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プロ野球DeNAが2023年6月25日、阪神に3連勝してリーグ首位に浮上した。初戦は先発・今永昇太投手(29)が6安打1失点で完投し、2戦目は東克樹投手(27)が5安打完封勝利。3戦目は先発トレバー・バウアー投手(32)が試合を作り5−3で勝利した。

「炎天下の試合になるとピッチャーの消耗が...」

昨年6月から横浜スタジアム開催の阪神戦13連勝とホームで圧倒的な強さを誇るDeNA。一方3連敗でDeNAに首位の座を明け渡した阪神は6月の月間負け越しが決定した。首位攻防戦における両チームの違いはどこにあったのか。J-CASTニュースは、巨人、楽天、ヤクルト、西武でコーチを歴任した橋上秀樹氏(57)に分析してもらった。

セ・パ交流戦で優勝を果たしたDeNAと10位に終わった阪神。セ・パ交流戦で4つ貯金したDeNAに対して阪神は3つの借金を作った。阪神は打線が振るわずセ・パ交流戦のチーム打率.210は12球団ワースト。橋上氏は、セ・パ交流戦明けの首位攻防戦は「互いの攻撃力に差が出た」と指摘し、次のように続けた。

「阪神の打線はだいぶ陰りが見えてきている。シーズン前半は打てていたが、ここにきてチームの打撃成績などをみると数字的に厳しくなっている。数字でいえば5位の中日の攻撃力に近い。阪神と中日は同じような形で投手力はリーグトップクラスだが、攻撃力がリーグで下位に位置している。阪神の場合はシーズン前半の貯金があるので2位につけているが、中日と同じような戦いを強いられている」

そして「このような戦いが続くようであればピッチャーがもたなくなる」とし、「阪神の本拠地の甲子園球場は野外球場なので炎天下の試合になるとピッチャーの消耗が、ドーム球場を本拠地としているチームと比べて大きい。打線が打って援護しないとピッチャーがもたないという時期に入ってきている。ここにきて攻撃力が落ちるということはチームとしては大きなマイナスとなる」と解説した。

橋上氏はこの3連戦で両チームの差が出たのが3戦目の5回の攻防だという。

0−3で迎えた阪神は先発バウアー投手から前川右京外野手(20)、大山悠輔内野手(28)の連続タイムリーで2点を獲得し1点差に迫った。追い上げムードが高まる中、その裏に2死から先発・才木浩人投手(24)が連続ツーベースを許して1点を失い、リードが2点差に広がった。その後、両チーム1点ずつ追加し5−3でDeNAが勝利した。

「今後チームの得点力が下がる不安はあります」

橋上氏は「5回の裏をゼロで抑えていれば阪神に流れが来たと思いますが、すぐ点を取られてしまった。点を取った後に取られるという流れの悪い典型です。ここで勝敗が決したという感じがしました。逆にいえば、DeNAは取られた後にすぐに点を取り返した。これが今の阪神とDeNAの明らかな差だと思います」と説明した。

さらに今永、東が連続で完投したのは「阪神の攻撃力が落ちている裏返しでもある」とし、「阪神の場合は近本(光司)選手の状態が落ちているので得点が取れない。出塁率の高い上位の選手が塁に出てクリーンアップで返すというのが基本的なパターンですが、近本選手は出塁率を含め状態が良くないので、今後チームの得点力が下がる不安はあります」と解説した。

DeNAは27日から敵地マツダスタジアムで3位・広島と3連戦を控え、阪神はホーム甲子園球場で5位・中日と3連戦を予定している。

橋上氏は「DeNAは27日の広島戦から手綱を緩めることがなければ阪神との差が一気に開く可能性がある」とし、今後の展開に関して持論を展開した。

「阪神は今の戦いぶりをみると、3位の広島や4位の巨人の足音が聞こえてくる感じでしょう。先週末は広島と巨人が直接対決をして星のつぶし合いをしていたが、これからはどちらとも追いかけてくる。阪神との直接対決もありますし、そうなると2位の座も危うくなってくると思います。阪神にとって1番の強みである投手力が、打てない打線の中でどこまで頑張ることができるか。オールスターまでどれだけしのげるか。注目しています」

阪神の6月の成績(25日時点)は6勝12敗1分けと大きく負け越し、一方のDeNAは13勝6敗と勝ち越している。