by Alisdare Hickson

古くからイスラエルとパレスチナの両方に使われ、2023年から始まったパレスチナ・イスラエル戦争においては親パレスチナによるパレスチナ解放運動の文脈で使われるフレーズ「川から海まで」について、Metaが自社のプラットフォームにおける利用についての見解を示しました。

New Decision Highlights Why Standalone Use of “From the River to the Sea” Should Not Lead to Content Removal | Oversight Board

https://www.oversightboard.com/news/new-decision-highlights-why-standalone-use-of-from-the-river-to-the-sea-should-not-lead-to-content-removal/

From the River to the Sea Bundle | Transparency Center

https://transparency.meta.com/en-gb/oversight/oversight-board-cases/from-the-river-to-the-sea-bundle/

Meta shouldn’t remove ‘from the river to the sea’ as hate speech, says Oversight Board - The Verge

https://www.theverge.com/2024/9/4/24235675/meta-oversight-board-river-to-the-sea-hate-speech-decision

「川から海まで」とは「ヨルダン川から地中海まで」という意味であり、パレスチナとイスラエルの両方によって、これらの地域が1つの国家で構成されるべきであるなどの意味で使用されてきました。

中東・カタールに拠点を置くニュースメディアのアルジャジーラによれば、「川から海まで」というフレーズにはさまざまな解釈があり、2023年パレスチナ・イスラエル戦争においては、複数のデモで「パレスチナは川から海まで自由になる」という文脈で使われている様子が見られるとのことです。一方で、一部の親イスラエル活動家はこの表現を「反ユダヤ主義的」などと見なしています。

Xを所有するイーロン・マスク氏は、「『川から海まで』といったフレーズは必然的に大量虐殺を暗示する」との見解を示していました。





Metaでは「川から海まで」というフレーズが用いられた投稿のうち3件が審議対象となっており、Metaのプラットフォームにおけるコンテンツの検閲を監督する「監督委員会」を通じて、これらの投稿がどのように解釈されるのかが議論されていました。

これについて委員会は「3件の投稿すべてにおいて暴力や排除を呼びかけるものは存在しない」と結論づけ、結論を公表すると共に「川から海まで」というフレーズについての見解を示し、暴力を呼びかけるような文脈で使われない限り、検閲は行わないことを明らかにしました。

Metaは「委員会の大多数はこのフレーズに複数の意味があると認識しています。反ユダヤ主義とイスラエルを暴力で排除しようとするフレーズだと解釈する人もいますが、パレスチナ人の団結、平等、戦争の終結を求める呼びかけとしてもよく使われます。この事実を考慮すると、単なるフレーズの使用が、特定のグループの排除を主張したり、武装組織ハマスを支持したりするものとして理解することはできません。複数の意味があるため、このフレーズを全面的に禁止したり、禁止するようなルールを策定したりすると、政治的言論を妨げることになります」と述べました。

一方で、委員会の少数派は「ハマスや2023年10月7日の攻撃を支持しないという明確な主張がない限り、このフレーズはハマスを称賛するものであると仮定するべき」との意見を述べているとのことです。