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大分県出身で競泳・200メートル平泳ぎの元世界記録保持者、渡辺一平(トヨタ自動車)。パリオリンピック™の激闘を振り返り、今の率直な心境を語ってもらいました。

【写真を見る】競泳・渡辺一平「嫌なことを我慢する職業ではない」 27歳悔いはなし、パリ五輪後の心境語る

大分県津久見市出身の渡辺一平(27)。10代の頃に何度も泳いだ別府市営青山プールに帰ってきたオリンピアンは、高校時代の恩師の変わらぬ声に、柔和な笑顔を見せました。

渡辺一平:
「8月上旬に帰国した後、2日間くらい大分に戻りました。僕のレースのときにパブリックビューイングをしてくださった方々には挨拶ができ、『応援ありがとうございました』という気持ちを伝えることができました」

200メートル平泳ぎ元世界記録保持者の渡辺は、2016年リオ五輪以来、2大会8年ぶりとなるパリ五輪に出場。直前までヨーロッパの各大会で2分7秒台を記録し、好調を維持していましたが、決勝では2分8秒83の6位でレースを終えました。渡辺は当時、レース後のインタビューで次のように答えています。

「水泳って難しすぎ、難しいし奥深い。水泳に関しては玄人のつもりでしたけど、全然赤子でした。まだまだ27歳の僕には全然水泳が分かってないみたいです」

あれから1か月が経ち、改めて振り返ってもらいました。

「水泳に20年ぐらい取り組んでいて、調整や努力の仕方について、自分なりにたくさん経験もしてきました。いろんな引き出しを持ちながらパリオリンピックを迎えた中で、結果としては力及ばず6位という悔しい結果になってしまった。夢の舞台で世界から注目されている状況の中で、自分自身の力を出すというのは非常に難しいなと感じました」

「結果は8年前と同様の6位という結果でしたけど、今回は全く違う6位だと思っている。この数か月間、本当に自分の中で努力して迎えたオリンピックだったので、最高のレースができたと思っています。そういった中で8年前よりは悔いはないですね」

1か月間はゆっくりと過ごして激闘の疲れを癒し、9月10日から練習を再開。9月14日から事前開催される国民スポーツ大会の競泳に大分県選手団として出場するため、大分県別府市で3日間の調整合宿に参加しました。

「僕の中で泳ぎの基本となっているのは、小学生のときの恩師です。ずっと大分県で学び、槍を磨いて鋭くしてきました。今はトヨタに所属していて、愛知県代表として出場することも可能ですけど、やっぱり今までお世話になった大分県で、少しでも大きい背中を見せたい。大分県代表としてできることは精一杯やりたいと思っています」

4年前、東京五輪代表に落選した後も、再始動したのはこのプールから。再びオリンピックの舞台に舞い戻った27歳は、酸いも甘いも知って競技の原点に立ち返っています。

「前回の東京を目指した後とは全然違う気持ちで大分に帰ってきました。アスリートである以上、全て勝ち続けられるわけでもないし、負けている選手の方が多い。今回もめっちゃ前向きに帰ってきたかというとそうではないですけど…」

「一番大切にしていることは水泳を楽しむこと。やりたくないことを無理に頑張っても結果は伸びないと思う。しんどいスポーツですけど、それを自分の中でやりたいと思いながら水泳に取り組んでいます」

「アスリートは、嫌なことを我慢する職業ではなくて、好きな種目で、誰よりもその競技を愛して楽しむ。それがアスリートのやるべきことと思っています。『27歳でも楽しく水泳やってるんだぞ』という姿を見てもらいたいです」