生ビールの【生】って何なの!?実はジョッキに入ってるのも瓶も缶もぜ~んぶ「生」なんだと!どゆこと!?
「とりあえず生」という言葉が居酒屋での合言葉のように使われていますが、ジョッキの生ビールだけが生ビールだと思っていませんか?実は、瓶ビールにも缶ビールにも生ビールはあるんです!え、そうなの?って思いますよね。テレビ朝日の「スーパーJチャンネル」で「生ビールの”生”って何?」という特集がありましたので、さっそく生ビールとそうでないビールを飲み比べながら、詳しくレポートしましょう。
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「生ビールの”生”って何?」実際に飲み比べてみた!
暑い夏に限らず、一年中飲まれているビール。「やっぱり生はうまい!」と言いながら、ビアホールや居酒屋で飲み干すビールは確かにおいしいのですが、実は瓶ビールや缶ビールにも生はあるのです。「生」という言葉を見たり聞いたりするとなんとなく「できたて」とか「フレッシュ」という言葉に置き換えてしまいがちですが、サーバーから注がれるから生、瓶や缶だから生ではないということではなく「生」にはちゃんと定義があるのです。
どうせ飲み比べるなら好きなブランドの方が分かりやすいので、キリンラガービールとキリンクラシックラガーを並べてみました。向かって左がキリンラガービール、右がキリンクラシックラガーでどちらも500mlの瓶です。ビールは嗜好品ですので、もし飲み比べをしたいと思ったら自分の好きなブランドにするとよいです。
さて、正面からみても商品名の違いくらいしか分かりませんので、裏のラベルを見てみましょう。まずはキリンラガービールです。
細かい説明はさておき、注目すべきは一番上の表示です。大きい文字で目立つように「キリンラガー〈生〉非熱処理」とあります。ここがポイントです。
続いて、キリンクラシックラガーの裏のラベルも見てみましょう。
キリンラガービールにはあった、「〈生〉非熱処理」の文字がありません。もうお分かりですね。キリンラガービールは生ビールで、キリンクラシックラガーは生ビールではないのです。
ここで次の疑問にぶつかります。同じ瓶ビールなのに、生とそうではないビールがあるのはなぜでしょうか?「製造してから時間が経ってるのに生?」という疑問が湧いてくると思いますが、実は先ほど見たキリンラガービールの裏のラベルにその答えがあります。ラベルの一番上に書いてあった「非熱処理」、これが生か生でないかの違いなんです。
ここでちょっとビールの製法について、簡単に説明します。
ビールは、麦汁にビール酵母などを加えて作ります。ビール酵母は麦汁に含まれている栄養を自分の中に取り込んで炭酸ガスとアルコールに分解するのですが、同時に味や香りの成分も作り出します。この炭酸ガスがビールの泡になり、作り出された成分がビールの味を決めることになります。この働きをアルコール発酵と呼びますが、ビール酵母によって特性が違うため、各メーカーは世界中に数千種類もいるビール酵母の研究を進めているのです。
さて、酵母が重要であることは分かりましたが、酵母は微生物ですので人間の言うことなど聞きません。そのため、放っておくと糖分が無くなるまでアルコール発酵を続けてしまいます。そうなるとビールの味はどんどん変化してしまって、思うようなおいしいビールが作れません。そこで行ったのが、熱を加えて酵母の働きを止める「熱処理」という方法です。
当時は酵母を完全に濾過することができなかったために熱処理を行っていたのですが、その後技術の進歩によって満足のいく濾過が可能になりました。ここから日本のビールは熱処理を行わず濾過によって酵母を取り除く、つまり火を通していない生ビールの時代になるのです。日本酒でも熱処理前を「生酒」、熱処理後を「火入れ」と呼びますので、考え方は同じです。
キリンビールは熱処理ビールにこだわってきたメーカーでしたが、世の中の流行が生ビールになってきたためにそれまで熱処理だったキリンラガービールを熱処理しない生ビールに変更しました。ところが困ったことに、熱処理されたキリンラガービールファンが多かったためにキリンビールの売り上げは落ち込むことになるのです。そしてキリンクラシックラガーは、そんな根強いファンのために2001年に復刻された熱処理のビールなのです。
さて、いよいよ飲み比べです。
左がキリンラガービール、右がキリンクラシックラガー
同じ形状のグラスにできるだけ同じようにビールを注いでみると、なんとなくキリンクラシックラガーの方が色が濃いように見えます。そのせいなのか、香りもキリンクラシックラガーの方が強く感じられ、キリンラガービールはホップの香りが若干控えめです。
キリンラガービールをまず一口飲んでみると、ホップの苦みがすっきりしていてそのままどんどん飲めてしまう味です。2020年のリニューアル時に穏やかな苦みのホップの比率を上げていますので、おいしい苦みがちゃんと感じられます。これは、ホップの苦みにこだわっているキリンビールらしいビールの味です。
続いて泡が無くならないうちにキリンクラシックラガーを飲んでみると、キリンラガービールよりも苦みを感じます。苦みと言っても嫌な苦みではなく、ホップの味がだんだんと効いてくるような後味のよい苦みです。その分苦みのインパクトやコクはキリンクラシックラガーの方が強いのに、味は滑らかさを感じます。これは処理方法の違いと、アルコール度数がキリンラガービールが5.0%なのに対してキリンクラシックラガーが4.5%と若干ですが弱いことが影響しているように思います。
あくまでわたしの個人的な感想ですが、比較的爽やかに飲めるキリンラガービールは、一杯目にゴクゴクと喉を潤すのによく、キリンクラシックラガーは落ち着いてから料理と一緒に楽しむのがよいように思います。もちろんどちらもキリンビールらしい厚みのある味ですが、苦みを楽しみたい方はキリンクラシックラガーの方が楽しく飲めるような気がします。
さてさて、生ビールと熱処理ビールでは味にも違いがありましたが、実は瓶ビールと缶ビールでも味が違うのはご存じでしょうか?
キリンラガービールの瓶と缶を並べてみました。もちろんどちらも熱処理はしていませんので「生」という表記があり、容量も500mlで中身も同じビールです。中身が同じなのに味が違う理由は、飲み方にあります。
一般的な話ですので例外はありますが、瓶ビールはグラスに注いで飲み、缶ビールはそのまま口をつけて飲みます。このふたつの決定的な違いは、泡が立つか立たないかです。よくビアホールで提供される生ビールのように液体部分と泡をいいバランスにするには、注ぎ方に気をつけなければいけません。あの泡はホップの成分と二酸化炭素でできているので、ちゃんと泡の層ができていればホップの香りや味が楽しめますが泡の層がないと楽しめません。この点だけでみると瓶ビールの方がおいしいように思いますが、缶ビールも上手にグラスに注げば同じことです。ただ缶ビールは直接口をつけて飲むことが多いため泡が立たず、泡を感じることが少なくなってしまうのです。
また缶に口をつけて飲むのとグラスに注いで飲むもうひとつの違いは、口当たりにあります。もし陶器のカップや茶碗、木の器などがあるようでしたら、同じビールを注いで飲んでみてどう感じるか比較してみてください。口に当たるグラスの薄さや質感で、実は味覚は左右されるのです。ビールでも日本酒でも、うすはりのグラスで飲むと口当たりがよくておいしく感じると言われるのはこのためです。
ちなみに、多くの外国人の間では「とりあえず生」というのは居酒屋で出てくるジョッキの生ビールそのものの名前だと思い込んでいる人が多いそうです。それはそれで、生ビールはインターナショナルなんだなと思います。みなさんももし飲み比べる機会がありましたら、ぜひ試してみてください!
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「生ビールの”生”って何?」実際に飲み比べてみた!
暑い夏に限らず、一年中飲まれているビール。「やっぱり生はうまい!」と言いながら、ビアホールや居酒屋で飲み干すビールは確かにおいしいのですが、実は瓶ビールや缶ビールにも生はあるのです。「生」という言葉を見たり聞いたりするとなんとなく「できたて」とか「フレッシュ」という言葉に置き換えてしまいがちですが、サーバーから注がれるから生、瓶や缶だから生ではないということではなく「生」にはちゃんと定義があるのです。
どうせ飲み比べるなら好きなブランドの方が分かりやすいので、キリンラガービールとキリンクラシックラガーを並べてみました。向かって左がキリンラガービール、右がキリンクラシックラガーでどちらも500mlの瓶です。ビールは嗜好品ですので、もし飲み比べをしたいと思ったら自分の好きなブランドにするとよいです。
さて、正面からみても商品名の違いくらいしか分かりませんので、裏のラベルを見てみましょう。まずはキリンラガービールです。
細かい説明はさておき、注目すべきは一番上の表示です。大きい文字で目立つように「キリンラガー〈生〉非熱処理」とあります。ここがポイントです。
続いて、キリンクラシックラガーの裏のラベルも見てみましょう。
キリンラガービールにはあった、「〈生〉非熱処理」の文字がありません。もうお分かりですね。キリンラガービールは生ビールで、キリンクラシックラガーは生ビールではないのです。
ここで次の疑問にぶつかります。同じ瓶ビールなのに、生とそうではないビールがあるのはなぜでしょうか?「製造してから時間が経ってるのに生?」という疑問が湧いてくると思いますが、実は先ほど見たキリンラガービールの裏のラベルにその答えがあります。ラベルの一番上に書いてあった「非熱処理」、これが生か生でないかの違いなんです。
ここでちょっとビールの製法について、簡単に説明します。
ビールは、麦汁にビール酵母などを加えて作ります。ビール酵母は麦汁に含まれている栄養を自分の中に取り込んで炭酸ガスとアルコールに分解するのですが、同時に味や香りの成分も作り出します。この炭酸ガスがビールの泡になり、作り出された成分がビールの味を決めることになります。この働きをアルコール発酵と呼びますが、ビール酵母によって特性が違うため、各メーカーは世界中に数千種類もいるビール酵母の研究を進めているのです。
さて、酵母が重要であることは分かりましたが、酵母は微生物ですので人間の言うことなど聞きません。そのため、放っておくと糖分が無くなるまでアルコール発酵を続けてしまいます。そうなるとビールの味はどんどん変化してしまって、思うようなおいしいビールが作れません。そこで行ったのが、熱を加えて酵母の働きを止める「熱処理」という方法です。
当時は酵母を完全に濾過することができなかったために熱処理を行っていたのですが、その後技術の進歩によって満足のいく濾過が可能になりました。ここから日本のビールは熱処理を行わず濾過によって酵母を取り除く、つまり火を通していない生ビールの時代になるのです。日本酒でも熱処理前を「生酒」、熱処理後を「火入れ」と呼びますので、考え方は同じです。
キリンビールは熱処理ビールにこだわってきたメーカーでしたが、世の中の流行が生ビールになってきたためにそれまで熱処理だったキリンラガービールを熱処理しない生ビールに変更しました。ところが困ったことに、熱処理されたキリンラガービールファンが多かったためにキリンビールの売り上げは落ち込むことになるのです。そしてキリンクラシックラガーは、そんな根強いファンのために2001年に復刻された熱処理のビールなのです。
さて、いよいよ飲み比べです。
左がキリンラガービール、右がキリンクラシックラガー
同じ形状のグラスにできるだけ同じようにビールを注いでみると、なんとなくキリンクラシックラガーの方が色が濃いように見えます。そのせいなのか、香りもキリンクラシックラガーの方が強く感じられ、キリンラガービールはホップの香りが若干控えめです。
キリンラガービールをまず一口飲んでみると、ホップの苦みがすっきりしていてそのままどんどん飲めてしまう味です。2020年のリニューアル時に穏やかな苦みのホップの比率を上げていますので、おいしい苦みがちゃんと感じられます。これは、ホップの苦みにこだわっているキリンビールらしいビールの味です。
続いて泡が無くならないうちにキリンクラシックラガーを飲んでみると、キリンラガービールよりも苦みを感じます。苦みと言っても嫌な苦みではなく、ホップの味がだんだんと効いてくるような後味のよい苦みです。その分苦みのインパクトやコクはキリンクラシックラガーの方が強いのに、味は滑らかさを感じます。これは処理方法の違いと、アルコール度数がキリンラガービールが5.0%なのに対してキリンクラシックラガーが4.5%と若干ですが弱いことが影響しているように思います。
あくまでわたしの個人的な感想ですが、比較的爽やかに飲めるキリンラガービールは、一杯目にゴクゴクと喉を潤すのによく、キリンクラシックラガーは落ち着いてから料理と一緒に楽しむのがよいように思います。もちろんどちらもキリンビールらしい厚みのある味ですが、苦みを楽しみたい方はキリンクラシックラガーの方が楽しく飲めるような気がします。
さてさて、生ビールと熱処理ビールでは味にも違いがありましたが、実は瓶ビールと缶ビールでも味が違うのはご存じでしょうか?
キリンラガービールの瓶と缶を並べてみました。もちろんどちらも熱処理はしていませんので「生」という表記があり、容量も500mlで中身も同じビールです。中身が同じなのに味が違う理由は、飲み方にあります。
一般的な話ですので例外はありますが、瓶ビールはグラスに注いで飲み、缶ビールはそのまま口をつけて飲みます。このふたつの決定的な違いは、泡が立つか立たないかです。よくビアホールで提供される生ビールのように液体部分と泡をいいバランスにするには、注ぎ方に気をつけなければいけません。あの泡はホップの成分と二酸化炭素でできているので、ちゃんと泡の層ができていればホップの香りや味が楽しめますが泡の層がないと楽しめません。この点だけでみると瓶ビールの方がおいしいように思いますが、缶ビールも上手にグラスに注げば同じことです。ただ缶ビールは直接口をつけて飲むことが多いため泡が立たず、泡を感じることが少なくなってしまうのです。
また缶に口をつけて飲むのとグラスに注いで飲むもうひとつの違いは、口当たりにあります。もし陶器のカップや茶碗、木の器などがあるようでしたら、同じビールを注いで飲んでみてどう感じるか比較してみてください。口に当たるグラスの薄さや質感で、実は味覚は左右されるのです。ビールでも日本酒でも、うすはりのグラスで飲むと口当たりがよくておいしく感じると言われるのはこのためです。
ちなみに、多くの外国人の間では「とりあえず生」というのは居酒屋で出てくるジョッキの生ビールそのものの名前だと思い込んでいる人が多いそうです。それはそれで、生ビールはインターナショナルなんだなと思います。みなさんももし飲み比べる機会がありましたら、ぜひ試してみてください!