「新NISA」が始まる前にやっておくべき3つのこと
2024年から始まる新NISAに向けて、投資初心者が2023年中にやっておくべきこと3つを紹介します(写真:タカス/PIXTA)
日経平均が3万円を超えるなど、日本の株価も非常に好調。
SNSやネットには株で儲かった話があふれ、自然と「私も私も」と株に手を出す人が増えてきますが、それは危険です。今から波に乗ろうとしても、損をする可能性は高いでしょう。
それより、せっかく投資に目が向いたなら、2024年から始まる新NISAに向けて準備をしてはどうでしょうか。そのほうが、損せずお金が増えるルートに乗れるはずです。
投資初心者が2023年中にやっておくべきこと3つを家計再生コンサルタントの横山光昭著『はじめての人のための3000円投資生活 新NISA対応版』から一部抜粋・再編集してお届けします。
投資初心者が2023年中やっておくべきこと
2024年にスタートする新NISAに向け、まだ投資を始めていないという方がやっておくべきことは、この3つ。
1つひとつ、順番に説明していきましょう。
つみたてNISAの口座を開設する
2024年からスタートする新NISA。
生涯の非課税投資枠は合計1800万円と非常に大きく、年間あたり「つみたて投資枠で120万円」「成長投資枠で240万円」投資できることになっています。
よく「新NISAでは1800万円まで投資ができる」ということを知っていて、かつまだ投資を始めていない方からは「来年に向けて貯蓄しておけばいいですか?」と聞かれます。
答えはNOです。
現行のつみたてNISAの制度が、2023年いっぱいまで利用できるからです。
つみたてNISAで非課税で投資できるのは、年間40万円。
もし、いますぐにつみたてNISAを始めれば、
合わせて1840万円の非課税投資枠を利用することできます。
非課税投資枠40万円分お得になるので、使わない選択肢はありません。
来年まで待つという選択肢を捨て、すぐにつみたてNISAを始めましょう。
投資熱が冷めないうちに口座を開設しよう
また、投資を始めるにあたって、1つ大きなハードルがあります。
それは、NISA口座を開設することです。
意外なようですが、口座開設に至らず、投資をやめてしまう人は多くいます。
ネットでいろいろ調べているうちに面倒になってしまった。
申し込みをしようと思ったが、忙しくて忘れてしまった。
いろいろな理由で結局、投資熱が冷めてしまい、投資を見送る方を多く見てきました。
ですから、つみたてNISAの非課税投資枠40万円を「今しかもらえないご褒美」と考え、早くNISA口座を開設してしまいましょう。
そうすれば、新NISAが始まったときに慌てることもありません。
(注 いずれかの金融機関でNISA口座を開設していれば、自動的に同じ金融機関に新NISA口座が開設されることになっています。追加の手続きは不要のはずですので、2023年にNISA口座を開設しても、2024年に新NISA口座を開設しても手間は同じです)
金融機関につみたてNISAの口座を開いたら、3000円投資生活を始めてみましょう。
私は、2016年7月以降、「3000円投資生活」シリーズを出版し、「月々3000円から投資を始める」ことを、さまざまな世代の方におすすめしてきました。
なぜ月々3000円なのか?
「初めて投資をする方が、おそらく、あまり怖さを感じずに投資にまわせる金額」であり、かつ「投資の面白さがギリギリ体感できる金額」だからです。
月々1万円だと、ちょっと額が大きすぎて怖いと思う人、いきなりそれだけの額を投資にまわすのが難しいという人もいるでしょう。
かといって、月々1000円だと、とくに最初のうちは、あまりにも得られる利益が少なすぎて、「お金が増えていく」投資の面白さを味わうことができません。
いろいろと考えた末、月々3000円という金額こそ、「今まで投資をしたことがない」「投資が怖い」「投資にまわすお金がない」という方に、1日でも早く投資を体験し、そのメリットを知っていただくのにぴったりだと思ったのです。
3000円投資生活なら、カンタン・安全
世間で「投資」といわれているものの中には、知識がないとできないもの、まとまったお金が必要なもの、手間がかかるもの、ほとんどの人が損をするものもあります。
たとえば、おびただしい数の個別株式の中から、利益が出そうな銘柄を選んで売買したり、不動産投資をしたりしようと思ったら、さまざまな情報や知識、まとまった資金などが必要ですし、それなりに手間もかかります。
また、FX投資などは、85%の人が損をするといわれています。
しかし世の中には、カンタン・安全・確実に資産を増やすことができる投資方法もあります。
私がおすすめする方法も、その1つです。
まずは月々3000円分ずつ、手数料などのコストが安く、リスクは低いけれど利回りが比較的高い投資信託を買うことからスタートする。
やるべきことは、たったそれだけです。
最初に手続きをしてしまえば、その後、こまめに値動きなどをチェックする必要はありません。
ほったらかしておくだけで、資産は勝手に増えていきますし、まとまったお金が必要になったときには、部分的に売却して現金化することも可能です。
長く運用することで、元本割れする(損をする)可能性も、きわめて低くなるといえるでしょう。
2023年中につみたてNISAを始める最大のメリットは、「投資に慣れること」。
新NISAが始まってから、あれやこれやと考えるより、月々3000円から優良な投資信託を買い、しばらくどうなるか眺めていましょう。
間違いなく、投資の感触がつかめますし、自分はどんな投資が向いているのかと考える時間もできます。
投資こそ「百聞は一見に如かず」です。
新NISA開始に向け、自分のリスク許容度を測る
まず、「いくら投資にまわせるか」は、その人の家計の状況および「リスク許容度」に大きく左右されます。
リスクとは、「不確実性」のことです。
日本では「リスクが高い」という言葉は、「危険性が高い」というネガティブな意味でとらえられることが多いのですが、本当は、たとえば投資であれば、「思いがけず大損をする危険性もあるけれど、大もうけをする可能性も高い」という意味なのです。
また、リスク許容度とは「リスクをどれだけ許容できるか」、つまり「確実ではないこと、思いがけず大もうけしたり大損をしたりする可能性があることを、どれだけ受け入れられるか」を意味します。
リスク許容度は人によってまったく異なりますし、収入が高いからといって、リスク許容度も高いとは限りません。
収入が高くても、安定志向で、不確実なことはできるだけ避けたいという「リスク許容度が低い」人や、収入がさほど高くなくても、たとえ資産がマイナスになっても、それに耐えることができる「リスク許容度が高い」人はたくさんいます。
そして、とくに投資をしたことがない人、初めて投資をする人、投資を始めて間もない人の中では、自分がどれだけリスクを受け入れられるかが固まっていません。
つまり、自分がいくらまで投資にお金をまわしていいかを判断することができないのです。
私がみなさんに、「2023年中につみたてNISAで、月々3000円から投資を始めること」をおすすめしているのは、少額で投資を始め、投資に慣れていく中で、少しずつご自身のリスク許容度の見当をつけ、無理なく投資を楽しんでいただきたいからなのです。
新NISAでの投資に向け、しっかりと準備ができれば、あなたもお金に困らない人になれるはず。
おそらく、10年後、20年後には、投資で得た利益が大きな資産となり、早くにFIREを選択する人も出てきます。
ぜひ、この機会に3000円投資生活を楽しんでください。
(横山 光昭 : 家計再生コンサルタント、マイエフピー代表)