南東部、大邱市の病院敷地内(資料写真)=(聯合ニュース)

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ソウル聯合ニュース】韓国で大学医学部の定員を増員する政府の方針に反発して研修医が医療現場を離脱し始めてから、半月が経過した。政府の警告にもかかわらず研修医が職場に復帰する気配はない。研修医側が退職届の提出から1カ月が過ぎれば「自由の身」になれると主張するのに対し、政府は医療法などを根拠に退職は認められないとしており、こうした隔たりから事態は長期化の様相を見せ始めた。

◇背を向けた研修医 「退職届提出から1カ月後には自由の身」

 医療界では、研修医の不在が当初の予想以上に長引きかねないとの懸念が強まっている。引き返せない状況に至っており、研修医の復帰は期待し難いとの見方も出ている。

 嘉泉大吉病院の厳重植(オム・ジュンシク)教授は7日、「新規インターンの採用もあきらめている。研修中に退職届を提出した研修医もほぼ戻ってきそうにない」とし、「今回発生した空白が、この先3〜4年続くかもしれない」と懸念を示した。

 政府が早い段階から「法的な対応」に言及し強硬発言を重ねたことが、研修医を一層かたくなにさせたとの指摘もある。研修医は実家に経済力があるケースが多い上、自己主張がはっきりした「MZ世代」という点も、復帰を望めない理由の一部に挙げられる。

 ただ、まずは退職届が受理され、自由に他の医療機関に移るか開業できることが前提となる。

 研修医側は民法を根拠に、退職届の提出から1カ月が過ぎれば自動的に退職の効力が発効するものと期待する。民法第660条は、雇用期間の定めがない労働者の場合、退職の意思を表示してから1カ月経過すると効力が発生すると見なす。

◇政府「退職届認められない」 研修医は他の病院に移れず

 一方、政府は研修医の退職届提出自体を認めないとの立場だ。これより先に政府が医療法にのっとった「診療維持命令」を発令したため、退職の効力は発生しないと解釈する。また、研修医には研修期間があるため、民法第660条の「雇用期間の定めがない」労働者には当たらないとも指摘する。

 退職が認定されないとすれば、研修医は相当不利な立場に立たされる。「専攻医(研修医)の研修および資格認定などに関する規定」をみると、研修医は医療機関を開設してはならず、ごく例外的なケースを除けば研修先に指定された病院以外の医療機関で勤務することもできないためだ。

 退職届が受理されていない研修医を病院・医院側が採用した場合は、違法となってしまう。先ごろソウル市医師会が研修医を手助けするために求人・求職の掲示板を開設したが、政府はこれを違法だとくぎを刺した。

 退職届の効力を巡り、法廷での争いが不可避との観測も出ている。行政訴訟を専門とする弁護士は「研修医側は命令を履行しない場合に行政処分が伴うだけに、これを争う行政訴訟を提起できる。執行停止の申し立ても可能」との見方を示した。

 こうした場合、研修医が医療現場に復帰するかどうかは裁判所の判断に委ねられることになる。

 政府は業務開始(復帰)命令に反して復帰しなかったと確認された職場離脱者に対し、免許停止の行政処分の手続きに入った。行政処分の事前通知書を5日から書留郵便で発送している。