こちらは欧州宇宙機関(ESA)が公開した火星の画像です。ESAの火星探査機「Mars Express(マーズ・エクスプレス)」で取得したデータを使って作成されたもので、高度2500kmから見た光景が再現されています。


【▲ 欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機「Mars Express(マーズ・エクスプレス)」で取得したデータをもとに作成された火星の画像(Credit: ESA/DLR/FU Berlin/G. Michael)】


中央を東西に走る巨大な谷は、東西4000km以上・南北700kmに渡って広がるマリネリス渓谷。その左上にはタルシス三山(北から:アスクレウス山、パヴォニス山、アルシア山)が見えています。なお、この画像では比較的低い高度から見た様子が再現されているため、南北の極域を覆う白い極冠は見えていません。


火星は酸化鉄による赤い色をした惑星として知られていますが、この画像の火星は色の濃淡がよりはっきりしているように見えます。ESAによれば、今回の画像では色とコントラストを強調しており、火星表面の色や組成を従来の画像と比べてより詳細に明らかにすることができました。暗い灰色をした場所は火山に由来する玄武岩質の砂が豊富な地域、明るい斑点のような場所は水との関係を示唆する粘土鉱物や硫酸塩鉱物が豊富な地域を示しているといいます。


【▲ マリネリス渓谷付近の拡大画像。注釈は渓谷にかかる靄(もや、haze)、薄い巻雲(cirrus)、硫酸塩(sulphate)の堆積物を示している(Credit: ESA/DLR/FU Berlin/G. Michael)】


2003年6月3日に打ち上げられたMars Expressは、今年でミッション開始から20周年を迎えました。当初予定されていたミッション期間は火星の1年(地球の約687日)だったといいますから、その10倍もの長期間に渡って活動し続けていることになります。


ESAによると、Mars Expressのミッションは少なくとも2026年末まで延長されており、今後数年間も美しく知見に富んだ火星の画像を得ることが期待できるということです。掲載した画像はMars Expressのミッション20周年を記念して、ESAから2023年6月2日付で公開されています。


 


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Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin/G. MichaelESA - 20 years of Mars Express: Mars as never seen before

文/sorae編集部