ハイレゾ対応で音質抜群!スマート充電ケースも魅力の「JBL LIVE BEAM 3」レビュー
『LDAC対応 サウンド、ノイキャン、装着感、すべてが進化!完全ワイヤレスイヤホン「JBL LIVE BEAM 3」』で紹介したように、ハーマンインターナショナル株式会社は、ハイレゾワイヤレス対応ハイブリッドノイズキャンセリング搭載の完全ワイヤレスイヤホン「JBL LIVE BEAM 3(ライブビーム 3)」を2024年6月7日(金)より発売した。ハイレゾワイヤレスが気になる人も多いと思うので、実際の使用感をお届けしよう。
JBLは説明の必要はないかもしれないが、スピーカーやプロ用スタジオ機器などで有名なオーディオブランドである。一方で現在はサムスン電子の傘下にあることは知らない人もいるかもしれない。
■JBL LIVE BEAM 3 を紹介しよう
LIVE BEAM 3の特徴は、同社の完全ワイヤレスイヤホンでは初めてハイレゾコーデックに対応したこと、ノイズキャンセリング、ディスプレイ付き充電ケースなどだ。それぞれ順番にみていくが、まずは基本的な仕様からチェックしていこう。
パッケージにはイヤホン本体のほか、充電ケース、合計4サイズのイヤーチップ、充電用USB Type-Cケーブル、その他が同梱されている。
パッケージと内容
イヤホン本体は丸みのあるデザインで、指先で取り扱いしやすい。
充電ケースを開いたところ
イヤホン本体
イヤホン本体
カラーバリエーションは4色。Black、Blue、Silver、Purple。
充電ケースは1.45インチディスプレイ付きで、しかもタッチパネルになっており、後述のようにいくつかの操作が可能で、使いやすい。
充電ケースの充電は付属のUSB Type-Cケーブルで行うが、ワイヤレス充電のQiに対応しているのも便利である。
充電ケース。背面に充電用USBポートがある
充電ケースにはストラップをつけられるように穴が用意されている。ありがたい配慮だ。
ストラップ用の穴
表1. サイズと重さ
■ ハイレゾ対応。さっそく聴いてみよう
LIVE BEAM 3を手持ちのAndroidスマホ「moto g52j 5G II」と接続してさっそく音楽を聴いてみた。スマホには「JBL Headphones アプリ」をインストール、Bluetoothで接続して使う。接続手順も簡単である。「JBL Headphones アプリ」にはイヤホンのフィット感をチェックする機能もあり、これを使ってしっかり準備を整えた。
イヤホンのフィット感をチェックする機能
チェック結果の画面
本機はハイレゾコーデック「LDAC」に対応している。筆者のスマホ「moto g52j 5G II」もLDAC対応なので、アプリから「LDAC」をオンにして、Apple Musicのハイレゾ音源を楽しむことができた。ハイレゾらしい、高域の自然な「のび」と、JBLらしい豊かでパワフルな低域が印象的だ。自然な音質のせいか、長時間の試聴にも疲れず音楽を楽しむことができた。特にロック系、ジャズ系に向いた音作りという印象は、昔からのJBLのイメージそのものと感じた。
■ハイレゾってそもそも何?
簡単に「ハイレゾ」について解説しておこう。
長い間デジタル音源として広く楽しまれてきたCD(Compact Disc)はサンプリング周波数:44.1kHz、量子化ビット数:16bitという情報量を持っている。これは音を1秒間に44100回、1回あたり16ビットのデータとして切り取って保存しているデータ量である。最近ではCDよりも良い音で音楽を楽しみたいというニーズから「ハイレゾ」という仕様が生まれ、対応の音源も広く利用できるようになった。たとえば、Apple MusicやAmazon Music Unlimitedなどでは、ハイレゾのストリーミング音楽を聴くことができる。
たとえば、サンプリング周波数96kHz、32bitならば、サンプリング周波数が約2倍、ビット幅も2倍で、CDの約4倍の情報量となり、高音質のデジタルオーディオになると言うことである。
そう、画像で解像度が上がったのと同じように、情報量が増えると音声も解像度が上がり、高音質になるのである。日本オーディオ協会ではハイレゾを「サンプリング周波数: 96kHz以上、量子化ビット数24bit以上」と定義して、適合する製品に「ハイレゾオーディオロゴ」の使用を許諾している。もちろん本機パッケージにもそのワイヤレス版のロゴ表示がある。
一般社団法人 日本オーディオ協会の「ハイレゾロゴ 定義と運用」のページ
https://www.jas-audio.or.jp/hi-res/definition
■ハイレゾのコーデックLDACって何?
一方、スマホとイヤホンをつなぐBluetoothの仕様も新しくなっている。もともとBluetoothはSBC(Subband Codec)と呼ばれる「コーデック」(圧縮通信技術)を使うデジタル音声データを圧縮して送る技術が標準として使われてきた。しかし、残念ながらSBCはどちらかというと音声通話用として開発されたものであり、音楽再生には力不足である。これに対し最近では、「ハイレゾ」に対応した「LDAC」などのコーデックが普及し始めているのである。
LDACはソニーが開発した技術で、Android端末ではかなりの機種で採用されるようになったが、残念ながらiPhoneでは利用できない点も注意したい。本機はAACにも対応しており、iPhoneユーザーの場合はこのAACコーデックで利用することになる。AACは一般にハイレゾとは呼ばれないが、CDを超える高音質ではある。
AndroidでLDACが使える機種はかなり増え、珍しくはなくなったが、それでも対応していることをよく確認してから本機を購入すべきである。スマホメーカーによっては対応を明示していない場合もあるので、注意が必要だ。筆者が知る限りの対応機種を一覧にまとめたので掲載しておく。
JBL Headphones アプリ「一般」の画面
JBL Headphones アプリ「オーディオ」の画面
アプリ「Bluetooth Codec Changer」の画面。接続先のイヤホンの機種や対応コーデックを確認することができる。サンプリングレート96kHz、32bitと「ハイレゾ」のモードで音楽が再生されていることもわかる。
アプリ「Bluetooth Codec Changer」の画面
表2. LDAC対応スマホの例
■ノイズキャンセリングの性能
本機の特徴2番目はノイズキャンセリングである。他の製品との比較はなかなか難しいが、かなり優秀だ。実際に幹線道路に出て本機のノイズキャンセリング機能を試してみた。ひっきりなしに車が行き交う騒音と、近くの工事現場の音でかなりストレスになりそうな場所でノイズキャンセルのスイッチをオンオフして比較した。
スイッチをオンにすると、「ゴーッ」という街の連続する騒音がすっと消える。工事現場の「ガチャガチャ」した金属音や、近くを通る車の「ゴーッ」という音がかなり抑えられる。全く無音というわけにはいかないが、ストレスの原因になりそうな音が抑えられている感じがしてありがたい。電車や飛行機の中では試してみていないが、これなら間違いなく良い効果が期待できそうだ。
本機にはノイズキャンセル以外にも便利な機能が搭載されている。
たとえば「Personi-Fi」はアプリの指示に従って操作しながら自分の耳を測定してもらい、ユーザ個人の聴覚特性にサウンドを最適化するする機能だ。
実際に試してみたが、なるほど、適用の前後で音が大幅に改善される。
ただ、残念なのはなぜかハイレゾのモードではこの機能が使えないのである。ハイレゾ再生時にはこの機能の必要がないくらいの音質レベルだから不要かもしれないが。
Personi-Fiの補正結果の画面
■ディスプレイ付き充電ケースは超便利
3つ目の特徴は充電ケースだ。JBLはこれを「スマート充電ケース」と呼んでいる。充電ケースに1.45インチのタッチディスプレイが付いていて、ちょっとした操作ができるのだ。いちいちスマホのアプリを触らなくても、ちょっとこれでできるというのは素晴らしいアイデアと思う。
音量の調整もできる。
ノーズキャンセルのオンオフなどが可能。
イコライザーの複数設定から好きなものに切り換えることもできる。
再生中の曲を一時停止したり、再スタートしたり、次の曲、曲の頭、前の曲へ飛ばしたりできる。バッテリー残量もわかる。
■JBL LIVE BEAM 3は買いか?
今回メーカーより本機をお借りして試用しているのだが、返却したくないほど気に入ってしまった。とはいうものの、最近、ワイヤレスイヤホンは複数台購入して持っているのでこれ以上増やしてもしかたないのではあるが。音質は「JBLだよなあ」という感じで、ロックやジャズにぴったりである。イコライザーで調整もできる。LDAC対応もうれしい。
それにスマート充電ケースは使いやすい。この種の製品は皆この方式を真似するべきだと思うくらいである。弱点は、せっかくのハイレゾがiPhoneユーザには使えない点だろう。AACで使うには本機はもったいない。一方、AndroidのLDAC対応機種をお持ちの方にはお薦めできるイヤホンだと思う。この価格なら「買い」だろう。
テクニカルライター 鈴木 啓一
■完全ワイヤレスイヤホン「JBL LIVE BEAM 3」製品情報
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■JBL LIVE BEAM 3 を紹介しよう
LIVE BEAM 3の特徴は、同社の完全ワイヤレスイヤホンでは初めてハイレゾコーデックに対応したこと、ノイズキャンセリング、ディスプレイ付き充電ケースなどだ。それぞれ順番にみていくが、まずは基本的な仕様からチェックしていこう。
パッケージにはイヤホン本体のほか、充電ケース、合計4サイズのイヤーチップ、充電用USB Type-Cケーブル、その他が同梱されている。
パッケージと内容
イヤホン本体は丸みのあるデザインで、指先で取り扱いしやすい。
充電ケースを開いたところ
イヤホン本体
イヤホン本体
カラーバリエーションは4色。Black、Blue、Silver、Purple。
充電ケースは1.45インチディスプレイ付きで、しかもタッチパネルになっており、後述のようにいくつかの操作が可能で、使いやすい。
充電ケースの充電は付属のUSB Type-Cケーブルで行うが、ワイヤレス充電のQiに対応しているのも便利である。
充電ケース。背面に充電用USBポートがある
充電ケースにはストラップをつけられるように穴が用意されている。ありがたい配慮だ。
ストラップ用の穴
表1. サイズと重さ
■ ハイレゾ対応。さっそく聴いてみよう
LIVE BEAM 3を手持ちのAndroidスマホ「moto g52j 5G II」と接続してさっそく音楽を聴いてみた。スマホには「JBL Headphones アプリ」をインストール、Bluetoothで接続して使う。接続手順も簡単である。「JBL Headphones アプリ」にはイヤホンのフィット感をチェックする機能もあり、これを使ってしっかり準備を整えた。
イヤホンのフィット感をチェックする機能
チェック結果の画面
本機はハイレゾコーデック「LDAC」に対応している。筆者のスマホ「moto g52j 5G II」もLDAC対応なので、アプリから「LDAC」をオンにして、Apple Musicのハイレゾ音源を楽しむことができた。ハイレゾらしい、高域の自然な「のび」と、JBLらしい豊かでパワフルな低域が印象的だ。自然な音質のせいか、長時間の試聴にも疲れず音楽を楽しむことができた。特にロック系、ジャズ系に向いた音作りという印象は、昔からのJBLのイメージそのものと感じた。
■ハイレゾってそもそも何?
簡単に「ハイレゾ」について解説しておこう。
長い間デジタル音源として広く楽しまれてきたCD(Compact Disc)はサンプリング周波数:44.1kHz、量子化ビット数:16bitという情報量を持っている。これは音を1秒間に44100回、1回あたり16ビットのデータとして切り取って保存しているデータ量である。最近ではCDよりも良い音で音楽を楽しみたいというニーズから「ハイレゾ」という仕様が生まれ、対応の音源も広く利用できるようになった。たとえば、Apple MusicやAmazon Music Unlimitedなどでは、ハイレゾのストリーミング音楽を聴くことができる。
たとえば、サンプリング周波数96kHz、32bitならば、サンプリング周波数が約2倍、ビット幅も2倍で、CDの約4倍の情報量となり、高音質のデジタルオーディオになると言うことである。
そう、画像で解像度が上がったのと同じように、情報量が増えると音声も解像度が上がり、高音質になるのである。日本オーディオ協会ではハイレゾを「サンプリング周波数: 96kHz以上、量子化ビット数24bit以上」と定義して、適合する製品に「ハイレゾオーディオロゴ」の使用を許諾している。もちろん本機パッケージにもそのワイヤレス版のロゴ表示がある。
一般社団法人 日本オーディオ協会の「ハイレゾロゴ 定義と運用」のページ
https://www.jas-audio.or.jp/hi-res/definition
■ハイレゾのコーデックLDACって何?
一方、スマホとイヤホンをつなぐBluetoothの仕様も新しくなっている。もともとBluetoothはSBC(Subband Codec)と呼ばれる「コーデック」(圧縮通信技術)を使うデジタル音声データを圧縮して送る技術が標準として使われてきた。しかし、残念ながらSBCはどちらかというと音声通話用として開発されたものであり、音楽再生には力不足である。これに対し最近では、「ハイレゾ」に対応した「LDAC」などのコーデックが普及し始めているのである。
LDACはソニーが開発した技術で、Android端末ではかなりの機種で採用されるようになったが、残念ながらiPhoneでは利用できない点も注意したい。本機はAACにも対応しており、iPhoneユーザーの場合はこのAACコーデックで利用することになる。AACは一般にハイレゾとは呼ばれないが、CDを超える高音質ではある。
AndroidでLDACが使える機種はかなり増え、珍しくはなくなったが、それでも対応していることをよく確認してから本機を購入すべきである。スマホメーカーによっては対応を明示していない場合もあるので、注意が必要だ。筆者が知る限りの対応機種を一覧にまとめたので掲載しておく。
JBL Headphones アプリ「一般」の画面
JBL Headphones アプリ「オーディオ」の画面
アプリ「Bluetooth Codec Changer」の画面。接続先のイヤホンの機種や対応コーデックを確認することができる。サンプリングレート96kHz、32bitと「ハイレゾ」のモードで音楽が再生されていることもわかる。
アプリ「Bluetooth Codec Changer」の画面
表2. LDAC対応スマホの例
■ノイズキャンセリングの性能
本機の特徴2番目はノイズキャンセリングである。他の製品との比較はなかなか難しいが、かなり優秀だ。実際に幹線道路に出て本機のノイズキャンセリング機能を試してみた。ひっきりなしに車が行き交う騒音と、近くの工事現場の音でかなりストレスになりそうな場所でノイズキャンセルのスイッチをオンオフして比較した。
スイッチをオンにすると、「ゴーッ」という街の連続する騒音がすっと消える。工事現場の「ガチャガチャ」した金属音や、近くを通る車の「ゴーッ」という音がかなり抑えられる。全く無音というわけにはいかないが、ストレスの原因になりそうな音が抑えられている感じがしてありがたい。電車や飛行機の中では試してみていないが、これなら間違いなく良い効果が期待できそうだ。
本機にはノイズキャンセル以外にも便利な機能が搭載されている。
たとえば「Personi-Fi」はアプリの指示に従って操作しながら自分の耳を測定してもらい、ユーザ個人の聴覚特性にサウンドを最適化するする機能だ。
実際に試してみたが、なるほど、適用の前後で音が大幅に改善される。
ただ、残念なのはなぜかハイレゾのモードではこの機能が使えないのである。ハイレゾ再生時にはこの機能の必要がないくらいの音質レベルだから不要かもしれないが。
Personi-Fiの補正結果の画面
■ディスプレイ付き充電ケースは超便利
3つ目の特徴は充電ケースだ。JBLはこれを「スマート充電ケース」と呼んでいる。充電ケースに1.45インチのタッチディスプレイが付いていて、ちょっとした操作ができるのだ。いちいちスマホのアプリを触らなくても、ちょっとこれでできるというのは素晴らしいアイデアと思う。
音量の調整もできる。
ノーズキャンセルのオンオフなどが可能。
イコライザーの複数設定から好きなものに切り換えることもできる。
再生中の曲を一時停止したり、再スタートしたり、次の曲、曲の頭、前の曲へ飛ばしたりできる。バッテリー残量もわかる。
■JBL LIVE BEAM 3は買いか?
今回メーカーより本機をお借りして試用しているのだが、返却したくないほど気に入ってしまった。とはいうものの、最近、ワイヤレスイヤホンは複数台購入して持っているのでこれ以上増やしてもしかたないのではあるが。音質は「JBLだよなあ」という感じで、ロックやジャズにぴったりである。イコライザーで調整もできる。LDAC対応もうれしい。
それにスマート充電ケースは使いやすい。この種の製品は皆この方式を真似するべきだと思うくらいである。弱点は、せっかくのハイレゾがiPhoneユーザには使えない点だろう。AACで使うには本機はもったいない。一方、AndroidのLDAC対応機種をお持ちの方にはお薦めできるイヤホンだと思う。この価格なら「買い」だろう。
テクニカルライター 鈴木 啓一
■完全ワイヤレスイヤホン「JBL LIVE BEAM 3」製品情報
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