この紙に尿をかけると、「カラダの本音」がわかります
前日食べたものがそのまま影響する。身体って、まさにユニット。
大塚製薬から、栄養モニタリングサービス「vivoo（ビブー）」が発表されました。「vivoo」はサンフランシスコのビボセンス社が展開しているサービスで、日本での展開は大塚製薬からとなります。
この「vivoo」は、いわばデジタル尿検査ともいえるシステム。専用の試験紙（ストリップ）とアプリを活用することで、従来では1週間ほどかかった採尿による健康調査が、たったの90秒で済んでしまうというものです。まさに爆速！
6つの項目が測定可能
「vivoo」はすでに100カ国以上で展開しており、総ユーザー数は25万人ほど。アプリを使うことで以下の6つの項目が測定できます。
・水分レベル
・食塩摂取量
・肉／野菜、バランス（動物性 or 植物性に偏っているかがわかる）
・ビタミンC
・骨の健康にかかわるミネラル
・酸化ストレス（体内で発生する活性酸素とそれらを除去する抗酸化物質のバランスがわかる）
例として、採尿前日にラーメンのスープを完飲した場合、食塩摂取量が大幅に高く測定されたそうです。前日の食事による影響がしっかり現れているわけですね。
毎日測定するというより、週に一回同じタイミング（起床して最初の尿など）でテストをすることで、週ごとの変化を確認するのがオススメとのこと。「今週は食べすぎたな」といった振り返りのきっかけになって良さげです。
また、アプリ内では測定結果に応じたアドバイスも得られます。このアドバイスは日本スポーツ栄養協会監修で、カラダの状況を調査することで具体的な行動変容につながる良い材料になるでしょう。
ストリップの変化を90秒待つだけ
というわけで、実際に「vivoo」を使ってみましょう。といってもリアルに採尿するわけにはいかないので、用意した溶液をストリップに垂らして、その結果をアプリで読み取っていきます。
溶液をストリップにかけている様子。実際は尿をストリップにかけますが、カラーチャートの部分全体にかかるようにすればOK。「vivoo」は生理中でも利用でき、赤血球が多い最初の尿を避けた中間尿の利用が推奨されています（この手のサービスとしては珍しいそう）。
ここからは時間の勝負。アプリから測定を選ぶと、90秒のカウントダウンが始まります。90秒を大きく超えるとストリップの色が変色してしまい、正しい測定ができないそうです。正確にカウントすべし。
ジャスト90秒くらいのタイミングで、アプリのカメラからストリップを読み取ります。読み取る際は撮影環境によってどうしても色味が変わってしまいますが、そこはユーザーデータや比較学習を駆使して、完全一致なら87％、プラマイ1つのズレを含めるなら99％の精度で正確に読み取ってくれるとのこと。
正しく読み取れれば測定結果が表示されます。医療レベルの詳細な数値が得られるわけではありませんが、尿検査と比べるとかかる時間としては爆速過ぎますね。
アプリでは総合スコアをはじめ、上述の6つの測定項目を詳細に確認できます。コラム的な読み物も充実していて、「あすけん」のようなヘルスケアアプリといった感じです。
ちなみに今回のテスト溶液は3種類用意しており、それぞれ違う成分が含まれていました。時間が経ったためストリップの色は変色しているものの、3つのストリップそれぞれで違う結果が表示されました。
自分の栄養状態は、誰もが知りたい
大塚製薬によると、ヘルスケアアプリのMAU（月に一度以上利用するユーザー数）はゲームアプリのそれを上回っており、さらに独自調査によると8割以上のユーザーが自分の健康状態に関心があるとのこと。食事や睡眠は何よりも重要ですからね。
自身の健康や食事を見直すきっかけとなる「vivoo」は、世界中のヘルステックとの連携を考えている大塚製薬としても高い関心があったとのこと。井上社長は「身体はユニットであり、一部の部位ではなくトータルヘルスケアで考える」と述べており、個人的にも納得感が高かったです。人は腸で考えるとも言うし、そのトータルを形作る食事の重要性は言わずもがな。
実際、「vivoo」のおかげで面白いデータがわかっています。アメリカでは州ごとに栄養課題が異なっていたり、韓国では美容への関心が高いのかビタミンCの数値に特徴が見られるとのこと。となると、日本の食事は塩分が多いと言われてますが、肌感ではなくデータとして定量的に把握できるかもしれませんね。
どんな食事を摂るべきか、その指標に
「vivoo」は2024年9月2日から国内で展開が始まり、大塚製薬の通販サイト「オオツカ・プラスワン」にてストリップの販売がスタートします（アプリはすでに展開中）。ストリップは4本、8本、12本の単位で発売され、価格は2,600円から。定期便にすると少しお得になります。
自分の体調の把握って、なんとなくの感覚で済ませてる人も少なくないと思うんですよね（僕もそう）。「vivoo」はあくまで簡易的な測定ですが、健康や食事に関心をもつきっかけとして、利用ハードルが低いのが魅力。自分ではバランスの良い食事を心がけているつもりでも、「ビタミンC、全然足りてないじゃん！」みたいな実情がわかるかもしれませんよ。知りたい、そういうのすごく知りたい。
