ダルビッシュ有(C)ロイター/USA TODAY Sports

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 ダルビッシュ有(38)と松井裕樹(28)のパドレスが日本時間2日、ブレーブスとのワイルドカードシリーズ第1戦に勝利。6日にスタートするドジャースとの地区シリーズ進出に王手をかけた。

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 ダルは以前から同地区のドジャースに対して特別な感情がある。昨年暮れには、自身の音声配信サービスでこう言っている。

ドジャースの良さはわかっている。だから倒したいですし、いつも燃える」「大谷くんも山本くんも、もしパドレスが契約できるなら日本人で集まってドジャースを倒したいっていうのがあった」「(2人のド軍移籍が決まって)正直、力が抜けた」

 自身もド軍に在籍していたことがあり、走塁を含めて細かいことまできちんとやるから強いと認識している。だからこそ倒し甲斐もあると考えているのだ。

 メジャー通算110勝88敗、ドジャース戦に限れば計15試合で5勝5敗ながら、防御率は2.27と秀逸だ。

 大谷翔平(30)とは9月25日からの首位攻防3連戦の試合前、松井裕樹も交えて15分ほど談笑。自身の音声配信サービスでは、右肘、打撃、日本ハムの本拠地のエスコンフィールドなどについて話したことを明かしたうえで、大谷の印象について「下半身は変わってないけど、上半身、腰回りに肉がついたように見えた。悪い肉じゃなくてね」と話している。

■「細かいことはできない」

 大谷は日本ハムの後輩になる。ダルが2011年オフに日本ハムからポスティングでレンジャーズに移籍。大谷は翌12年のドラフト1位で日本ハムに入団したから入れ違いだ。

 日本ハム時代の大谷とはオフに一緒にトレーニングをやった間柄。大谷が投打で頭角を現し、投手として163キロを連発すると、「バネはすごいけど、ボクみたいに調整して細かいことができるってわけじゃない」と発言。大谷には「おまえを超えるから、超えられないように頑張れ」と伝えたことを明かした。

 大谷は今季、打者専念で「54本塁打−59盗塁」、本塁打王と打点王の2冠を獲得してナ・リーグMVPが確実視されている。

 ダルは今季、その大谷と対戦して5打数1安打、2三振と抑え込んだ。地区シリーズに進出した場合の直接対決に向け、これまで以上に大谷封じに目の色を変えているのは想像に難くない。

 今季は7勝3敗、防御率3.31。5月30日のマーリンズ戦後、股関節痛のため負傷者リスト(IL)入りし、7月7日に家庭の事情で制限リストへ。8月24日、チームに合流するまで約3カ月間離脱していた。

■地区シリーズに照準ピタリ

 6年契約が切れる昨年2月、6年総額約140億円でパドレスと契約を延長。当時36歳。35歳以上で6年以上の長期契約はメジャー史上初。6年目の28年には実に42歳になる。パドレスがダルと異例とも言える長期契約を結んだのは、そのポテンシャルであり野球に取り組む姿勢を評価したからに他ならない。

 にもかかわらず、契約2年目の今季、長期にわたりチームを離れた。「自分の中で複雑な問題」と言い、離脱期間中の年俸(約5億8000万円)も返上した。「家庭の事情」が具体的に何だったのかは明らかになっていないものの、戦列に復帰後は5試合に登板して3勝負けなし、防御率3.55。すべて3点以内に抑えて試合をつくったどころか、9月28日のダイヤモンドバックス戦は中4日でマウンドに上がって勝利投手に。同地区のライバルを下し、チームをワイルドカードでのプレーオフ進出に導いた。

「状態としてはビックリするくらい良いと思いますし、準備はできたかなと思います」と本人。

 年平均23億円超の高給取りながら、長期間、チームを離れただけに思うところがあるのではないか。プレーオフでこれまでの“借り”を返すつもりなのか、自分が驚くほど調子は上がっているようなのだ。

 今回のワイルドカードシリーズは初戦で勝利投手になったキング(29)に続き、2戦目はマスグローブ(31)、3戦目はシース(28)が先発予定。ダルは救援として待機し、6日から始まる地区シリーズに照準を合わせているそうだから、ドジャースも大谷も覚悟した方がいい。

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 ダルと大谷はどちらも天才であるが、両者の「決定的な違い」とはいったい何か。過去の発言や選択を紐解いていくと、意外な実像が見えてくる。

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