【闘病】「鏡に映る自分に涙した」 乳がん治療と副作用

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乳がんはセルフチェックによって、早期発見できる可能性のあるがんでもあります。最近は分子標的薬が開発されるなど、年々治療薬も進化してきました。そんな乳がんと闘っているMayumiさん(仮称)に、闘病中の話などを聞かせてもらいました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年1月取材。

体験者プロフィール:
Mayumiさん(仮称)

相模原市在住、1983年生まれ、独身。両親と同居している。診断時の職業はアイリスト(店長)。2018年11月に乳がんの告知を受けた。

記事監修医師:
寺田 満雄(名古屋市立大学乳腺外科病院)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

セルフチェックでしこりに気づく

編集部

乳がんに気づいたきっかけは?

Mayumiさん

セルフチェックで右側乳房の下方にしこりを見つけたことがきっかけです。その時、たまたま見ていたTV番組で、セルフチェックの方法を伝えていました。1年ぐらい前にもセルフチェックをしたことがあったのですが、その時になかったしこりがその時にはあったので、異変に気付きました。

編集部

最初に受診した病院での検査についても教えてください。

Mayumiさん

最初のクリニックで触診とエコー検査とマンモグラフィを受けました。すると、石灰化しているような像があるので「針生検も念のためしておきましょう」と言われ、そのまま針生検も受けました。1週間後に結果説明を受け、そこで正式に乳がんを告げられました。

編集部

病気が判明した時、どのような心境でしたか?

Mayumiさん

最初は「仕事どうしよう」と考えていました。私自身、比較的健康には気をつけていましたし、親族にもがんの人はいません。「なぜ、がんになったのだろう」そんな気持ちでした。私は独身で子供もいないため、自分の事だけを考えて、できる治療をしていこうとも思いました。

編集部

病気が判明した時、家族や周囲の反応はどうでしたか?

Mayumiさん

家族は心配していたと思いますが、そっとしていてくれました。友人は電話をくれた人などもいて、私よりも泣いていたかもしれません。

編集部

医師からはどのように治療を進めると説明されましたか?

Mayumiさん

乳房部分切除をし、抗がん剤と放射線治療(全乳房に25回と局所に3回の照射)をして、ホルモン療法を5年間続けると説明されました。術後の病理検査結果で脇のリンパ節に微小の転移があり、化学療法をどうするか、化学療法をするのであれば、妊孕性(にんようせい)の問題から卵子凍結するのか、という問題がありました。私は、化学療法を選択し、卵子凍結はしていません。

編集部

治療にはどのような薬を使いましたか?

Mayumiさん

がん治療としては、抗がん剤を3種類使いました。通院でまずEC療法(エピルビシン、エンドキサン[一般名:シクロフォスファミド])を2週おき投与で4クール、そしてドセタキセルを3週おきに4クール投与していました。現在は毎日タモキシフェンを内服し、6ヶ月に1度リュープリン(一般名:リュープロレリン)の注射を受けています。

不眠と発熱など多くの副作用がメンタルに響いた

編集部

治療中の入院生活はどのように過ごされましたか?

Mayumiさん

手術の入院は3泊4日でした。まだコロナも無かった頃でしたので、お見舞いにいろんな人が来てくれて、「もう退院!?」と感じるほど楽しく過ごせました。また、ドセタキセルの2クール目が終わってから、好中球減少症(血中の好中球数が減少した状態)による発熱で5日ほど入院しました。「残り2クールでドセタキセルが終わるのに、なんで……」と、かなり落ち込んでいました。いつ回復するかわからない白血球数と、入院で眠れないこともあって、治療中で1番メンタルが崩壊していました。

編集部

治療による副作用はありましたか?

Mayumiさん

色々ありました。エピルビシン、エンドキサンの副作用の吐き気が強く、それがキツかったですね。ドセタキセルでは、首や背中の痛み、むくみが出ました。抗がん剤治療中は脱毛、肌の乾燥、便秘、味覚障害が出ました。

編集部

その副作用の中で、最も辛かったのは?

Mayumiさん

髪の毛や全身の毛の脱毛です。最初の抗がん剤投薬から約2週間で脱毛が始まり、最初はお風呂に入るたびに大量の毛が抜ける事のストレス、鏡に映る自分の姿の変容に突然悲しくなり、涙する日もありました。また、副作用で白血球(好中球)数が減少したのでジーラスタ(一般名:ペグフィルグラスチム)という注射を打ったのですが、その後は背中の痛みで2日間ほど眠れなかったです。

編集部

病気の情報収集はされましたか?

Mayumiさん

ネットとインスタグラムで情報収集しました。インスタグラムで副作用などについて発信している方がいたので、とても参考になりました。ネットで調べた内容よりも、直接聞いた体験談の方が参考になりましたね。情報はあふれていたので、情報集めに困ったことはありません。

編集部

医師や看護師など、医療関係者からの説明は十分でしたか?

Mayumiさん

医師や看護師さんは、しっかりわかりやすく説明してくれました。また看護師さんはとても親身になって話してくれました。分からないことや不安に思ったことは、聞いたり、伝えたりすることができていました。

編集部

乳がん治療開始後、生活・仕事にどのような変化がありましたか?

Mayumiさん

生活はかなり変わりました。私の場合、副作用がひどく、投薬から1週間は家からほぼ出られませんでした。1年間の休職も余儀なくされ、復帰しても結局半年で退職しました。

編集部

治療中の心の支えとなったものは、何でしたか?

Mayumiさん

まずは家族と愛犬、そして友人ですね。

編集部

もし昔の自分に声をかけるとしたら?

Mayumiさん

もっともっと自分を大事にしよう。もっと自由でいいよ、と伝えたいです。

副作用と闘いつつも以前のような生活を送る

編集部

現在の体調はどうですか?

Mayumiさん

現在は乳がんの治療としてホルモン療法を受けています。そのため、副作用で更年期障害のような症状があります。ホットフラッシュ、関節痛、手のこわばり(冬は特に)です。それ以外は元気に過ごしています。

編集部

現在の生活、仕事の様子を教えてください。

Mayumiさん

生活は乳がんになる前とほぼ変わらない生活ができています。以前の仕事は退職し、現在は自分でプライベートサロン(アイラッシュサロン)を運営しています。医療用ウィッグの取り扱いもしています。自分の経験を活かした仕事がしたい。そう思っています。

編集部

乳がんの辛さを知らない方へ、一言お願いします。

Mayumiさん

乳がんは自分で発見できるがんの1つです。自分のため、そして大切な人のためにもセルフチェックをしてください。私はがんになったことで、「マイナスな所ばかりにフォーカスするよりプラスの所を見る」そんな習慣が身についたと思います。乳がんになって、決して悪いことばかりではありませんでした。乳がんになったから出会えた人も沢山います。みんなの“愛”を沢山感じることもできました。そして何より自分に優しく、自分を愛しむことの大切さを日々実感しています。

編集部まとめ

乳がんで手術、放射線、化学療法を受け、現在もホルモン療法を受けているMayumiさん。闘病者はマイナスな思考・視点に陥りがちかと思っていましたが、Mayumiさんからはプラスの思考・視点を持ち、病気が決して悪いことだけではないという言葉も合わせて、ほかの闘病者にとっても勇気をもらえるようなお話でした。

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