斎藤知事はなぜ親族から絶縁された? 「お年玉を渡したが…」「官僚になって変わってしまった」
辞職、解散をしない場合は失職
19日、兵庫県の斎藤元彦知事に対する不信任決議案が提出され、可決された。斎藤氏には辞職か10日以内の議会解散の選択肢があり、辞職や解散をしない場合は失職することとなるが、そんな中、今回ある親族が心境を語った。すると、意外な事実が判明して……。
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斎藤知事のパワハラやおねだり疑惑を告発した文書が報じられてから、およそ半年がたった。
「告発文書を作成した県職員は、斎藤知事の側近から強引な取り調べを受けるなどした後、今年7月に自ら命を絶ちました。以降、報道は過熱する一方で、日に日に知事への風当たりが強まっていきました。しかし、彼は記者会見や百条委員会などの場で、あらゆる自身の瑕疵(かし)を否定し、かたくなに辞職も拒むという異常な対応を続けてきたのです」(県政担当記者)
県議会は堪忍袋の緒が切れ、今月19日、全会一致で不信任決議案が可決された。斎藤氏には辞職か10日以内の議会解散の選択肢があり、辞職や解散をしない場合は失職することとなる。
騒動の経緯
改めてこれまでの騒動を振り返ろう。
今年3月、パワハラやおねだり体質などを告発する文書が出回ったことに端を発した斎藤知事に関する一連の騒動だが、最大の悲劇は4月に阪神・オリックス優勝パレード担当の元課長が、7月には件の告発文書を作成した元西播磨県民局長が、それぞれ自殺したことだった。
「前者は、斎藤知事の恣意的な指示による資金集めに苦慮していたそうです。後者は、県幹部など斎藤知事の側近たちから告発を握りつぶされそうになり、“死をもって抗議する”と述べた後、自ら命を絶ったとされています」(県政担当記者)
8月23日には百条委員会による職員アンケートの中間報告が公表され、普段から職員を怒鳴りつけていたというパワハラの詳細や、視察先で革ジャンを所望したとされる件など、新たな疑惑が次々に持ち上がったのだ。
部下が計1万円の自腹を切ることに
その後、週刊新潮の取材で明らかになったのが、「とらふぐ事件」である。さる県関係者の話。
この事件の発端は今年2月。青森県知事がリンゴを携えて兵庫県を表敬訪問した際、斎藤知事は兵庫県の特産品「淡路島3年とらふぐ」で返礼したが、これが農林水産部の職員たちの自腹で賄われていた問題である。
農林水産部長は斎藤知事から「淡路島3年とらふぐ」を用意しろと指示されたが、農林水産部では高額な特産品を公費で購入するのは難しく、部下は悩んだ末に、知事直轄の総務部秘書課に相談を持ちかけたという。ところが、突っぱねられてしまったのだ。
結果として、部内の課長以上の職員たちが積み立てていた親睦会費を取り崩す羽目になり、「秘書課から予算の確保を断られ、部内の約20人で計1万円ほどの自腹を切ってしまった」(農林水産部の関係者)という。
「あちらからの一方攻撃」
次々と疑惑が噴出する中、続投の意志を崩さない斎藤氏を身内はどう見ているのだろうか。実の両親はマスコミに取材拒否を貫いている。そこで、ある親族を訪ねた。
――斎藤知事について。
「世間をお騒がせしてしまい、大変申し訳ございませんが、うちは知事選(2021年7月)の1年前からお付き合いをしていないんです」
――トラブルがあったのか。
「そうですね。寝耳に水のようなことがあり、もう一切お付き合いをしておりません。ご近所にも知り合いにも、あの子の親戚だということは伏せています」
関係者の間では、斎藤知事の祖父の遺産を巡って、トラブルがあったといわれている。
――彼が幼い頃はお付き合いはあったのですか。
「はい。小さい頃から応援をしていて、お正月やお盆などの節目ごとに親しく仲良くやってきたのに、なぜ、ということがございまして……」
――トラブルは斎藤知事本人か、彼の両親か、どちらによるものですか。
「両方ですね」
――相続でもめたのですか。
「もめたも何も、あちらからの一方的攻撃。こちらは“ワァッ”という感じです」
変わったのは「社会人になってから」
――おねだり癖について。
「おねだりはされなかったですけど、お年玉は渡していました。非常に恵まれた環境で(斎藤知事は育っていて)、彼にとってはそんな全てが当たり前だったのでしょう」
――だから、今のようになってしまったと。
「そうですね。苦労が足りなかったのでは。他人がどういう気持ちになるとか、いろんなことを経験してから(知事に)なっていればと思うと残念、無念です。優秀だっただけに、もっと倫理観を持っていればね」
――彼はいつ頃から変わったのでしょうか。
「官僚時代ですね、社会人になってから」
「一生関わりたくない」
――今のお気持ちは。
「世の中に顔向けできません、こんな大きなスキャンダルを起こして。言語道断というか、もう一生関わりたくありません」
――知事を辞任すべきでしょうか。
「もちろんです。税金からお給料を頂いているのに、なぜ、こんなに厚顔無恥なのか。恥ずかしいとしか言いようがありません」
身内からも見放され、厳しく批判される斎藤知事。そもそも、政治家になるような人ではなかったのかもしれない。
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「週刊新潮」2024年9月26日号 掲載