文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中のコラム「水谷加奈の劇場型恋愛体質」。
アナウンス部長・水谷アナが、日々の生活で感じたことを心のままに綴っていく。

―6月28日(金)配信分―

個人経営の小さな居酒屋に入ったところ、厨房から男性の声が聞こえてきました。
「え? 1番テーブルにお客さん入れちゃったの?
だからさ、お酒飲むか飲まないかちゃんと聞いてから通してヨって言ってんじゃん」
見ると店の主人らしき若い男性がイライラした表情で60代くらいのホール担当女性にあたっています。
女性があまり気にしていない様子なので救われますが、感情的に怒りをぶつけているのがわかって感じが悪い。奥まっている厨房の会話が思いっきり客側に聞こえてしまうのもよくない。もうこの店には来ないなあ……と思ってしまいました。

厨房と言えばもう1件。
仕事ぶりが全て我々に見えるオープンキッチンの中華料理店があります。
こちらからすると厨房がテレビの画面?舞台?のようになっているのです。
大きな中華鍋を振って真っ赤な炎が立ち上ると、料理長がこちらを見てニコッとする。ダイナミックでチャーミングな演出です。料理の手元が見えると、次はどんな料理が出てくるのだろうとワクワクします。たまに料理長が若いお弟子さんたちにてきぱきと指導している姿も。
「ダメだよ。こっちから先に持っていかなきゃ」
「あっためておいてねって、さっき言ったよ」
など。でも、怒っている口調ではなく、
【すべてはお客様のため】
という姿勢がわかるので、こちらも全然イヤじゃない。
それにスタッフみんなの
【料理長についていきます】
という気持ちも伝わってきて、見ていて実に気持ち良い。
見せたくない厨房が見えてしまう。のはシラけますが、
あえて厨房を見せてしまう。と、とても楽しい。
飲食店の演出は面白いですね。