『イコライザー THE FINAL』で本当に最後なの?アントワーン・フークア監督に聞いてみた
デンゼル・ワシントン主演、伝説の仕事請負人“イコライザー”ことロバート・マッコールさんを描く人気シリーズ最終章『イコライザー THE FINAL』が、ついに2023年10月6日より日本公開だ。
『イコライザー』(2014)そして『イコライザー2』(2018)で描かれた、元CIA凄腕エージェントのマッコールさんの戦いも、遂に本作で最後に。邦題では『THE FINAL』と与えられているが、本当に本作で終わりなのか?THE RIVERでは、シリーズのアントワーン・フークア監督にインタビューで直接聞いた。動画とともにどうぞ。
──『イコライザー』シリーズのファンとして、よりダークでハードになった『イコライザー THE FINAL』を大いに楽しませていただきました。最高でした!
どうもありがとう。
──ところで、本作の原題は『The Equalizer 3』ですが、日本では『イコライザー THE FINNAL』という邦題になっています。ザ・ファイナル。本当に本作はシリーズ最後になるのでしょうか?
はい。これで終わり、最後です。ロバート・マッコールにお別れをしなくてはいけません(笑)。
──それは寂しいです。もう少し見続けていたいところですが……。
わかるよ。僕も寂しくなるね。
Equalizer 3──本作でマッコールは再びスキンヘッドになります。1作目への回帰を思わせるようですね。
そうです。浄化を意味しています。原点回帰というわけです。『イコライザー』1作目も、マッコールが頭を剃るシーンから始まるね。僕はいつも彼のそういうところを見てきた。地に足をつけるような感じ。侍のようなものです。
──マッコールは、普段は優しくてフレンドリーな人物ですが、いざ戦いになると死んだ魚のように虚な目になります。人を殺すことに不感になるよう、自分自身を殺しているように感じられます。デンゼル・ワシントンと作るアクション・シーンでは、感情面をどのように演じてもらっているのですか?
シーンに入る前には、感情面について彼とたくさん話をします。すると彼は、その通りに体現してくれる。だから彼は素晴らしい役者なのです。本作での彼は、よりダークになっている。瞳にも、それが現れています。そして彼は、自分自身と内なる戦いもしているわけです。
Equalizer 3──この物語の素晴らしいところは、マッコールはただイコライズ(物事をあるべき形に正すこと)をしているだけということだと思います。彼は見返りを求めずコミュニティを助けてきましたが、今作ではコミュニティが彼を助け、そしてついに安住の地を見つけます。つまり本作では、人々をイコライズしてきた彼自身にも、ついにイコライズが訪れるということでしょうか?
その通りです。あなたが人に何かを与え、そして人からも施しが得られる、護ってくれるような場所、それこそがホームです。そして、そのホームが見つかるという物語です。
Equalizer 3──過去2作では、ロバート・マッコールの過去などについて、多くは謎に包まれていました。しかし今作では彼の内なる葛藤や弱さが描かれます。彼のパーソナリティや感情、背景について、見せるべきものと見せるべきではないもののバランスを取るのは難しかったですか?
まさに、そこが難しいところです。観客には十分なものを与えたいけれど、“与えすぎ”にはしたくない。だから、まだ謎の要素は残っています。彼が苦しむ様子や、暴力などについて考える様子を少し見せています。同時に、彼が奮い立ち、自分自身に挑むように駆け上がる様子も見せています。
だから僕は、映画全体を通じて、彼が肉体的にメタモルフォーゼ、つまり変化する姿を見てもらいたかった。その境地に辿り着くために、教会の最上階にまで登り詰めなければならない、そういうことを描いています。
The Equalizer 3──前作『イコライザー2』も1作目同様の成功を収めましたが、ややトーンが異なる要素もありました。前作で、観客が好むこと、好まないことについて学んだことがあるとすれば、それを本作で活かすことはありましたか?
いいえ、各作品は分けて見ていますから。これがロバート・マッコールの物語だということ以外は全て新しいシチュエーションだと考え、1作目や2作目から何かを取り入れようとはしていません。ただ、ロバート・マッコールというキャラクター、つまり彼の振る舞いだけは引き継いでいます。それだけです。
だから、1作目や2作目のどんなところが好まれたのか、好まれなかったかというのは、僕は知りません。1作目は「人々」について、2作目は「彼の過去」を描いたと思います。そこで、ロバート・マッコールやその周囲の人々へ集中することが好まれるのかなと。
──そういえば、監督はレビューの類を一切読まないとおっしゃっていましたね。
そうです。読みません。全く読まないようにしています。観客に気に入ってもらえたとして、じゃあ何をするの?って話。だって観客のために作ったわけだし。レビューはレビューです。誰しも意見というものがある。
──各作品を分けて見られているという話ですが、2作目は大作アクション映画のような雰囲気がありました。特にハリケーンの中での戦いや、スローモーションを用いたカーアクションのシーンはそうでした。しかし本作『THE FINAL』は、もっとジリジリと話が進みます。1作目を彷彿とさせます。ペース作りについては、生々しく、リアルな感じを目指したのですか?
そうです。生々しく、リアルで、スローな感じを目指しました。それがマッコールに起きていることだからです。本作のペース作りは、彼が感じているそのままに仕上げました。ジリジリと進みます。彼が階段を降り、通りを歩き……、決して急かさない。だから、彼と共に過ごすような感覚が得られるわけです。
The Equalizer 3──これまで、デンゼル・ワシントンが同じ役を再演することはありませんでしたが、ロバート・マッコール役に限っては3度目を演じられました。彼は、再演にあたって新しい要素を求めたのではないでしょうか。彼がこの役を繰り返し演じたのは何故だと思いますか?
彼はロバート・マッコールというキャラクターが気に入ったのだと思います。掘り下げ甲斐のあるキャラクターです。複雑で、謎に包まれていて、OCD(強迫性障害)で、興味深い男です。だから、この役を演じるのを楽しんでいたんだと思いますね。もっとやれることがあった。だからこそ、本作では最終章として、あのキャラクターとしてやれることを全てやり切ったんです。
Equalizer 3『イコライザー THE FINAL』は2023年10月6日より日本公開。