KDDIのデータセンターブランド「Telehouse」が廃熱を地域住宅の暖房に再利用するデータセンターをオープン、環境保護に役立つ可能性
近年ではデータセンターの電力消費量が増加傾向にあることに伴い、廃熱の処理も課題となっています。KDDIのデータセンターブランド「Telehouse」が2023年10月にドイツ・フランクフルトでオープンしたデータセンターでは、施設内で発生する廃熱を近隣の住宅地や他企業に供給しているとのことです。
Telehouse opens fifth Frankfurt data center - DCD
データセンターの廃熱の処理は長年の課題とされており、Microsoftはデータセンターを海中に設置することでサーバーを冷却するシステムを考案しているほか、フィンランドのデータセンターは廃熱を地域暖房システムとして供給しています。また、デンマーク・オーデンセのMetaのデータセンターは、約1万1000世帯分の住宅暖房をまかなえるほどの熱を地域の約10万世帯に供給しています。
さらに、イギリスのデータセンタースタートアップのDeep Greenは、データセンターからの廃熱を公共の温水プールに役立てる取り組みを行っています。
データセンターの廃熱を利用して温水プールを温める試みが進行中、年間数百万円のコスト削減に - GIGAZINE
Telehouseが2023年10月にドイツ・フランクフルトでオープンしたデータセンターは「M棟」と呼ばれ、3階建てで約2200平方メートルの施設です。今回のM棟のオープンに伴い、Telehouseのフランクフルトデータセンターはのべ5万平方メートルの大規模施設にまで成長しました。
Telehouseによると、データセンター内の全施設で発生する廃熱は、近隣の住宅地に住宅暖房という形で供給されるとのこと。データセンターからの廃熱は地域住宅のエネルギー使用量の約60%をまかなうことが可能です。
しかし、Telehouseのデータセンターから近隣住宅に供給される廃熱はわずか2%に過ぎません。残りの廃熱は、フランクフルトに拠点を置く公益事業会社「Mabova」の地域暖房用複合熱供給発電所に回され、その後地域暖房ネットワークに供給されています。
Telehouseドイツ支局のマネージングディレクターであるBéla Waldhauser氏は「お客様の利益のために効率や性能、安全性を高めながら、廃熱を環境保護に役立てることができるということは、私たちにとって非常に重要です。このような取り組みを通して、私たちは地域や全世界の環境に対し、責任を負っています」と述べています。