因と考えられるため、生活習慣の改善が推奨されます。
重度の症状がある場合や合併症のリスクが高い場合には、さらに治療が必要となることがあります。例えば、局所麻酔を使用して切開し、膿を排出する手術が行われることがあります。この手術は一般的には外来で行われ、短時間で終了します。手術後は、抗生物質の投与が続けられ、再感染の防止が図られます。
麦粒腫(ものもらい)になりやすい人・予防の方法
麦粒腫になりやすい人の特徴として、免疫力が低下している人、糖尿病患者、不適切にコンタクトレンズを使用している人、目を頻繁にこする習慣がある人などが挙げられます。特に、ストレスや睡眠不足、過労が原因で免疫力が低下すると、感染リスクが高まります。アレルギー疾患を持っている人も、免疫力が低下しやすく、麦粒腫になりやすい傾向があります。
以下のポイントに注意して予防しましょう。
・目の清潔を保つ
目を触る前には手を洗う習慣をつけましょう。コンタクトレンズを使用する際には、適切なケアと消毒を行い、使用期限を守ることが大切です。
・健康的な生活習慣
バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を確保し、免疫力を維持することが予防につながります。
・定期的な目のチェック
異常を感じたら早めに眼科医を受診してください。特に、目の不調を感じた場合には、自分で判断せず専門医の診察を受けましょう。
このように予防することで、麦粒腫の発症リスクを減らすことができます。もし症状が出た場合は、早めに専門医の診察を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。
関連する病気
外麦粒腫
内麦粒腫
参考文献
麦粒腫|公益財団法人日本眼科学会