この記事をまとめると

■イタリア・ミラノで「TRANSPOTEC LOGITEC2024」が開催

■日本では馴染みのないブランドのトラックも展示されていた

■今回は「MAXUS(マクサス)」について詳しく解説

マクサスは上海汽車集団のブランド

 イタリア・ミラノで開催された欧州最大の商用車の見本市、「TRANSPOTEC LOGITEC2024(通称トランスポテック2024)」には、日本で聞いたこともないようなブランドのトラックもお目見えしている。

 ドイツのMANやオランダのDAFはトラック好きなら聞いたことのあるブランドだが、MAXUS(マクサス)なんて初耳、という人も多いのではないだろうか。LEXUSならわかるが、MAXUSとは一体……。

 察しのいい人ならわかるかもしれないが、このマクサスは中国の3大メーカーのひとつである上海汽車集団のブランドだ。上海汽車は1958年に創業された老舗の中国自動車メーカーであり、VWと合弁会社を作って、日産も販売したサンタナを生産販売(現在も継続!)したり、GMとも合弁会社を作ってGM車をライセンス生産した経歴をもっている。

 また、日本ではかつて人気の英国車だった「MG」ブランドも南京汽車ごと買収して取得。いまではおもに東南アジア向けのブランドとして海外展開している。

 MAXUSは2011年に上海汽車が設立したブランドで、LEXUSの知名度、高級感にあやかって名付けられたことは想像に難くない。しかし、このMAXUS、高級車向けのブランドではなく、商用車ブランドなのだから中国っぽいというかなんというか。

 そのMAXUSが「トランスポテック2024」にひっそりとブースを出展していたのだ。そこにはセミボンネット型の商用バンとピックアップトラックが展示されていた。

EVの商用バンやピックアップを展示

 3台の商用バンのうち1台はEVで、ピックアップのT90もEVが用意されている。今回展示されたのもEVモデルだったようだ。

 しかし、欧州でもEVにはさまざまな優遇措置があり、英国ではVAT(付加価値税)が免除される場合もある。そのために設定されたようだが、あれやこれやと無理がある仕様のようだ。

 4WDのような見た目だが、実際には車重を軽くするためRWDとなっていたり、カタログデータでは345kmの巡航距離を誇るようだが、実際にはかなり短くなりそうだ。車重が2.3tもある割には、リヤのベッドにかなりの荷物(最大積載量1t)を載せないとリヤサスが跳ねまくったりするだろうし、乗り心地もよくないなど、あまり評判はよくない。

 とはいえデザインは悪くないので、ディーゼルエンジン仕様はそれなりに売れるのかもしれない。しかし、内装の仕上げなどは日本車とは比べられない(とくに樹脂部品の質感が低いようだ)ので、日本で販売しても売れるかは微妙なところ。

 SUT(SUVのピックアップ版)は一部のマニアに人気だが、それは日本車やアメ車のブランドや品質があってこそ。

 中国で生産されるクルマは日本にも続々と上陸しているが、それは日本の自動車メーカーやエンジニアリング企業が品質を管理しているもののみ。中国メーカーのクルマが日本で通用するようになるには、まだまだ時間がかかりそうだ。