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「関係が幼少期のころからだったから、自分の人生がめちゃくちゃになったと思っています。重い罰を受けてほしいです」

【写真】公立高校の「わいせつ 行為の実態」を表すグラフ、教員174人が処分を受けている

 13歳から18歳までの5年間、プロデューサーから性行為を強要されていた元アイドル・A子さんは震える声でそう話した。

「週4回の“夜這い”に怯えて……」

 6月2日、東京地裁で児童福祉法違反の疑いで逮捕された星野友志被告(37)の証人尋問が行われた。当時未成年だったアイドルグループのひとりにみだらな行為をしたとされ、この日は被害少女のA子さんが出廷し、わいせつ行為の全貌を明かしたのだ。A子さんの姿は遮蔽措置により高い壁で覆われ、傍聴席や被告の席からは姿を見ることはできない。

 星野被告が逮捕されたのは今年3月1日のこと。

「自らがプロデュースするA子さんにわいせつな行為をしたとして、運営会社の実質経営者である星野が逮捕されました。星野は自身名義のマンションに住まわせていました。A子さんをグループのセンターに据え、アイドルプロデューサーがその権力を利用してわいせつ行為をしているなどと大きく報じられました。逮捕容疑はひとりの少女に対してだけでしたが、被害者は複数いるともいわれています」(社会部記者)

 まだ幼い少女を何度も襲った星野被告とは一体どんな男なのか。

「東京・板橋区に生まれた星野被告は高校を卒業し、会社員を経て、平成21年に合同会社を設立しています。子会社の代表に当時の交際相手の女性を据えるなど当時から公私混同が見られました。やがてアイドルグループに関わるようになり、出資者の立場でプロデューサーとしての決定権を握っていった。

 東京・千代田区に専用のライブ会場を持ち、本名とは別名義で配信などに度々出演し、ファンからも親しまれていました。被害者のA子さんが平成30年に同事務所に所属すると、すぐにその毒牙にかけたといいます」(司法記者)

 星野被告がプロデュースしていたアイドルグループは“えぐさ”が話題になっていた。

「競泳水着姿でライブをさせ、その格好のまま観客席にダイブさせたり、メンバー同士でキスをさせたりと、やりすぎ感があった。

 センターのA子さんは、デビュー直前に歌唱力の問題で一度メンバーから外されたのですが、蓋を開けてみればセンターに起用されました。グラビア撮影ではA子さんだけが海外や沖縄などのリゾート地での撮影が組まれ、ほかのメンバーとの格差も目立っていました」(アイドル誌編集者)

 周囲から見ても明らかな特別扱いを受けていたA子さんは何を感じていたのだろうか。

5年間の支配

 話を裁判に戻そう。

 この日初めて法廷の証言台に立ったA子さんは弱々しい口調ながらも力強い言葉で星野被告の犯行を証言した。(※以下はA子さんの証言をもとにしています)

 きっかけはグループ加入だった。

 2018年当時、歌唱力の足りないA子さんは、デビューを控えているアイドルグループには入れない可能性があった。どうしても入りたいと告げた彼女に、星野被告はこう言ったという。

「(グループに加入したいなら星野被告の)ほっぺをかじって。キスをして」

 A子さんはグループのメンバーになりたいがために、これに応じ、無事にメンバー入りを果たし、センターに抜擢された。

 いちばん最初の犯行はグループに加入後、すぐのことだった。

「星野被告に呼び出され、服を脱ぐように言われました。断れずに私はそれに従い、応じました」

 当時の彼女は13歳。まだ中学校に入ったばかりの子どもである。自身の立場を利用した上での星野被告の誘いを断ることなど、アイドルを夢見る13歳の少女には到底できなかった。

 事務所の2階に住むようになったA子さんは、生活のすべてを星野被告に支配されていく。星野被告は勝手に部屋に入ってきて、A子さんが寝ていても性行為を始めることもあったという。

「私が寝ていても(行為を)されました。週4回は来ていました」

 いつ来るかわからない星野被告の襲来に怯えながら過ごしたという。

 強要されたのは性行為だけではない。ライブ後などには一方的な説教を数時間浴びせられることもあった。

「“てめえ、なめてんのか”とか物を投げたり、急にキレたりもするので恐怖を覚えていました」

 星野被告の“支配”はグループ内の人間関係にも及んだ。

「メンバーとの連絡先の交換は禁止で、相談もできなかった」

 13歳からの2年間はA子さんもまだ幼く星野被告に洗脳されていたものだったという。

「頼れる人がいなかったから、(星野被告は)親代わりという認識でした。15歳のころからはいろいろ(性的なことも)理解できるようになり(被告に)嫌悪感を抱くようになりました。支配されているという認識があった」

 しかし気づいたときにはもう遅かった。A子さんは住まいから仕事まで、すべて星野被告の管理下にあったのである。

「嫌だと思っても演じないと生活ができなかった。この関係をやめたいと言えばグループにいられなくなる」

 と当時の苦しい思いを吐露した。'22年にグループ脱退を申し出たA子さんは、警察に被害届を出し、その生活を自ら終わりにした。グループのセンターの立場を捨ててでも逃げ出したかったのだろう。

相反する被告の主張

 一方、星野被告はA子さんと肉体関係にあったことは認めつつも立場を利用したことは否認している。

「プロデューサーの立場を利用したことはありません。A子さんは私生活に問題があり、事務所がある同じマンションに引っ越しをさせた。A子さんには月に5万円を与え、家賃も全額負担し精神面をサポートし、親密さがエスカレートして性行為に及んだ」

 と、初公判で述べ、恋愛関係にあったと主張している。

「仮に恋愛関係が成立したとしても当時32歳の男性が13歳の女の子を性的な対象として見ることは健全ではない。執行猶予を狙っているようですが、A子さん側に問題があったと言わんばかりの供述に裁判長も呆れた様子で聞いていました」(前出・司法記者)

 中学のころから自傷行為を繰り返していたA子さんの腕は傷だらけだ。少女の心の叫びに星野被告が気づいていなかったはずがない。