兵庫県の齋藤元彦知事(本人の公式サイトより)

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「パワハラ的な言動なんて見たことも聞いたこともない」

 兵庫県の齋藤元彦知事(46)のパワハラや“おねだり体質”を告発した渡瀬康英元西播磨県民局長(60)が自死した問題。齋藤知事をよく知る同級生らに取材すると、意外な“素顔”が見えてきて……。

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 齋藤知事は、兵庫県神戸市須磨区の生まれ。実家はケミカルシューズ製造業だった。地元・神戸市立若宮小学校を卒業し、愛媛県松山市の私立愛光学園中学に入学したのだが、自身のHPで〈実は、私立中学入試で第一志望であった六甲中学校(神戸市灘区)を受験したのですが……〉と明かしている。

兵庫県の齋藤元彦知事(本人の公式サイトより)

 親元を離れて、中高6年間は愛光学園の寮で過ごしたという。同級生の一人が当時を振り返る。

「さいちゃん(齋藤氏)とは寮で一緒にご飯を食べたし、お風呂にも入った仲ですけど、いい奴としか言いようがないですよ。頭も良かったし、スポーツも全般的にできました」

 別の同級生も、

「自分は寮生活でも部活のソフトボール部でも一緒に過ごした間柄ですが、彼のパワハラ的な言動なんて見たことも聞いたこともありません。体育祭なんかでも、中心になって活躍していたイメージ。そういう時にクラスをまとめる役割を果たしていましたから、やはりリーダー的な資質があったのでしょう」

 などと褒めそやす。続けて明かすには、

「彼も入っている、愛光学園同級生のグループLINEがあります。今回のことで、そこに応援のメッセージを送ったんですよ。そしたら、彼からみんなに対して“感謝しています”という趣旨の返事が来て。大変な状況なのに律儀な奴だなって思いました」

 意外にも、中高の同級生らから聞こえるのは、好意的な証言ばかりなのだ。

旧自治省系は「組織自体がパワハラの塊」

 東大経済学部卒業後、総務省に入省。一貫して旧自治省畑を歩み、各県府庁の重要ポストに派遣された。

 その古巣の総務省関係者に話を聞くと、先の同級生らと異なった見方を示す。

「プライドが高いタイプだと聞いたことはあります。経歴を見ると、30代中盤にして秘書課秘書専門官になっていますよね。これは結構、ポイントが高い。宮城県の財政課長なども歴任していますし、省内で出世街道を歩んでいたのは間違いない」

 さらに続けて、

「旧自治省系は警察の次に上意下達の縦社会。組織自体がパワハラの塊です。加えて、総務省にカネを握られているものだから、各県庁の職員は中央から派遣されてくる総務官僚に文句を言えない雰囲気がある。若くして地方で重要なポストを務めることで、勘違いしてしまう人がいるんです」

 総務省の独特な土壌が齋藤氏を形作ったと示唆するのだ。

知事の椅子にしがみつく姿勢を崩さない齋藤氏

 さる兵庫県議は齋藤氏をこう評する。

「齋藤知事は“コミュ障”なんですよ。コミュニケーションが取れないからか、知事はすぐに怒りだす。それだけならまだしも、“俺は怒ったことをすぐに忘れるんや、ハハハ”なんて自慢する。周囲はドン引きですよ」

 2021年、大阪府の財政課長時代に自民党と日本維新の会に担がれて県知事選への出馬を決めた時には、すでに今の人格に仕上がっていたのだろう。

 一連の疑惑に関して、齋藤氏は代理人を通じておおむね否定。その上で、

「県政の立て直し、信頼回復に向けて、日々の業務を一つ一つしっかりと遂行していくことが私の責任だと考えています」

 と、知事の椅子にしがみつく姿勢を隠さないのだった――。7月25日発売の「週刊新潮」では、県知事の来歴を併せ、騒動の全容について報じる。

「週刊新潮」2024年8月1日号 掲載