大阪・平野区の由緒ある神社の大門が重要文化財に指定されなかった理由……そこには町の人々の深い“愛”が隠されていた

2024年7月13日 11時30分

©️ABCテレビ

夏のだんじり祭りで知られる大阪・平野区には、由緒ある神社である杭全（くまた）神社がある。鎌倉時代に造られたという大門が立派な神社だが、歴史ある門であるにもかかわらず国の重要文化財に指定されていないのだという。通常であれば重要文化財指定を受けてもおかしくないものが指定されなかった理由とは？　タレントの河合郁人とABCテレビアナウンサー・古川昌希が、その理由に地域の人たちの深い愛を感じた回となった。

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JR平野駅からほど近い場所にある杭全神社は平安時代の初め、平野郷の守護として第一殿が奉祀されたのがその始まり。現在も残る大門は鎌倉時代に造られたもので、非常に歴史的価値は高い。にもかかわらず重要文化財として指定されなかった理由について、古川アナは“火事や戦争が原因で一度消失してしまい、建て替えられたから”という可能性もあるとまずはジャブを入れる。

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ヒントを求めて境内の調査を始めた2人は、特別に非公開である本殿を拝観することが許された。3つの本殿はいずれも重要文化財で、第二本殿と第三本殿は大阪市内でも最も古い建造物の一つで室町時代に建てられた建物だという。それよりも古い、鎌倉時代に造られた大門がなぜ重要文化財ではないのか、謎は深まるばかりだ。

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本殿を案内してくれた禰宜（ねぎ）の藤江寛司さんによると、戦前には大門が国宝になるという話もあったそう。驚きの情報に2人がさらにヒントをねだると、「直接的な理由が残っている。よく見たら気づくかも知れません」と大門をよく見ればわかると大ヒントを口にした。

河合が門柱が石でかさ上げされているという違和感を口にすると、藤江さんも「いいところに気づきましたね」とニッコリ。スタッフもこれ以上はマズいと思ったのか、藤江さんに急遽ストップをかけた。

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大門そのものが石垣で嵩（かさ）上げされていることを確認した河合＆古川アナは、この石垣は鎌倉時代のものでは絶対にないと確信。かさ上げが理由で国宝が取り下げになったのであれば、それを諦めてでも石垣を入れざるを得ない理由があったのだろうと考え、大阪の歴史に詳しい歴史探訪プランナーの森なおみさんに方向性を確認した。

森さんは2人の話を聞き「見つけました？」「素晴らしいじゃないですか」と上々の反応。2人の予想通り大門の高さを石でかさ上げするという手を加えたことが理由で国宝指定が取り消されてしまっていた。大門の高さを上げなければならなかった理由には、“平野ならではの歴史”が関係しているということだった。

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杭全神社から300メートルほどの距離にある国道沿いの大鳥居から大門までの間と周辺に決定的なヒントがあると教えてもらった一行は、“これはもらった”とばかりに手あたり次第に徹底調査を開始。石碑や痕跡が次々と出現するなか、ようやくヒントになりそうなモノを発見した。それは杭全神社の目の前にある公園の中にある「おちゃいけばし」という名の橋の跡だった。

杭全神社のすぐ近くには、かつて環濠があったそう。さらにすぐ近くに平野川も流れていることから、ピンとくるように水害を連想した2人は「水害から大門を守るためにかさ上げしたことで国宝指定できなくなった」と予想を立てた。

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“見逃しなし、完璧、揃えるものはすべて揃った”とこれまでにない自信を見せた河合だったが、森さんの評価はまさかの0点。それも久々の「安直！」つき。「川見て碑見て、ちょっと読めてキャッキャしてすぐ繋げたんでしょ？」とそれまでの流れをズバリ言い当ててみせた。

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森さんに連れられて向かった先は、橋の跡を見つけた公園を出た先にあるだんじり祭りの山車（だし）の倉庫だった。その昔、御神輿に乗った神様にだんじりを見てもらう「御旅所」は大鳥居の前にあったが、明治時代に奈良街道の拡幅工事が行われたことでなくなってしまった。

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そのため、御神輿は神社の境内にとどまり、宮入神事がすべて境内で行われることとなった。すべての神事を境内の中で行うならば、当時の人々はだんじりごと運ぼうと考えたが、大門を通れないだんじりも出てきてしまった。つまり大門はだんじりを通すために高さを上げたのだった。国宝指定の通知が来ていたタイミングだったにもかかわらず“神様にだんじりを見てもらう”方を優先し、かさ上げ工事を断行した当時の人々のだんじり愛に、2人も深く感動していた。