「本当に知らなかった」巨人と育成契約を交わしたチェコ人が母国紙に語った“本音”「直接、話す前にオファーしてくれた」
巨人との契約を交わしたフルプ。(C)Getty Images
「僕は自分のキャリアがゆっくりと終わりつつあると感じていた。まさか東京ドームを本拠地とするチームで、野球を続けるとは全く思えなかった」
そう語るのは、9月25日に巨人との育成契約を締結したチェコ代表のマレク・フルプだ。彼は母国紙『iSport』のインタビューで、日本行きに対する“本音”を語った。
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当人が驚くのも無理はないだろう。確かにフルプは23年のワールド・ベースボール・クラシックにチェコ代表として出場し、佐々木朗希から痛烈な二塁打を放つなど存在感を示していた。とはいえ、現況は米独立リーグのレイク・カントリー・ドックハウンズに所属する25歳。日本でプロ野球選手としてのキャリアをスタートさせるとは考えるのは難しい。
だからこそ、巨人からのオファーは青天の霹靂であり、絶対に逃せないチャンスだった。「自分にスカウトがついていることは本当に知らなかった」というフルプだが、育成契約であろうとサインに迷いはなかったという。
「彼らとの最初のミーティングで、僕は『自分をどうやって見つけたのか』を聞いたんだ。そしたら彼らは、WBCで日本代表と対戦した時に、僕がササキから長打を打つのを見たと言っていた。それ以来、監督さんは僕をマークするように指示していたみたいなんだ。彼らは、そこから2年間も気にかけてくれて、直接的に話をする前にオファーしてくれた。タイミングも良かったんだと思う。とても珍しいことだとは思うけど、僕にとっては簡単なプロセスだった」
無論、一軍入りへの道が開けているわけではない。まずは育成枠から支配下登録の契約を勝ち取る必要がある。そこにたどり着くまでの道程には“助っ人”とはいえ、熾烈な競争が待ち受けている。
育成からのスタートについて「1軍のロースターに入るのは難しい。ちょっとした運も必要になるのかもしれない。でも、ジャイアンツが僕に十分すぎるほどの投資をしてくれたという点では、ポジティブに捉えているよ」と語るフルプは、前向きに語る。
「彼らからは日本の野球に慣れることが必要だと言われている。ここの投手は他の国とは違っているんだ。アメリカとは違って、日本の投手は、上下だけでなくて左右に揺さぶりをかけてくる。でもバッターとしてそこに対処が出来たら自信にもなる」
大きな希望を抱き、海を渡るフルプ。欧州球界の原石が日本でどこまで輝くは大いに興味深いところだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]