H-IIAロケット47号機は9月7日に打ち上げへ JAXAの「XRISM」「SLIM」を搭載
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は9月4日、延期されていたX線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」と小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」を搭載した「H-IIA」ロケット47号機の打ち上げについて、新たな打ち上げ予定日時を2023年9月7日に決定したと発表しました。【2023年9月4日15時】
【▲ 2023年8月28日の打ち上げに備えて種子島宇宙センター大型ロケット発射場の射点に移動されたH-IIAロケット47号機。この時は上空の風が打ち上げ時の制約条件を満たさず打ち上げは中止された(Credit: JAXA)】
JAXAと三菱重工業によると、新たな打ち上げ予定日時は日本時間2023年9月7日8時42分11秒です。ただ、打ち上げ可否については引き続き天候状況を注視しているとされており、予報次第では再度変更される可能性もあります。H-IIAロケット47号機の打ち上げ予定については発表があり次第改めてお伝えします。
H-IIAロケット47号機の打ち上げは直近では日本時間2023年8月28日9時26分に予定されていましたが、上空の風が打上げ時の制約条件を満たさないとして30分ほど前に中止されていました。
関連:【速報】H-IIAロケット47号機、8月28日の打ち上げは中止(2023年8月28日)
■H-IIAロケット47号機のペイロードについて(再掲)
【▲ X線分光撮像衛星「XRISM」。2023年7月21日撮影(Credit: JAXA)】
XRISMは2016年に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ」(運用終了)の後継機として、アメリカ航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)などとも協力して開発された科学衛星です。
【▲ 観測を行うX線分光撮像衛星「XRISM」のイメージ図(Credit: JAXA)】
JAXA宇宙科学研究所(ISAS)によると、XRISMに搭載された広視野のX線撮像器とX線分光器は星間空間や銀河間空間を吹き渡るプラズマに含まれる元素やプラズマの速度を画期的な精度で測定可能とされており、星や銀河だけでなく銀河の集団が形作る大規模構造の成り立ちに迫ることが期待されています。
【▲ 小型月着陸実証機「SLIM」。2023年6月1日撮影(Credit: JAXA)】
SLIMは月面へのピンポイント着陸技術を検証するための探査機です。月周回軌道を離れてからは月面に対して垂直の姿勢で降下しますが、着陸直前に機体を斜めに傾けて横向きに接地するという特徴的な着陸方法を採用しています。
【▲ 月面に着陸した小型月着陸実証機「SLIM」の想像図(Credit: JAXA)】
垂直姿勢で接地する従来の探査機では傾斜が大きな斜面などには着陸できませんでしたが、水平姿勢で接地するSLIMは斜面への着陸にも対応できることから、科学的に興味深い「着陸したい場所」への高精度着陸の実現に貢献することが期待されています。
【▲ SLIMに搭載されている変形型月面ロボット「SORA-Q(LEV-2)」。画像は変形後の姿(Credit: JAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学)】
なお、SLIMには「LEV-1」および「SORA-Q」という2機の探査ロボットが搭載されています。LEV-1とSORA-QはSLIMから着陸直前に分離され、月面到達後は画像の取得と地球へのデータ送信を連携して行う予定です。
■H-IIAロケット47号機 打ち上げ予定日時
打ち上げ予定日 : 2023年9月7日(木)
打ち上げ予定時刻 :8時42分11秒(日本標準時)
打ち上げ予備期間 : 2023年9月8日(金)〜2023年9月15日(金)
打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター大型ロケット発射場
※予備期間中の打ち上げ時刻は打ち上げ日毎に設定されます。
Source
Image Credit: JAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学JAXA - X線分光撮像衛星(XRISM)および小型月着陸実証機(SLIM)の打上げ日時について[再設定]三菱重工業 - H-IIAロケット47号機による「X線分光撮像衛星(XRISM)」及び「小型月着陸実証機(SLIM)」の打上げ日時について
文/sorae編集部