【片岡 亮】「NHK反日発言」、「靖国神社落書き」…度々起こる反日テロの裏にひそむ”怪しい団体”の動き

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反日テロ」が度々起こる

NHKのラジオ国際放送で8月19日、中国籍のスタッフが、「南京大虐殺を忘れるな」、「釣魚島(尖閣諸島)は中国の領土」など、原稿にない反日的な発言をした「放送テロ」が、多くの日本国民を怒らせた。

NHKは9月10日に国際放送担当理事の辞任と、稲葉延雄会長ら役員4人の報酬50%を1ヵ月間、自主返納すると発表したが、これで国民が納得するわけもなく、「NHK解体」や「役員総辞職」を求める声がネット上で広がった。

8月にも中国人ユーチューバーが靖国神社に落書きするなど、訪日中国人への嫌悪も高まるばかりだ。

実際には、日本に対して親近感を持つ中国人のほうが多いのは日本旅行客の多さや日本文化の人気の高まりを見れば分かるのだが、中国政府が反日的な教育をしていたことや、度々起こる「反日テロ」がメディアで大々的に取り上げられることで印象が変わってしまう。

反日扇動を行う怪しい団体

実は、こうしたテロ行為を誘発する反日扇動が、日本国内でも行なわれている。外国人の出入国を管理する出入国在留管理庁、通称・入管の職員が「これを放置しているのはおかしい」と憤っていた。

「各地にある入管に行けば分かるんですが、中国人の来訪者を待ち伏せて反日活動を煽る連中がいるんです。そういうグループは複数あって、ひとつはEDNVという変な冊子を配っています」

入管前では、出入りする外国人に声をかけている人々がいて、在留資格のサポートや、就職の斡旋をするというが、無許可なものまで横行。そのひとつが反日活動グループで、先日は同じ中国人の法輪功(ファールンゴン)の信者と揉めていたという。

法輪功は90年代に7千万人を超える信者を持った気功団体だが、健康法と道徳的教えを組み合わせたもので、その組織力とスピリチュアルな方向性が、中国政府にとって問題視され、99年に非合法化した。「邪教」として信者たちが過激な弾圧を受け、拷問や臓器摘出、殺害されたことが国際社会から非難された。

今年6月もアメリカで法輪功保護法案が可決されたほどだった。

法輪功の熱心な信者たちは、被害を訴える活動の賛同を求めて、入管前で同じ中国人に声をかけたりしているのだが、これに対して監視したり妨害したりする中国人の愛国グループがいるのだという。

職員が見たのは3月、ある入管支部の前だった。

「法輪功の支持を呼びかけていた中年女性に、50代ぐらいの2人の男女が取り囲んで写真を撮り、罵声を浴びせて追い払っていたんです。翌週、その男女のひとり、女性のほうが同じ場所で、行き交う中国人に小冊子を配る活動を始めたんです」

東アジアを中心に活動範囲を広げている

職員が入手した冊子は、EDNVと書かれたパスポートサイズの14ページ。その4文字は、「ENLIGHTENED DOCTRINE OF NATIONAL VICTORY」の略称だと説明されており、直訳すると「国家勝利の啓蒙主義」となる。中国語で書かれた内容は、日本を敵視した文章で埋め尽くされていた。

「我々は偉大なる中華文明の末裔で、先人たちが築き上げた輝かしい歴史の証人だ。しかし、我々の誇り高き民族は、かつて日本によって深い傷を負わされた。日本は我々の祖国を蹂躙し、文化と誇りを奪い去った。その罪は消えることなく、今日も日本は過去の侵略を正当化している」

「我々が今、行動しなければならないのは、祖国と先祖の名誉のためだ。日本の文化や思想が我々の精神を侵食しようとしているが、これを許してはならない」

「この運動は我々の偉大さを守り、日本の影響を排除するために立ち上がる。祖国を愛し、我々の民族の誇りを守り抜こう!日本への正当な怒りを形にし、先頭に立つ者こそ、真の愛国者だ。ともに手を取り、祖国のために戦おう!」

具体的に何をするかは書かれていないが、日本の文化が中国の脅威となるとも書かれており、日本食や日本のアニメなどを楽しむ中国人を「反徒」(反逆者の意味)と呼ぶ始末。

逆に言えば、それだけ日本好きの中国人がたくさんいることを証明しているのだが、訪日中国人たちに、日本嫌悪を呼びかける活動は、それこそ数々のテロを誘発しかねないものだ。

職員がこの件について直属の上司に報告し、対応を求めたところ、「思想の自由もあるから我々では何もできない」と言われたという。

「上司が言うには、いま入管は密かに中国人の入国者を減らし、ネパールやバングラデシュの人を増やしたりもしているから、ということでした。たしかに最近、入管に出入りする中国人が減った印象はあるんですよ。それが法務省の方針なのか理由は分かりませんし、減ったというデータも持っていないんですけど。

それが事実でも、あんな反日活動家を野放しにはできないでしょう。入管で働いてきて、害のない中国人のほうが圧倒的に多いのは見てきていますが、変な活動家に洗脳される人がいたら、また何か事件が起きますよ」

9月上旬、入管支局前で、その冊子を配っている30代ぐらいの女性に声をかけたが、日本語が通じず、こちらが日本人記者と分かると、中国語で何か言って半笑いで立ち去った。しばらく声を掛け直したが、話に応じてはもらえなかった。

持っていた紙袋に小冊子が詰まっている様子もあった。長期滞在している中国人ではなさそうだが、一見して活動家などには見えない普通の女性だった。

前出の職員は、ほかにも反日活動を呼びかけるグループを複数目撃しており、「愛中共振」や「紅星天后盟」などを名乗って中国人と見られる人にビラを配っていたという。

香港出身の中国人フリーライターに聞いたところ、「中国では愛国志向だからといって政治活動が野放しされるわけでもなく、印刷物で勧誘するアナログな活動家は、グレート・ファイアウォール(政府によるネット検閲)で監視されたくない人が多く、少人数でゲリラ的な行動を続ける傾向があり、台湾や韓国でも見かける」と話していた。

こうした活動のせいでテロ行為が起きたとは断言できないが、ライターは「悪影響しかないので、中国でやっても制止されるような活動」だという。

早いうちに規制されることが望まれる。

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