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日本テレビ番組「スッキリ」での発言によって名誉を傷つけられたとして、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が同社とジャーナリスト有田芳生氏に対し、約2200万円の損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁(荒谷謙介裁判長)は3月12日、「名誉毀損としての違法性は認められない」と請求を棄却した。

判決理由で荒谷裁判長は「放送は全体を通して、国会議員は統一教会との関係を断つべきという論調を主眼としたもの」と指摘。有田氏の発言も、議論のなかで出てきたもので、▽わずか8秒程度▽発言をことさら強調したわけではない▽字幕が表示されていないーことから、一般視聴者にとって「独立して印象に残るものだったとは言えない」とした。

有田氏は判決後の会見で「40分の番組のなかで発した、たった8秒の発言で、翌日からテレビもラジオも出演はゼロになった。統一教会の狙いは言論封じのスラップ訴訟だったことは明らか。この“門前払い”判決に意味がある。くじけることなく、ひるむことなく発言していく」と述べた。

●裁判所「番組全体の印象を考慮すべき」

有田氏は2022年8月、国会議員と旧統一教会との関係について「やはり、あの霊感商法をやってきた反社会的集団だってのは警察庁ももう認めているわけですから、そういう団体とは今回の問題をきっかけに、一切関係をもたないと、そういうことをあのすっきり言わなきゃだめだと思うんですけどね」などと発言した。

東京地裁は最高裁判決を引用する形で「一般視聴者はテレビ番組を録画などしない限り、情報の意味や内容を十分に検討したり再確認できないため、登場者の発言がどのようなものかは、全体から受ける印象等を総合的に考慮すべき」との前提を示した。

その上で、当該発言は「有田氏の意見の一部として発せられたとの印象を与えるにとどまり、これを超えて、警察庁が原告は霊感商法をやってきた反社会的集団であると認定している事実が存在するとの印象を与えるものとはいえない」と判断した。

有田氏側の弁護団の一人、澤藤大河弁護士は「一部の発言だけを切り取って訴えるような流れに、もっと広く見てくれと訴えてきた。統一教会だけでも多数の名誉毀損訴訟が起こされている中で、裁判所にも新たな流れが出てきているのではないか」と評価した。

●弁護団「名誉毀損の訴えを裁判所が門前払いした」

弁護団長・光前幸一弁護士は「そもそも名誉毀損ではない」「仮に名誉毀損に当たるとしても真実性・真実相当性がある」と主張する二段構えの戦法だったと説明。「裁判所は名誉毀損として認めない、論外だと判断した形だ」と評価した。

民事上の名誉毀損(不法行為、民法709条)訴訟では、公共性や公益性があり、真実であるという証明(真実性)・真実と信じるに相当な理由(真実相当性)があれば、違法性を阻却される。弁護団は、発言自体の真実性を証明すべく1000ページにわたる民事・刑事にわたる判決を提出していた。

教会側は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、控訴を予定しているとした上で「本日の判決結果に付きましては、遺憾に堪えません。判決文をよく精査した上で、今後の対応を検討して参ります」と回答している。

(編集部注:教会側の回答を3月14日に追記しました)