5,000万円の家を35年ローンで買う場合の月々の返済額を計算してみよう!
5,000万円の家を35年ローンで購入する場合、月々の返済額はいくらになるのでしょうか。この記事では、フルローンや頭金を2割入れた場合など、パターン別の返済シミュレーションを紹介します。
また、住宅ローン破綻のリスクを軽減させる方法や5,000万円の家を購入できる人の特徴についてもあわせて解説します。マイホームの購入を検討中の人はぜひ参考にしてください。
35年ローンで5,000万円の家を買うと月々の返済はいくらになる?
「5,000万円の家を35年ローンで買う」とひとくちに言っても、毎月の返済額や利息(総返済額)は、頭金の有無・返済方式・金利などさまざまな条件に応じて変わります。
支払利息を軽減させたいなら、たとえば「頭金を入れる」「元金均等方式を選択する」といった方法があります。ここでは次の3パターンにわけて返済シミュレーションを紹介します。
・フルローンを組む場合
・頭金を2割入れる場合
・頭金を1割入れ、元金均等方式を選択する場合
それぞれ返済額がいくらになるか見ていきましょう。
フルローンを組む場合
頭金を入れずに物件価格全額を借り入れることを「フルローン」といいます。5,000万円の家をフルローンで買ったときの返済シミュレーションは以下のとおりです。
【シミュレーション条件】
・5,000万円の家を35年のローンで購入
・頭金:なし
・借入額:5,000万円
・返済方式:元利均等方式
・ボーナス払い:なし
・団信:あり(新機構団信)
・金利タイプ:全期間固定
・金利:年1.86%
【シミュレーション結果】
・毎月の返済額:16万2,061円
・総返済額:6,806万5,713円
(参照:ARUHI住宅ローン「借入希望金額から試算 | 住宅ローンシミュレーション」)
上記の条件だと、毎月16万円超の返済が必要です。総返済額は6,800万円超になり、ここで紹介する3パターンのなかで最も金額が大きくなります。
月々の負担を軽減するには、住宅購入の予算を見直し、頭金を入れるか、住宅ローンの金利プランや返済方式を変更する方法などが有効です。
続いて、頭金を入れた場合のシミュレーションを見てみましょう。
頭金を2割入れる場合
以下は、物件価格の2割を頭金として入れた場合のシミュレーションです。
【シミュレーション条件】
・5,000万円の家を35年のローンで購入
・頭金:2割(1,000万円)
・借入額:4,000万円
・返済方式:元利均等方式
・ボーナス払い:なし
・団信:あり(新機構団信)
・金利タイプ:全期間固定
・金利:年1.72%
【シミュレーション結果】
・毎月の返済額:12万6,829円
・総返済額:5,326万8,449円(頭金を含めた総額:6,326万8,449円)
(参照:ARUHI住宅ローン「借入希望金額から試算 | 住宅ローンシミュレーション」)
このケースでは、頭金を2割としたことで金利優遇の対象になり、前述のフルローンのシミュレーションよりも低い金利が適用されています。
毎月の返済額は3万5,000円ほど下がり、総額(総返済額+頭金)で見ると500万円ほど住宅購入にかかる費用が少なくて済むという結果になりました。
頭金を1割入れ、元金均等方式を選択する場合
続いて、頭金を1割として、元金均等方式を選択する場合のシミュレーションを見てみましょう。
【シミュレーション条件】
・5,000万円の家を35年のローンで購入
・頭金:1割(500万円)
・借入額:4,500万円
・返済方式:元金均等方式
・ボーナス払い:なし
・団信:あり(新機構団信)
・金利タイプ:全期間固定
・金利:年1.72%
【シミュレーション結果】
・毎月の返済額:17万1,642円
・総返済額:5,857万7,151円(頭金を含めた総額:6,357万7,151円)
(参照:ARUHI住宅ローン「借入希望金額から試算 | 住宅ローンシミュレーション」)
「元金均等返済」は、月々の返済額が一定ではなく、2年目の時点で16万9,800円、8年目には15万円台、24年目で12万円台…と年数を経るごとに徐々に減っていくのが特徴です。総返済額は、他の条件が同じであれば「元利均等方式(前述の2つのシミュレーションで選択したタイプ)」よりも「元金均等方式」のほうが少なくなります。
このケースでは頭金を1割入れることで、前述の「頭金2割」のシミュレーションと同様の金利優遇の適用を受けています。頭金の金額に500万円の差があっても、総返済額の差は30万円ほどとなっています。
住宅ローン破綻のリスクを軽減させる方法とは?
「本当に5,000万円の家を買っても大丈夫だろうか…。」「途中で住宅ローンの返済ができなくなったらどうしよう?」と不安に感じる人もいるでしょう。
ここからは、住宅ローン返済の負担を少しでも軽くして、住宅ローン破綻のリスクを減らすための方法について紹介します。
返済負担率を25%以下に抑える
住宅ローンを組むときは、返済負担率(返済比率)が25%以下になるように計画するのがおすすめです。返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合を指します。
返済負担率(返済比率)= 年間返済額 ÷ 年収 × 100
この割合が低ければ低いほど、返済が家計を圧迫する可能性が低いためやりくりがしやすく、住宅ローン破綻のリスクを抑えることができます。目安としては25%以下が理想的で、30%を超えると破綻リスクが高まるといわれています。
たとえば、年収500万円の人が月15万円ずつ返済する住宅ローン(年間返済額180万円)を組むと、返済負担率は36%です。これだと仮に住宅ローンの審査に通過したとしても、ふとした拍子に返済困難になってしまいかねない水準といえます。
なお、マイホームを購入するには物件の代金だけでなく固定資産税や購入時の諸費用などの支払いも必要です。そのため、安易に「今の家賃と同程度の返済額だから大丈夫」と考えるのは危険です。
頭金や元金均等方式を検討する
返済の負担度は住宅ローンの組み方によっても変わってきます。先述のシミュレーションのとおり、頭金を入れたり元金均等方式を選択したりすると、総返済額を抑えられます。
しかし、だからといって手持ちの資金をすべて頭金にするのはおすすめできません。病気や事故など不測の事態が起きた際に、すぐに動かせる預貯金がないと対応が難しくなるからです。もしもに備えるための「生活防衛資金」として、半年~1年分の生活費くらいは手元に残しておくとよいでしょう。
繰り上げ返済計画を立てよう
借りる前に返済計画をよく練っておきましょう。毎月の返済額がずっと同じでも、子どもが大学に進学して支出が増えたり退職や役職定年により収入が減ったりする時期に、返済が苦しくなることがあります。
上記のような大幅な支出増や収入減は、10年以上前から予測できるものも少なくありません。あらかじめ想定して返済計画に入れておけば、いざというときに困らずに済むでしょう。返済の負担を抑えるには「繰り上げ返済」も有効です。どこかのタイミングで繰り上げ返済ができるように計画を練ってみましょう。
繰り上げ返済には、毎月の返済額が減る「返済額軽減型」と、毎月の返済額は変わらず返済期間を短くできる「期間短縮型」の2種類があります。支払う利息の総額を減らしたいなら「期間短縮型」を選択し、なるべく早く完済できるようにするのがおすすめです。
1人分の収入で返済できる範囲内でペアローンを組む
共働き家庭の増加に伴い、近年は一つの家に対して夫婦それぞれが住宅ローンを組む「ペアローン」という方法も広がりを見せています。1人分の収入では手が届かないような物件でも、2人分なら手が届く可能性が増すでしょう。
しかし、ペアローンにはデメリットもあります。夫婦どちらかの転職・退職・育児や介護による休職などで収入が減ったり離婚したりした場合には、住宅ローン破綻のリスクが高まってしまうのです。そのため、ペアローンを組む場合でも、1人分の収入でも問題なく返済できる範囲内で組むようにするのがおすすめです。
5,000万円のマイホームが買えるのはどんな人?
それではどのような人なら、5,000万円のマイホームを買うことができるのでしょうか。年収の面から、その特徴について解説します。
5,000万円のマイホームをギリギリ買える人の特徴
住宅ローンの一種【フラット35】では、返済負担率の基準を「年収400万円未満では30%以下」、「400万円以上では35%以下」と定めています。
前述のシミュレーションでは、頭金なし(フルローン)の場合、毎月の返済額は16万2,061円でした。
・毎月の返済額16万2,061円×12ヶ月=年間返済額194万4,732円
・年間返済額194万4,732円÷返済負担率35%=年収554万6,378円
住宅ローン以外のローンを抱えていないのであれば、年収が555万円ほどある人ならギリギリ5,000万円のフルローンを組める計算です。
頭金を500万円入れる(借入額4,500万円)の場合、もう少しハードルが下がります。頭金以外は上記と同じ条件だとすると、毎月の返済額は14万2,683円になります。
・毎月の返済額14万2,683円×12ヶ月=年間返済額171万2,196円
・年間返済額171万2,196円÷返済負担率35%=年収489万1,989円
この試算では、年収が490万円ほどあれば購入できる見込みです。夫婦でペアローンを組むことで、さらに年収が低い人でも手が届くかもしれません。
・年間返済額171万2,196円÷返済負担率30%=570万7,320円
計算上、夫婦ともに年収400万円未満でも、合わせて570万円程度の収入があれば頭金500万円+4,500万円の住宅ローンを組める可能性があります。ただし、先述のとおりペアローンにはデメリットもあるため、「2人合わせた年収ならなんとかギリギリ返済できるかも」という状況で利用するのはおすすめできません。
5,000万円のマイホームを無理なく買える人の特徴
では、ギリギリではなく余裕を持って返済できる人の年収はいくらくらいなのでしょうか。前段のシミュレーションを、今度は余裕ある返済負担率の目安とされている「25%」を基準に見ていきましょう。
【頭金なし(フルローン)で5,000万円借りる場合】
・毎月の返済額16万2,061円×12ヶ月=年間返済額194万4,732円
・年間返済額194万4,732円÷返済負担率25%=年収777万8,928円
上記のとおり、年収が777万円以上あるような人であれば、フルローンを組んでも余裕を持って返済していける可能性が高いでしょう。もう少し年収が低い場合でも、頭金を1~2割程度入れれば毎月の返済額や総返済額が抑えられ、返済負担率25%以下をキープできます。
ペアローンを組む場合は、年間返済額が世帯主の年収の25%以下(高くても30%以下)になるように調整しておくのがおすすめです。片方の収入だけで返済できる範囲にしておけば、いつか一方の収入がなくなったとしても破綻リスクを抑えられるでしょう。
まとめ
同じ5,000万円のマイホームを、同じ金融機関で35年ローンを組んで購入するとしても、住宅ローンの返済方式や頭金の金額などの条件が変われば月々の返済額や利息(総返済額)に差が生まれます。
住宅ローン破綻を避けるため、住宅ローンを組む際は返済負担率が高くなりすぎないように注意しましょう。また、特に支出が増える時期や収入が減る時期の負担を軽減できるよう、「繰り上げ返済を行う」「頭金を入れる」などの対策も検討してみてください。