「娘は女です」世界から相次いだ誹謗中傷に怒りの声 性別騒動に揺れた女子ボクサーの母が訴え「女の子として育ててきた」

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パリ五輪で金メダルを手にし、快哉を叫んだケリフ。(C)Getty Images

 ありとあらゆる論争が巻き起こる参戦、そして金メダル獲得劇だった。パリ五輪のボクシング女子66キロ級で金メダルを獲得したイマネ・ケリフのそれだ。

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 女子57キロ級に出場したリン・ユーチン(台湾)とともに昨年に国際ボクシング協会(IBA)が世界選手権前に実施した性別適格検査で「XY」染色体が見つかったとして不合格となったケリフ。パリ五輪への参加は、ボクシング競技の統括団体である国際オリンピック連盟が「彼女たちは女性として疑う余地はない」と認めたが、安全性や公平性に対する不安の声は相次いだ。

 そして批判も苛烈化。イタリアのジョルジャ・メローニ首相は「男性の遺伝的特徴を持つ選手は、女子競技に参加すべきではないと思います。誰かを差別したいからではなく、女性選手が平等に競技できる権利を守るためです」と声明を発表。さらに米大統領選に挑んでいるドナルド・トランプ氏や、ハリー・ポッターの著者であるJ・K・ローリング氏といった著名人らもケリフを断じる意見をXで投じた。

 無論、擁護をする声がなかったわけではない。しかし、今回の騒動を巡って彼女の心的苦痛がいかなるものであったかは、「どれだけ怖かったか言葉では言い表せない」とする本人の声明を見ても明らかである。

 世界的な誹謗中傷の的となり、家族の受けるショックも計り知れない。英紙『Daily Mail』の取材に応じたケリフの母であるナスリアさんは、愛娘の悲痛な姿について、こう言葉を絞り出している。

「私の子どもは女の子です。私たちが女の子として育ててきたんです。イマネは6歳のときからスポーツが大好きでした。私は何があろうと彼女のそばにいる。国旗を尊んだ彼女は私たちの模範です」

 なお、大会後にケリフは、ネット上で浴びせられた誹謗中傷に対して訴訟を起こした。現地8月14日にはパリ検察庁が捜査を開始し、問題がより鮮明になるのは時間の問題と言えそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]