ゴルファーのための食事学『パッティングのパフォーマンスは飲み物が決める!?』
トータルゴルフフィットネス 管理栄養士の中島です。
ゴルファーの皆さん、ご自身の得意なクラブはありますか?
1本でも自身を持って得意と言えるクラブがあることが、100切り、さらにはハンデシングルを目指す上で必要と言われます。自身が得意なクラブ、不得意なクラブを知ることは重要です。
では皆さん、パターはどうでしょう。
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皆さんパターに苦手意識はありませんか?
パターはスコアの3〜4割を占めます。14本のクラブの中で、これ程多くの割合を占めるクラブは他にありませんね。
今回は、パターのパフォーマンスアップに繋がる可能性を示す、面白い文献を見つけたのでご紹介します!
『カフェイン+糖質』
研究は、20人の男性ゴルファーを対象に行われました。シミュレーションゴルフを用いて、2mと5mの距離のパッティングパフォーマンスを、各ホール測定します。パッティングに影響すると想定されたのは『スポーツドリンク』です。ラウンド開始前、また6ホールと12ホールで成分の異なるドリンクを摂取し、パターのパフォーマンス、また自己評価を行いました。ドリンクは味を統一し、二重盲検(研究者側も被験者も中身を知らない状況で実施)でランダムに用いられました。
結果、パッティングパフォーマンスと注意力、リラックスに関する自己評価において、効果を示しました。(※1)
対象となったゴルファーは年齢が23±4歳、ハンディキャップ15±4、全て男性、と限られていますが、ある程度経験豊富なゴルファーであれば、パターのパフォーマンス向上が示唆された訳です。
では、効果のあったドリンクはどの様なものだったのでしょうか。
炭水化物6.4g とカフェイン16mg (それぞれ100mlあたり)が入ったものでした。つまり、パターの鍵となるのは炭水化物(糖質)とカフェインだったわけです。
『糖質』
では、炭水化物がなぜパフォーマンスに関わるのでしょう。(実験に使用された炭水化物は糖質を示すことから、ここからは糖質と述べます。)
糖質は『脳のエネルギー源』として必要です。身体には様々な臓器が存在しますが、脳は飛び抜けて多くのエネルギーを消費します。その量はなんと1日で400kcal近くにもなります。チェスや将棋など、常に頭を働かし続ける対局を行う選手は、脳だけで消費するカロリーが数千キロカロリーにも及ぶことも報告されています。
これ程までに重要な糖質ですが、脳で保管しておくことはできません。
糖質を補給して血糖値を上げることが、脳への栄養補給となるのです。
『カフェイン』
集中すると言えば『カフェイン!』が頭に浮かぶ方は多いのではないでしょうか。
カフェインと集中力に関する文献は多く、体重当たり3〜6mg /Kg摂取することで、様々なパフォーマンス(持久力、ジャンプ、有酸素、筋力など)にプラスの効果を与えることが分かっています。またタイミングに関しては、スポーツ開始の60分前が提唱されています。(※2)
注意点として、カフェインは体質的に合う・合わないが大きいことが挙げられます。また利尿作用や覚醒作用を持ち、依存性が高いことも理解しておく必要があります。高濃度のカフェインを利用する際には、注意が必要です。
それぞれの栄養素における目標値には個人差があり、個々の目標や身体の状態によって適正な値は変化します。
引き続き様々な観点から、ゴルファーの為の栄養学についてご紹介させていただきます!
※1:「The effect of a carbohydrate-caffeine sports drink on simulated golf performance」。〔Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism・7 2009 Aug 34(4)〕 ※2:「International society of sports nutrition position stand: caffeine and exercise performance」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2021 Jan 2;18(1):1〕
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[文:トータルゴルフフィットネス - ゴルファーのための会員制フィットネスクラブ]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
中島 遥
管理栄養士 パーソナルトレーナー
長野県出身。神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科にて管理栄養士、栄養教諭の資格を取得。卒業後は小学校で管理栄養士として働きながら、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーの資格を取得。
現在、トータルゴルフフィットネスでは、「食事と運動」両方の面からお客様の望む身体作り、パフォーマンス向上に貢献できるよう努めている。