ハイエンドブレーキほど、ガツンとならない!?【ライドナレッジ102】(ピックアップ)
300km/hも可能なハイパーマシンのブレーキは、それこそ人差し指1本で軽くかけても、超強力な減速Gでつんのめるように効く……そんな恐ろしいブレーキ、怖がりなんでかけられない、ハイパーマシンのパワーもだけど強力すぎるブレーキも不安のひとつ。
確かにスーパーバイクだけでなく、最新のネイキッドスポーツも、ラジアルマウントのキャリパーや、ラジアルマスターの装備と、ブレーキにハイエンドな最強グレードを装着するようになってきた。
しかしこのいかにも凄そうなブレーキ、かけたらいきなりガツンと効いて、それが怖くてかけられないような効き方はしない。
むしろハイエンドなブレーキほど、どんなかけ方をしてもやんわりと減速して、怖さの原因でもあるノーズダイブ、前のめりもあまり感じさせない。
リターンライダーだと、レプリカ全盛時代にちょっと触っただけでガツンといきなりノーズダイブして、それが強力なブレーキの証しに思えた時代があった。
それから30余年、ビッグマシン用からパフォーマンスと過渡特性が著しく向上、サスペンションと共にブレーキにもコストを惜しみなくかけるようになり、とくにこの10年ちょっとでやんわり効くブレーキがハイエンドほど主流になりつつある。
ブレーキのローター(ディスク)径やキャリパーが大きいと、いかにも壮絶なストッピングパワーを想像しがちだが、ハイエンドなグレードのブレーキは、それこそ歩いて押してブレーキレバーを握っただけで、そのクオリティに違いが明確に伝わってくる。
歩行している程度の速度だから、ブレーキレバーに触っただけでカクッと停止しそうに思うかも知れないが、本モノはジワッと、いやス~ッというほうが相応しいかも知れない優しさで止まる。
ここでガツンと止まってしまうブレーキとフロントフォークは、時代遅れの二流品といわれても仕方ない。それほど最新のブレーキは進化しているのだ。
そして深くノーズダイブしないメリットは、前輪の路面追従性が大きく違い、少ない前のめりなのにやんわり瞬く間に止まれるという差を見せつける。
いまや電子制御で、たとえ現実的ではない高性能が発揮できるバイクでも、予め抑えめでリスクを回避できる設定にしておけば、中途半端なスポーツバイクより安全で楽しめる走りが可能だ。
ネイキッドスポーツにも、そうしたブレーキとサスペンションをハイグレードな装備とした機種が増えつつある。そうした設計次元の高い機種は、乗っていて怖さがないだけでなく上達も導いてくれるのでお奨め。
残念ながらそこまでコストをかけていないバイクでも、フロントブレーキの操作がワシ掴みだったり親指を支点に4本指で挟む握り方だとデリケートな操作となりにくいのを、外側2本でハンドルをホールドして、そこを支点に2本指で上からレバーを押しながら引き込む操作をしていれば、ガツンと一気に沈み込まず減速時の路面追従性も損なわれにくいので、安心できるブレーキングが可能になるのでお試しを。