朝早くから教員が補習をおこなう朝課外(画像はイメージ)

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 【最近気になる注目ワード・58】朝課外、という文化をご存じだろうか。九州地方の高校には、“1限目”の前に“0限目”が存在する。長年根付いたこの独自の文化が今、転機を迎えつつあり、朝課外制度の存続を検討する高校が増えている。その背景にはどういった問題点があるのだろうか。

●九州地方の独自文化「朝課外」



 「朝課外」は1限目の前に“0限目”として授業をおこなう文化。自習などではなく、しっかりと教員も登校してきて、教壇に立って補習をおこなうという高校が多いようだ。

 週4〜5日とほぼ毎日実施している高校が多く、生徒の参加は任意とされている。しかしネット上の声を見ると、九州の高校の卒業生からは「実態は半強制だったよね」「朝課外の参加は希望制なのに、先生から『学力が下がっているのに朝課外に出なくていいのか』と親に連絡が入った」などの声があがっている。

 もちろん朝課外にメリットを感じている生徒もいる。「塾に行く金銭的・時間的余裕がないためすごく助かった」「受験対策に役立ったし、勉強時間の確保につながった」など、経済的格差を埋める手段になること、参加すれば勉強時間を捻出できることをメリットとして挙げていた。しかしデメリットも多いようだ。

 0限目の開始時刻は、7時40分からという高校が多い。したがって通学のための交通機関の都合や身支度のために、大半の生徒が朝5時台に起床するという。

 もちろん親も起きて朝食や弁当などを作らなければならない。なんと「朝課外の前に部活の朝練があった」という高校も。教員も朝課外の手当はあるとはいえ、それぞれ家庭がある。教員や生徒、親の負担はかなり大きい。

 令和の現代では、生徒や家庭の負担減、教員の働き方改革の一環から「朝課外」反対派の意見の方が多いようだ。またタブレット学習の定着などで、場所を選ばない学習方法の選択肢が広がったこともあり、朝課外制度を廃止したり、廃止を検討する高校が増えている。

 すでに熊本県では「それぞれの学校が朝課外制度存続の判断をするのは難しい」と、2023年度から熊本県教育委員会が県内全ての高校の朝課外を廃止した。

 地方によって独自の文化はあるが、学校の開始時間に大きな差があるというのはとても興味深い。少なくとも朝課外を受けていれば、早寝早起きの習慣はしっかりと身に付きそうだ。(フリーライター・井原亘)

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■Profile

井原亘

元PR会社社員の30代男性。現在は流行のモノや現象を追いかけるフリーライターとして活動中。ネットサーフィンとSNS巡回が大好きで、暇さえあればスマホをチェックしている