脱北者を対象にした就職に関する催しで、就職先を探す脱北者ら=2023年12月1日、ソウル、太田成美撮影

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 韓国統一省は27日、脱北者らの証言に基づいた北朝鮮の人権に関する報告書を発表した。

 韓国の映像や音楽の視聴などを禁じる「反動思想文化排撃法」に違反したとされる市民が公開処刑される様子を目撃したとする証言があったとしている。

 人権報告書は2017年以降に非公開で作成されてきたが、北朝鮮に人権問題でも圧力をかける尹錫悦(ユンソンニョル)政権が「全世界に北朝鮮住民の人権実態を知らせる」として昨年に初めて公開した。今年は新たに脱北者141人の証言を加え、計約600人以上の証言を分析して作成したという。

 報告書は、北朝鮮は自国民が外部の情報に接触するのは「体制維持の危険になる」として2020年に「反動思想文化排撃法」を制定したと指摘。3人の脱北者が、北朝鮮で同法に違反したとして処刑される事例について証言したという。

 このうちの一人は、北朝鮮で22歳の男性が公開処刑される様子を目撃し、処刑の前に裁判官とみられる人物が「(韓国の)歌70曲と映画3本を視聴して逮捕され、尋問の過程で7人に流布したことが明らかになった」と述べたという。

 同省は、同法の最高刑が死刑であることを裏付ける証言だとしている。