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米メジャーリーグの大谷翔平選手が全国の小学校に寄贈している「大谷グローブ」をめぐり、大分県別府市の対応が批判されている。14の市立小に行き届く前に市役所に展示したことなどが問題視されて、SNSで「早く子どもたちに届けて」などの声が上がった。

市教育委員会が1月25日、弁護士ドットコムニュースの取材に応じた。他の複数の自治体も展示していたことを確認し、市民から「見たい」という声を受けていたことも踏まえて、教育委員会が展示を決定した。

市には、展示に批判的な電話やメールが計7件届いたという。展示を選んだ他の自治体と決定的に違うのは、別府市長が「私物化」と捉えられかねないSNS投稿をしたことにあったと考えられるという。

●学校「管理に不安」、市民「見たい」→展示を決めた

「大谷グローブ」の手配を担当し、展示を決定した市教委の担当者によると、グローブは1月17日に市教委に届いたという。しかし、学校側に管理の不安があったことから、管理の統一ルールが作られ、1月30日に市役所で開かれる校長定例会まで市が保管することにした。

さらに、市民からも「実物を見たい」という声が届いていたことから、1月29日までの展示を市教委が決定し、長野恭紘市長も了承したという。

ところが、1月18日から展示を始めると、「早く子どもたちに届けるべきだ」「市長が私物化するな」といった趣旨の批判がSNS上で相次いだ。

また、長野市長も1月17日から「キター!!」と開封したグローブを手にした自身の画像を投稿。また、「私が見るだけではもったいない!という事で、市役所正面入口に当分飾ります!」とも記している。

このような内容の投稿が「市長の私物のように感じる」などの批判につながったようで、市と市長に対する批判がX上に殺到した。

この状況を踏まえて、市は予定を前倒しして、1月26日に小学校にグローブを届けることを決めた。

●市教委「他の自治体も展示していたのを確認していましたので…」

市教委の説明では、学校側が「管理に不安」と考えたことが展示のきっかけになったとされる。

しかし、大谷選手が昨年12月25日から順次寄贈することを発表したのは、昨年11月だった。管理について検討する時間は十分にあり、届いてから検討するのは遅くないだろうか。そうした指摘について、市教委の担当者は「反省しております」と述べた。

市教委が展示について問題ないと判断したのは、展示に向けて検討を進めながら、他の自治体でも展示している事例を複数確認したこともあるという。

「市民の方に見てもらいたいという同じ思いで展示している自治体もあると認識したので、展示しました。ただ、ここまで皆様方からご意見が出るのは想定はしておりませんでした」

それでは、同じように市庁舎などでグローブを展示した他の自治体への批判は目立たず、別府市だけが大きく炎上した理由は何か。

「それは問い合わせの批判の内容からしても、市長のSNSの投稿ですか。グローブが市長自身の物のような捉え方をされてしまうというところでしょうか。これは24日の市長の定例会見でもお話されたところではあります。市長もそのような意味で言ったわけではないけど、やはり誤解されるような表現だったのかなとは話していたところです」

SNSでの批判数は検証不可能だとしているが、実際に市役所に届いた問い合わせは電話3件、メール4件の計7件だという。

「7件とも批判的な内容です。市長が自分の物にしているかのように受け取られるような印象のお怒りが多数ありました。あとは、学校に届けるべき物なので早く届けなさいというご意見になります」

7件中、メール2件が県外からの問い合わせとみられるという。