カムギアトレーンを400にも搭載、
全日本F3マシンはRC30レプリカへまっしぐら!

VFR400R 1986年

ホンダの世界GP復帰と共にHY戦争の火ぶたが切られ、ホンダから矢継ぎ早に圧倒する仕様のマシンが続々と登場。
その中に400のV4にカムギアトレーン(DOHCのカムシャフトを通常のチェーン駆動ではなく、ギヤ連結で繋いだ駆動でバルブタイミングに正確を期する超高度な仕組み)という、純レーシングマシン専用のメカニズムを搭載したレーサーレプリカ、VFR400Rの登場があった。

これが闘いのエスカレートでワークスマシン同時開発へ進化、世界的にその名を轟かせた限定生産の公道を走れる750ccV4レーシングマシン、RC30と肩を並べる頂点マシンへと変身を遂げていくのだった。

VT250Fの衝撃に隠れ気味だったが、
400ccでV4スーパースポーツは斬新すぎていた

VF400F 1982年

そもそもヤマハRZ250に対抗するVT250Fの衝撃的なデビューは、超高回転の水冷DOHC4バルブV型2気筒というハイメカニズムで人々を驚かせていた。
さらにその次には、何と400ccクラスにV型4気筒と、従来の並列4気筒からすると遥かに超弩級の戦闘機が控えていたのだ。
ただスーパースポーツとはいえ、V4を抱えるシャシーはあまり鋭さを感じさせず、レースでは破竹の勢いだったが、一般的にはそれほど目立つ存在でもなかった。

F3レースでの優位はワークスマシンRVFと同時開発、
750cc限定ホモロゲマシンRC30の400版!!

VFR400R 1988年

RC30と見紛うばかりのNC30(VFR400R)1988年

’80年代は世界GPと共にフォーミュラ750のように、市販車をベースにハイチューンのワークスマシンが群雄割拠する展開が世界中で繰り広げられた。
その中でハイパーで駆動トルクもワイドで強大なV4が圧倒的なチカラを見せつけはじめ、ホンダはこれを市販車のホモロゲーションを得るために、レーシングマシンへ灯火類を装着したような、実質的には市販レーサーVFR750Rを限定生産、型式名のRC30で呼ばれることが多い垂涎のマシンとなっていた。

この開発の渦に400ccクラスもあり、全日本選手権で闘うワークスマシンとして、RC30と同じようにレーシングマシンそのものの開発で、型式名もRC30に倣ってNC30と名付けられたレプリカがデビューすることとなったのだ。
カウルなどのフォルムも運動性を優先、車体も片持ちスイングアームのプロアーム仕様。
そのRC30をスケールダウンした、完全なレーシングマシン然とした車体構成にアライメントなど、シャシーが勝ったバランスのおかげもあって、どこまでも強靭で軽快、しかもハンドリングは正確無比という、コーナリングが好きであれば誰もがハマってしまうであろう、400ccクラスでは史上まれにみる強烈な醍醐味に溢れていた。

テクノロジーとしてはさらに進化したものの、
レプリカ時代の終焉でラストフォルムも瓜ふたつ

RVF 1994年

RC30開発のノウハウが注ぎ込まれれば、エネルギーが相応に低くなる400ccクラスでは、まず破綻することのないハンドリングと。360°クランクならではのグイグイ曲がるトラクションで、このクラスでは他を寄せ付けない存在であったのは間違いない。
しかしその勢いも、レプリカ時代の終焉と共に開発の勢いも失われ、RC30は次世代としての改良を施したRC45へとバトンタッチされ、NC30も同じように次世代RVFとシンプルに名付けられた新型へと継承され、市販車とワークスマシンが同時開発されるという、まさに異常事態な戦乱の世も終わりを告げるのだった。

VFR750R(RC30) 1987年

RVF/RC45 1994年

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