ヒロド歩美「選手を邪魔している。この時間は当たり前じゃない」 フリーアナウンサーとして3カ月 スポーツ取材で心がけていること
ヒロド歩美さん
インタビュー前編
今年4月に『報道ステーション』(テレビ朝日・月〜金曜21:54〜)のスポーツキャスターに就任したヒロド歩美さん。就任して3カ月が経った今、スポーツを仕事とする楽しみを聞いてみた。また、今年も『熱闘甲子園』のキャスターを務めることが決定。取材を続けて10年目となる高校野球への思いも語ってもらった。
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今年の4月から『報道ステーション』のスポーツキャスターに就任したヒロド歩美さん
ヒロド歩美(以下、ヒロド) はい。慣れたというか、まずは毎日いろいろなスポーツに接することができて新鮮な気持ちです。スタジオでキャスターの方々がドンと構えていらっしゃいますし、またスポーツ好きな方ばかりで、スポーツコーナーになるとスタジオのテンションもグッと上がるので心強いです。
――たしかにスポーツコーナーの雰囲気はいいですよね。
ヒロド はい。それと私は系列局(ABCテレビ)出身なので、スタッフの方も顔見知りが多く、安心感のなかで仕事をさせてもらっています。
――この春からフリーになられて、いきなりの大抜擢となりましたが、最初『報道ステーション』のスポーツキャスターというお話がきた時は、どんな気持ちだったんですか。
ヒロド 最初はもう真っ白でしたね......。いい意味でスドーン!って、きてしまって。今はその真っ白な頭のなかに色をつけていく感じで毎日を過ごしています。
――これまでの仕事とくらべて変化みたいなものを感じていますか。
ヒロド 今までは高校野球やプロ野球をメインに仕事をさせていただいてきたのですが、『報道ステーション』では、たとえば7月14日に開幕する『世界水泳2023福岡大会』や、夏から秋にかけて行なわれる『バスケットボールワールドカップ2023』『ラグビーワールドカップ2023』などもあり、取材をする幅が圧倒的に広がったんです。野球以外ではそこまで深くひとつの競技に寄っていくことがなかったので、そういう意味では日々勉強ですね。ディレクターからいろいろとレクチャーをしてもらっています。
――これまで馴染みのなかった競技を取材する際に、どのようなアプローチで接するようにしていますか。
ヒロド 取材をしていて思うのが、その競技に興味を持つきっかけって、やっぱり全部"選手"なんですよね。人間から入って、競技というものを見ていく。これは『熱闘甲子園』で、高校野球を取材した時から同じですね。
高校野球を取材しはじめた頃のヒロドさん(写真提供:ご本人)
――以前、野球の現場でお見かけしたことがあるのですが、積極的に動いている様子で現場がお好きなんだなと感じました。
ヒロド はい、まずは現場ですよね、絶対に。現場では最終的に"伝える"出演者として、同行するディレクターに自分で見つけた取材ネタをアピールしています。自分ならではのネタをしっかり持って取材するということです。インタビューをするにしても、ディレクターから指示されたものだけでなく、それにプラスアルファで、自分自身で掘り下げたことをぶつけたいと思っています。
――たとえば選手の方々に取材をする際、距離感などで心がけていることはありますか。
ヒロド 大前提として、当然のことなのですが、まずは選手の方々や競技をリスペクトすること。あと、取材に入るだけでも選手の方々を邪魔していると思うので、この時間は当たり前じゃないという思いでいます。たとえ選手の方々が時間を割いてくれたとしても、それに驕ってはいけないと心がけています。
――大事なことですよね。新しく知る競技を取材する時、仮に勉強したとしても知識が追いつかないこともあると思うのですが、そういう時はどうしていますか?
ヒロド たとえ学んでいたとしても、野球以外の競技の場合は、そのまま聞きます。たとえば、先方が専門用語を使った場合、「それは何ですか?」と素直に聞く。
――ある意味、知ったかぶりをしない。
ヒロド 視聴者の方と同じ視点を忘れずに、なるべくその選手の言葉でひとつひとつ説明してもらえるような感じで聞きますね。実際、最初に言うんですよ、「本当に無知の素人なので」って(笑)。そうすると選手の方も伝わりやすい言葉で、いろいろと教えてくれるんです。野球の場合も、技術的なことに関しては「素人なので......」と、結構使います(笑)
――ヒロドさんにとって、スポーツの取材の醍醐味や面白さとは何になりますか。
ヒロド 継続ですね。どんどん輪が広がってくるところだと思います。以前取材した選手が違うステージに行って、また現場で再会してつながることができたりすると、本当にこの仕事って面白いなって。たとえば先日、日本ハムの加藤豪将選手の取材に行った時に、チームメイトの細川凌平選手に加藤選手のことをいろいろと教えてもらったんです。細川選手とは、彼が智辯和歌山高校時代に知り合っていたので。
あとは選手の人間的なすごさというのか、そこがやっぱり視聴者の方の心を掴むんじゃないかって思っています。そのスポーツをやっていない方でも、一流のアスリートの考え方にふれ、共通点や親近感を抱くことがあるでしょうし、そういった部分を引き出せた時は醍醐味みたいなものを感じます。
――現在、平日の夜は『報道ステーション』ですが、一日のスケジュールはどのようになっていますか。
ヒロド 昼間は基本的に取材活動で、いろんなところに連れて行ってもらっています。それで18時のプロ野球のプレーボールに間に合うように局に入ってモニタリングして、打ち合わせ、本番といった感じですね。
――非常に爽やかな雰囲気で番組に出演されていますが、なにかそこで意識していることはありますか。
ヒロド 爽やかである自信はないですが、スポーティーであることを意識しています! 衣装も健康的に見えるように考えています。と言っても、スタイリストさんがいらっしゃるのですが (笑)
――毎日ですものね(笑)。現在多忙かと思いますが、プライベートの時間は何をして過ごしているんですか。
ヒロド いやもうこの3カ月間を振り返ると本当に何もなかったです。フリーになったばかりですし、まずは一旦、仕事に集中しなくっちゃって。
――しばらくはこんな感じが続きそうですね。
ヒロド そうですね。世界水泳やラグビーとバスケのワールドカップの取材、それにありがたいことに『熱闘甲子園』のキャスターを続投させてもらうので、忙しい時間が続くと思います。ただ、興味のあることばかりですし、視聴者の目線を忘れず、楽しみながらいろんなことにチャレンジしていきたいと思います。
後編に続く>>『熱闘甲子園』で宿舎取材を続けるわけ「涙のままで終わってほしくない、と視聴者も求めている」
Profile
ヒロド歩美(ひろど・あゆみ)
1991年10月25日生まれ。兵庫県宝塚市出身。早稲田大学国際教養学部卒業後、2014年に朝日放送テレビ(ABCテレビ)入社。2016年に『熱闘甲子園』のキャスターに就任した。その後は『サンデーLIVE!!』『芸能界常識チェック!〜トリニクって何の肉!?〜』『芸能人格付けチェック』などに出演。今年2月に退社し、4月からフリーの立場で『報道ステーション』のスポーツキャスターを務めている。