テキサス大学オースティン校とその他複数の大学の研究者が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のあらゆる変異株および関連ウイルスに効果的を発揮できる可能性のある抗体「SC27」を発見したと報告しています。

Hybrid immunity to SARS-CoV-2 arises from serological recall of IgG antibodies distinctly imprinted by infection or vaccination - ScienceDirect

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666379124003823



An antibody discovered at UT Austin could protect against all COVID variants | TPR

https://www.tpr.org/bioscience-medicine/2024-09-05/an-antibody-discovered-at-ut-austin-could-protect-against-all-covid-variants

研究チームは「SC27」と呼ばれる抗体がどのように機能するかに焦点を当てた新しい研究を、臨床生物医学科学の最先端の研究を掲載するオープンアクセスジャーナルであるCell Reports Medicineで発表しました。論文を発表したテキサス大学オースティン校の研究グループは、新型コロナウイルス向けのmRNAワクチン開発などで貢献した人物です。

研究では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染したオースティン市民の血液を採取し、COVID-19に感染した人が体内で生成した抗体を分析しています。分析の結果、ひとりの患者の体内で「SC27」という抗体を発見。研究チームはこのSC27の分子配列を特定することに成功しており、これを複製してCOVID-19の治療に使用することができるようになったとアピールしています。



プロジェクトのリーダーでありテキサス大学オースティン校の博士課程卒業生でもあるウィル・フォス氏は、「この研究の目標のひとつは急速に変異するウイルスに対して幅広い防御力を持つ抗体を生成し、免疫反応を生み出すことができる万能ワクチンの開発に取り組むことです」と語りました。

他の抗体と同様に、SC27はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質(ウイルスが人体の細胞に付着するためのもの)と呼ばれる部分に結合することで機能します。

通常、スパイクタンパク質はSARS-CoV-2の変異株毎に異なる形状をしているため、既存のワクチンやその他の治療法が効かないことがあります。実際、初期の新型コロナウイルスワクチンが、後に登場した変異株では効果を発揮しなくなった事例もあります。



しかし、SC27はSARS-CoV-2の変異株毎に異なるスパイクタンパク質の違いを認識する能力を有しているため、あらゆる変異株に対して効果を発揮する万能ワクチンの開発につながる可能性があります。フォス氏は「SC27は最新の変異株さえも強力に中和する驚くべき能力を有しているため、この空白を埋めることができます」と語りました。