ミッドタウン八重洲誕生で注目の東京都中央区 歴史ある街が再開発で暮らしやすく進化中
五街道の起点となる日本橋のある中央区は、郵便や銀行などさまざまな産業の発祥地としても知られる歴史ある街です。日本最初の証券取引所が兜町に設立、江戸時代に大衆文化として人気のあった江戸歌舞伎は京橋が発祥とされています。また、同じく江戸時代に銀の鋳造所が置かれた銀座は、商業地として大きく発展しました。
その中央区は今、八重洲、日本橋、三越前など江戸時代から続く街が再開発で大きく姿を変え、勝どき・月島・晴海などの湾岸エリアは居住エリアとして注目を集めています。今回は、中央区の住宅事情とおすすめの街を紹介します。
江戸に栄えた町人のまちが商業・ビジネスの中心地へ 湾岸エリアの開発で人口増加率1位に
中央区は、その名の通り東京 23 区のほぼ中央に位置する総面積10.115平方キロメートルの行政区です。東は隅田川を境に墨田区・江東区に、西は千代田区・港区に、北は千代田区・台東区に接し、南は東京湾に面しています。
かつての江戸城の東側に位置し、日本橋など町人が多く住む商業のまちとして江戸時代から発展してきました。中央区の広範囲は、江戸時代以降に造られた埋め立て地です。埋め立て工事は、明治期以降も続けられ、月島、勝どきなどは江戸時代の末期から明治期にかけて整備されました。
中央区の人口は、1953年の17万2,183人をピークにほかの都心エリアと同様に減少していましたが、都心回帰の流れで1997年4月の7万2,090人を底に反転上昇。2022年10月1日時点で過去最多の17万3,405人となっています。
1995年以降の人口の増加は、都心のビジネスエリアでもある中央区が居住地として注目され、月島や勝どき、晴海などの湾岸エリアにタワーマンションをはじめとする大規模マンションが相次いで建設されたことに起因します。2020年国勢調査によれば、2015年から5年間の中央区の人口増加率は19.83%となっており、東京都内1位の伸び率になっています。
【中央区のデータ】
総面積…10.115平方キロメートル
人口…17万3,198(2022年10月1日時点)
世帯数…9万8,379(2022年10月1日時点)
中央区に暮らして10年未満が4割以上 移り住む人が多い暮らしやすい街
中央区は、新たに移り住んでくる人が多い街です。2022年4月に実施された中央区政世論調査によれば、中央区に住んで10年未満の人が全体の45.3%を占めています。
一方で、中央区に対する愛着は、「非常に感じる」が43.7%、「少しは感じる」が41.7%と8割を超える人が愛着を感じています。定住意向は「住み続けたい」55.8%、「できれば住み続けたい」が29.4%で、こちらも8割を超える人が住み続けたいと思っています。それだけ、中央区に魅力を感じている人が多いのでしょう。
JR+地下鉄各線が利用可能 丸の内・大手町・虎ノ門に程近く、都心通勤に便利
中央区の魅力に挙げられるのが、都心居住による交通利便性の高さです。
中央区内からは、東京駅、新橋駅などのJR山手線にアクセスできるほか、JR総武線・京葉線、都営新宿線・大江戸線・浅草線、東京メトロ日比谷線・東西線・銀座線・丸ノ内線・有楽町線・半蔵門線が通っています。また、新橋駅や東京駅と結ばれるバス路線も充実しており、都心通勤にはとても便利な場所と言えるでしょう。
2020年国勢調査によれば、中央区の夜間人口16万9,179人に対して、昼間人口は63万3,390人でおよそ3.7倍に増加しています。八重洲、京橋、日本橋、茅場町など、中央区にはオフィス街が集積しており、汐留、有楽町、丸の内、大手町といったビジネス街にも隣接しています。中央区は、こうしたワークプレイスから近く、通勤のしやすさから住む人に時間的な余裕をもたらします。
老舗百貨店や再開発で誕生した新しい商業施設が豊富にそろう街
銀座、日本橋、三越前など、老舗をはじめさまざまなお店がそろう商業ゾーンが身近にあるのも中央区の魅力です。こうした商業エリアは、商業ビルの建て替えや増築で街の景色も大きく変わってきています。
明治時代に、銀座れんが街として街並みが整備された銀座は、多くのブランドショップやグルメなお店が集まるファッションや食の集積地に。銀座三越などの老舗百貨店だけでなく、数寄屋橋交差点近くの東急プラザ銀座や、銀座六丁目の複合商業施設GINZA SIX(ギンザシックス)など、新たな商業施設も続々誕生しています。
また、東銀座には2013年に建て替えられた歌舞伎座があり、銀座の隣には2018年に豊洲市場へ移転するまで、80年以上の歴史を持つ東京の食文化の発信地として栄え、場外市場はいまだ人気のグルメスポットである築地があるなど、銀座周辺は大人のレジャーを楽しめる街として今も多くの人が訪れています。
江戸時代に商業の中心地だった日本橋エリアも、かつてのオフィス街から変貌しつつあります。2004年の日本橋一丁目三井ビルディング(コレド日本橋)をはじめ、三越前駅、日本橋駅周辺に相次いで商業・オフィスビルが誕生。中央通り沿いの再開発では、ビルの間に福徳神社を再生し、都心に憩いの空間が誕生しました。
日本橋郄島屋S.C.新館の開業や、2019年にはコレド室町テラスのオープンなど、新たなにぎわいが生まれるとともにカフェや飲食店、スーパーなど生活関連施設が整い、中央区の住む街としての魅力も高まってきています。
東京ミッドタウン八重洲が完成 各所で再開発が進行し、これからも変化が続く
2022年9月、東京駅の向かい側に完成した東京ミッドタウン八重洲の、地下2階バスターミナル東京八重洲と地下1階の店舗が2023年3月のグランドオープンに先駆けて先行オープンしました。
東京ミッドタウン八重洲は地上45階建ての大規模複合ビル。オフィスや商業施設が入るほか、39階から45階にはブルガリ ホテル 東京が開業。中央区立城東小学校や子育て支援施設(認定こども園)なども設けられています。また、隣接街区である八重洲二丁目中地区や八重洲一丁目東A地区でも再開発が計画されており、工事が進んでいます。
さらに東京駅北側の日本橋川沿いでは、日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業が2021年に着工。約3ヘクタールもある開発地に地上52階建てのオフィス、商業施設、ホテル、居住施設、MICE 施設(交流拠点施設)、ビジネス支援施設などからなる超高層ビルなど3つの街区が2026年3月末に誕生予定です。中央区の日本橋川沿いエリアのまちづくりビジョン 2021によれば、日本橋川周辺では5つの市街地再開発事業が予定されています。
中央区では、ほかにも勝どき東地区や晴海五丁目西地区、豊海地区、月島三丁目南地区、月島三丁目北地区などで市街化再開発が進行中。こちらは、住宅を中心とした街の整備が進んでいます。中央区のほとんどは市街化区域で、区域の77.4%である約659ヘクタールが容積率の大きい商業地域に指定されています。土地の高度利用が求められる場所であり、都市再生の動きの中で再開発が活発化しています。
再開発によって街の防災性が高まるとともに、MICE施設など都市機能が強化され、新たなにぎわいや交流を生み出します。中央区は、各所で開発が進む東京23区の中でも変化の大きな街と言えるでしょう。
中央区の教育環境ですが、1873年(明治6年)開校の久松小学校や1878年(明治11年)開校の泰明小学校など歴史ある小学校が多くあります。また、急激な人口増加によって生徒数が多いマンモス校もあります。また、保育の状況は、2021年4月1日時点で東京都内2番目に多い85人の待機児童数がいましたが、2022年4月1日時点で0人に改善されています。公園などの子どもの遊び場の有無は、地域によってさまざまです。緑地面積は多くはないので、引っ越しを検討する際には周辺環境の確認が必要です。
湾岸エリアでタワーマンションの供給が活発 今後は再開発マンションに注目
中央区の居住者は、銀座や築地、八丁堀などのある京橋地区が4万2,000人台、日本橋人形町や日本橋浜町などのある日本橋地区が5万2,000人台、月島、勝どき、晴海などがある月島地区が7万8,000人台となっています(2022年10月1日時点、中央区ホームページ「中央区の人口・世帯数」より)。近年は、月島や勝どき、晴海などの開発が活発でこのエリアに多くの人が住み替えています。
中央区は大規模なタワーマンションの分譲が豊富です。2000年代から月島や勝どき、晴海などの湾岸エリアを中心にタワーマンションの分譲が活発化し、現在も同エリアを中心にタワーマンションの供給が続いています。ウオーターフロントに建つ住宅からの景色は圧巻で、眺望を求めてこの地域のタワーマンションを検討する人が多いようです。
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月島駅 / 勝どき駅
新築マンションの供給数は、以前ほど目立たなくなってきていますが、東京五輪選手村跡地に建つHARUMI FLAG(晴海フラッグ)やパークタワー勝どきミッド/サウスなど市街地再開発による大規模なマンション分譲は続いています。今後は、月島駅や勝どき駅周辺で再開発によるマンション分譲が計画されています。
中央区の特徴として、築20年以内の比較的築年数の浅い中古マンション流通が多い点が挙げられます。築年数が浅いため中古流通価格も相応に高く、1LDKタイプでも6,000万円程度の予算は必要でしょう。大規模タワーマンションなどフラッグシップとなるマンションも多く、価格相場は高水準に位置しています。また、同じマンションでも向きや階数によって眺望が大きく異なりますので、検討する際はよく確認しましょう。
次に、中央区の筆者おすすめの街を紹介します。
東京駅まで直線1.5キロメートル圏 都心なのに下町情緒を感じられる人形町
1つ目は東京メトロ日比谷線・都営浅草線人形町駅です。この周辺は、江戸時代に歌舞伎小屋である中村座や市村座があった場所。人形町という地名は、人形芝居も行われており、人形遣いが多く住んでいたことが由来とされています。
東京駅から直線距離で1.5キロメートル圏であるにも関わらず、甘酒横町のような老舗の食品処や飲食店、匠(たくみ)の店が並ぶ江戸風情を感じられる街並みが広がります。水天宮や浜町公園なども近く、都心でありながらゆったりとした雰囲気を感じられるのも魅力です。また、新築マンションが活発に分譲されたこともあり、ピーコックストア トルナーレ日本橋浜町店など、便利な買い物施設も整っています。
再開発によって、商業施設が充実している三越前エリアも徒歩圏。コレド室町や日本橋三越本店も歩いて行ける距離です。電車利用はもちろん、東京駅などへの車移動もスムーズ。成田・羽田空港とリムジンバスでダイレクトに往来できる東京シティエアターミナルも近く、国内や海外への出張や旅行にも便利です。
人形町エリアのマンション事情ですが、新築マンションの供給は限られており、比較的築年数の浅い中古マンションの流通が中心です。3LDKタイプは供給が少なく、70平方メートルを超えるものは1億円超の価格で販売されているものも。2LDKタイプは5,000万円前後から流通していて、共働きのカップルなどにおすすめです。
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ウオーターフロント再開発の先駆け タワーマンションが立ち並ぶ月島
続いて紹介するのは、月島です。1980年代~2000年代にかけて、ウオーターフロントの再開発として注目された大川端リバーシティ21の最寄り駅。もんじゃ焼きのお店が立ち並ぶ下町情緒も感じる場所です。駅周辺には、文化堂やダイエー、フジマートなどのスーパーがあり、買い物施設が充実。月島区民センター内には、中央区立月島図書館があるなど公益施設もそろっています。
さらに中央区立石川島公園や中央区立佃公園など、水辺の憩いの場も充実。東京メトロ有楽町線、都営大江戸線の2路線利用の交通アクセスも魅力です。有楽町方面や汐留、六本木方面へダイレクトにアクセス可能で通勤・通学に便利な場所と言えます。
月島駅は豊洲地域と同様にタワーマンションの分譲が活発なエリアで、駅周辺部には駅直結のキャピタルゲートプレイス ザ・タワーやMID TOWER GRAND、ライオンズタワー月島など超高層タワーが立ち並びます。大川端リバーシティ21エリア内の分譲棟センチュリーパークタワーは、地上54階建て。高層階から眺める東京都心の景色は魅力的です。
中古マンション価格は上昇しており、タワーマンションの3LDKタイプは1億円を超える価格設定のものが中心です。1LDK タイプの流通もあり、こちらは5,000万円台から検討可能。職住近接の場所だけに、単身者も住みやすい場所と言えるでしょう。
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駅前再開発や大規模開発が進行する勝どき・晴海エリア
3つ目は勝どき・晴海エリアです。勝どきからは、勝鬨橋を渡れば築地や銀座へもアクセス可能。TOKYO BRT(Bus Rapid Transit)の乗り場もあり、新橋や虎ノ門ヒルズへスムーズにアクセスできます。
また、勝どきが最寄り駅となる晴海5丁目では、東京五輪の選手村跡地で大規模な再開発「HARUMI FLUG(晴海フラッグ)」が進行中。晴海西小学校、晴海西中学校(いずれも仮称)の開校、商業施設や公園の整備、TOKYO BRTの発着場所の設置などが予定されており、家族が暮らしやすい街づくりが進んでいます。
また、勝どき駅周辺のマンション建設に伴い、マルエツなどのスーパーも誕生。かつての倉庫街が職住近接をかなえる暮らしやすい街へと変化しつつあります。勝どき・晴海エリアの魅力は、水辺の整備による美しい景観。スタイリッシュなフォルムのタワーレジデンスと潤いある水辺空間は、この場所ならではの風景と言えます。
勝どき・晴海エリアは、新築マンションの供給が活発で、勝どき駅直結の大規模再開発パークタワー勝どきミッド/サウスが分譲中。晴海5丁目で分譲されているHARUMI FLAGは湾岸エリアとしては手の届きやすい価格設定で人気になっています。
中古マンションは駅距離によって価格差があり、2LDKタイプで7,000万円台、3LDKタイプでも8,000万円台から検討できます。中央区の中では新築マンションの分譲が続くエリアなので、新築マンションを検討しつつ中古マンションにも目を向けてはいかがでしょうか。
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江戸時代から引き継がれる災害に強い街 築地市場跡地など今後の再開発にも期待
中央区の住まい探しの留意点は、人口流入のため地域によっては保育施設が充足していない可能性があること。隅田川の近くは、洪水時の浸水リスクもあります。また、容積率の高い商業地が多いため、眺望や日照に難のある住戸が多いことも注意が必要です。隣接の建物の建て替えによって日照や眺望が奪われる場合もあるので注意しましょう。
中央区は江戸時代の明暦の大火などの災害時に、町割りを変えるなど防災を強化した街づくりが以前からなされてきました。「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」によれば総合危険度の低い街が多く、晴海はすべての地区が最も危険度が低い「1」となっています。
商業・住宅のスケールの大きな再開発が進む中央区では、築地市場移転に伴う広大な跡地の開発動向も注目されています。10年後には、街の姿も大きく変貌しそうです。歴史ある街が都市再生によって進化し、住拠点としての整備も進む中央区の暮らし。きっと豊かなライフスタイルが実現できるのではないでしょうか。
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