元日テレ・アナウンサー久野静香が受けた初ツーリングの洗礼。「このまま迷子になって、いなくなってしまうんだ」と味わった恐怖の真相
オートバイに乗る女性、いわゆる“バイク女子”が急増中。中でも本気でバイクライフを楽しんでいるのが元日テレのアナウンサーの久野静香だ。東京に1台、関西に1台と合計2台も所有する、その旺盛なバイク愛について聞いた。
今回、本気のバイク愛を語ってくれたのはフリーアナウンサーの久野静香だ。
日テレ時代は、『ザ!世界仰天ニュース』、『NEWS ZERO』などの番組で活躍。2022年より関西に拠点を移し、現在『newsおかえり』(火曜日・朝日放送)に出演中、さらにはYouTubeチャンネル『久野静香です。』、ゲーム配信チャンネル『クノゲーです。』を開設している。そんな彼女が、ライディングテクニックを磨き、バイクライフを謳歌しているという。
顔に惚れましたね! きりっとしたイケメンで
──現在、250ccのスーパースポーツモデルの「ホンダ・CBR250RR」に乗って楽しんでらっしゃるということですが、バイクの免許を取ったきっかけは何だったんですか?
もともと車の運転が大好きで、社会人になっても乗りたいと思っていたのですが、入社したばかりのころは所有する余裕がなくて、それで比較的お金のかからないバイクならばと思って免許を取りに行きました。
──欲しいバイクはあったんですか?
いえいえ、それが免許を取ったものの、1年ぐらい乗ってなくて。いきなり買うのも不安じゃないですか。だから、滝と1回レンタルバイクでどっか行ってみようかって話になって。
──滝さん?
滝 菜月(日本テレビアナウンサー)です。もともとバイクの免許を持っていて、ふたりでお台場でバイクをレンタルして、横浜の赤レンガ倉庫に行きました。「やっぱ、こんなに楽しいんだ。いつかバイクを買いたいね」って話をしていたら、いきなり滝からバイク購入の報告がきて、なんかちょっと負けてられないなっていう気になって、その翌月に滝と上野まで買いに行きました。
──上野のバイク街に行ったんですね。かつての聖地! シブい場所で購入されましたね(笑)いろんなバイクがありますが、決め手は何だったんですか?
日テレが『速報!MotoGP』というレース番組をやっていて、たまたまバイクとして見るものがレーシングタイプが多かったんですね。なのでバイクといえばカウル付きの、風を切る形をしたものだという前提がありました。
お店でホンダのCBR250RRを見て、顔に惚れましたね。あの目(ライト)がすごいキリッとしたイケメンなんですよ。もう本当に定番のイケメン顔をしてて。誰が見てもかっこいいと思うようなフォルムというか。
しかも、まだ数千キロしか走ってないピカピカのバイクで。たまたまローダウンもされてて。私、身長が155cmしかないんですけど、私の体格にもあっているし、これしかないって思いました。
我を忘れるほどのツーリング‼
──走りはどうでしたか?
乗り味自体もすごい初心者向きというか、扱いやすい。もう高い平均値をずっと保ってくれていますね。クセがないんですよね。素直に話を聞いてくれる感じがあって、本当に付き合いやすい。嫌なところが見えないというか。中身もただただイケメンみたいな(笑)
──絶賛ですね! そんな愛車でのはじめてのツーリングは?
納車の年に初のロングツーリングで実家まで帰ったんですよ。真冬なのに、まだ寒さ対策もできてない状況で、東京から愛知県までの道中が本当につらかった。
使い捨てカイロを貼った上で、長袖・長ズボンだし、冬用のグローブでしたけど、それでも寒すぎて。もうね、風が直撃するつま先とひざが、とにかく冷えるんです。サービスエリアとパーキングっていう文字が見えたら、暖を取るために、すぐ避難するみたいな感じです。で、暖まったら、次のパーキングエリアを目指すみたいな。サービスエリアでたまたま居合わせたライダーたちとも、言葉こそ交わさないですけど、目で寒さを語り合いましたよ。
おかげで、本来なら5時間で行けるところを9時間もかけてしまいました(笑)。9時間も経過すると、夜になってしまって、電灯もなく真っ暗。不安なところに追い打ちをかけるように、スマホのバッテリーがなくなり、私はこのまま迷子になって、いなくなってしまうんだっていう気持ちになりました。すごく怖かった。サービスエリアでバイクを乗り捨てて、誰か車で街まで連れて行ってくれないかとまで思いました。
そんな思いをしたのに、またバイクに乗ってしまう不思議さはありますね。今は電熱線の入ったグローブやジャケットを着ているので、冬でももう平気ですね。ぬくぬくで快適です。
久野さんの愛車のホンダ・CBR250RR
──バイクに慣れた今は、どんなところを走るのが好きですか?
私は、今、関西在住なのですが、淡路島へ行く明石海峡大橋を走るのが大好きです。はじめてその橋を渡ったときに、大きさにびっくりしたんですよ。スケールに心を持っていかれましたね。東京のレインボーブリッジの比じゃないくらいの大きさです。
晴れた日に橋を渡ると、その壮大さから、青い空に引き込まれそうになるんですね。海にも空が映って青くなってますし、一瞬で、我を忘れて、その青い世界に入ってしまいます。
東京に1台、関西に1台とぜいたくな2台持ちバイクライフ
──ツーリングは単独が多いのですか、あるいは大勢?
ふたりが多いですね。友人とインカムで話しながら走っています。今、実は東京にしかツーリング仲間がいなくて、東京でお仕事をいただいたら、その仕事の前後にツーリングを入れています。そのためにバイクを1台、東京に置いていますよ。
──ぜいたくな遊び方をしていますね(笑)。東京に置いているバイクは?
KTM・390 DUKE(オーストリア)です。実は東京に行く機会が少なくて、まだあまり乗れてないです。CBRを長男だとすると、390 DUKEは生まれたばかりの次男で、まだ彼のことをわかってあげられてなくて。手のかからない長男に比べて、次男は体が大きいので、ちょっと私の足つきがね、大変で。手間がかかるというか。
でも逆にその何て言うんでしょう。そのクセが可愛いとか言うじゃないですか。よく滝が言ってたんですよ。冬になると、SR(ヤマハ、滝の愛車) のキックスタートがかかりづらかったり、エンジンがいきなり止まるみたいな。でも、そういうところが可愛いと。
優等生のCBRに乗っている私には理解できない領域だったんですけど、もしかしたら、これから390 DUKEに、そういう気持ちが芽生えていくっていう可能性はありますよね!
2台目のバイク、KTM・390 DUKEと久野さん
オフロードで恐る恐るライディング訓練中!
──そういえば、ライディングのテクニックをプロの方に教えてもらっていると聞きましたが…
J-GP3クラスで活躍中の岡崎静香さんに教わっていますよ。サーキットに行って、ゆっくり旋回しながら、車体を倒し膝を擦る練習をしました。絶叫系アトラクションが好きなんで、ヒリヒリする感覚を求めて、サーキットをいつか走ってみたいな~と思っています。
あと、オンロードのライダーの方々が、運転技術を高めるために、オフシーズンにモトクロスをやって鍛えているのですが、私も自分のライディングにもいい影響があるかなと思って、岡崎さんにモトクロスの乗り方も教えてもらいました。まだまだ難しくて、恐る恐る走っていますが……。
モトクロスでライディングを練習
──バイクに乗っているときに、声をかけられることはありますか?
フルフェイスをかぶっているので、声をかけられることはないですね。逆にこっちから声をかけたくなることはあります。サービスエリアで自分の気になっているバイクを見ちゃうと、興味津々で近づいて行って、跨らせてもらうおうと。ドゥカティのパニガーレというバイクに出会って、その持ち主が帰ってくるまで待っていたことがあります。結局、帰って来なくて、断念しましたが。
──ゆくゆくは大型免許を取りに行きますか?
CBRの最高峰、CBR1000RRRに乗りたくて、1回跨ったんですけど、私の体で扱いきれるような大きさじゃなかったんです。だから、自分が乗りたくて、乗れそうな大型バイクが見つかったら取りたいと思います。
やっぱり、女性よりも男性の方が乗れるバイクの幅が広いじゃないですか。もしも旦那が免許を取って、私が乗りたいバイクになんか乗りはじめたら、イラッとして「おいっ!!」って言いそうですね。
バイクは移動手段ではない!
──最後に、久野さんにとってのバイクの魅力は?
バイクは移動手段ではなく、乗ること自体が目的。バイクに乗ってどっか行くだけで、達成感はすごいですよね。暑さも寒さも、すべてを受け止めなきゃいけないんですけど、逆にその過酷さが楽しい。
だからこそバイクに乗ることが、かっこいいという気になれるんです。つらいのに乗っている自分がかっこいいみたいな。このつらさをツーリング仲間と共有すると、本当にバイクのことが好きなんだと、もっともっと気持ちが強く繋がるんです。
あと、車にはない、マシンを操っている感覚があって、体重移動しながら、アクセルを回して風を切って走るのが楽しいし、正面から全身で受け止める風は、バイクでしか味わえない。
エンジン音も聴きながら、自然の空気のにおいを感じ、目で四季折々の景色も楽しみながら、五感を総動員できるところが魅力ですね。
取材・文/集英社オンライン編集部