マンション価格が高くなりすぎ、とても手が出ないと諦めている人はいませんか? たしかに、首都圏の都心部やその周辺は高くなりすぎていると言えますが、範囲を広げると手頃な価格で手に入るエリアもあります。今は手頃でも将来の値上がりが期待できるエリアで買い替えを見据えて購入しておけば、ステップアップも可能になるのではないでしょうか。

23区のマンションには1,000万円の年収が必要

マンション価格は驚くほど値上がりを続けています。首都圏の新築マンション平均価格は図表1の通りです。首都圏平均では、2013年の4,929万円が2021年には6,260万円となっており、この間の上昇率は27.0%に達します。

東京23区だけに限ると、2013年には5,853万円だったのが、2021年には8,293万円ですから、実に41.7%も上がった計算です。残念ながら、この間の日本人の平均給与はあまり変わっていないので、ここ数年で急速にマンションを買いにくくなっているのは間違いありません。

仮に、東京23区のマンションを8,000万円の住宅ローンを組んで買うとすれば、金利1.0%、35年元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は22万5,828円です。返済負担率(返済比率ともいい、年収に占める年間返済額)をより安全な範囲である25%に抑えるとすれば、1,084万円の年収が必要です。平均的な会社員の給与では、とても手が出なくなっています。

出典:株式会社不動産経済研究所「全国 新築分譲マンション市場動向2021年」

中古マンションなら年収400万円台でも手が届く

しかし発想を変えれば、平均的な会社員でも十分に手が届くマンションを見つけることができます。

マンション情報サイト「マンションレビュー」を運営する株式会社ワンノブアカインドの調査によると、全国の市区町村の中で70平方メートル換算の価格が最も高いのは、東京都港区の1億161万8,800円となっています。2位以下を見ても、23区が占めていて、中古マンションと言えどもやはり都心部での購入は簡単ではありません。

出典:株式会社ワンノブアカインド「マンションレビュー」リリースより

しかし、都心部に限らなければ、ここまで高いマンションばかりではありません。公益財団法人東日本不動産流通機構によると、首都圏の2021年の中古マンションの成約価格の平均は3,869万円です。中古なら、新築の61.8%で取得できる計算です。

仮に3,500万円の住宅ローンを組んで買うとすれば、金利1.0%、35年元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は9万8,799円です。前述と同様に、返済負担率を25%に抑えるためには、474万円の年収があればOKです。それなら何とかなるという人も多いのではないでしょうか。

1年前と比較した「騰落率」から将来性を予測

しかし、安いだけでは将来的な値上がりを見込めるとは言えず、取得したマンションを売却してステップアップすることが難しくなります。できれば、将来の値上がりが期待できるエリアで取得しておきたいものです。

その点参考になるのが、中古マンションの騰落率。先のワンノブアカインドでは、中古マンション価格のランキングとともに、1年前と比較した上昇率を調査し、騰落率としてランキングを作成しています。価格の上昇率が高ければ、将来的に売却して、より便利で、ひと回りもふた回りも広いマンションに買い替えられる可能性も出てくるでしょう。

市区町村別の騰落率のランキングは以下にある通りです。

出典:株式会社ワンノブアカインド「マンションレビュー」リリースより

相模原市中央区の騰落率は+41%

全国の市区町村で騰落率トップとなったのは、神奈川県相模原市中央区の+41.00%でした。70平方メートルのマンションが1年前には1,673 万円だったのが、2022年8月には2,359万円に上がっています。

神奈川県には3つの政令指定都市がありますが、その中でも相模原市は横浜市や川崎市に比べてまだまだ価格水準が低く、それだけ将来の値上がりが期待できるという見方もできます。

相模原市中央区にはJR横浜線の相模原駅、矢部駅、淵野辺駅があります。なかでも相模原駅は、南側に道路が放射線状に広がり、駅ビルや商業施設などが充実しています。また、相模原駅と矢部駅との間には相模原市役所や相模原市市民会館、市体育館などがあり、相模原市の行政の中心になっています。

相模原駅からは、JR横浜線で横浜駅までは40分前後、さらに、八王子駅でJR中央線に乗り換えるか、橋本駅で京王相模原線に乗り換えるか、町田駅で小田急小田原線に乗り換えれば、新宿駅へも1時間以内でアクセスできます。利便性が高い場所の割には割安感があるので、今後も一定程度の価格上昇が期待できるのではないでしょうか。

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観光地から住宅地としての人気が高まる川越市

首都圏では郊外のターミナル駅がある市区町村の騰落率が高くなっているのが目立ちます。それも2,000万円台で取得できるエリアが多いので注目です。

たとえば、騰落率4位の埼玉県川越市の70平方メートル換算の中古マンション価格は2,500万円で、騰落率は+25.95%です。川越市にある川越駅には、東武東上線やJR川越線などが乗り入れ、都心への通勤・通学が便利なターミナル駅です。東武東上線なら川越駅から池袋駅までは乗車時間約35分。さらに東京メトロ副都心線に乗り入れているので、都心の各方面につながっているほか、横浜方面に出かけるのも便利です。

もともと、昔ながらの街並みが残る「小江戸」として人気を集めてきましたが、最近は住宅地としても人気が高まっています。駅前などに高層マンションも立地するようになり、中古マンション市場も注目され始めています。

市内の各駅では再開発が活発に進められており、ますます便利になりそうです。そのため、駅前などに早くから立地している中古マンションが人気を集めて買われるようになり、価格が上がっています。地元の不動産業者によると、「特に駅前の中古マンションは人気が高く、売り物件が出れば、たちどころに売出価格で売れています」という状況で、今後も価格の上昇が続くのではないか、としています。

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2,000万円台で手に入る騰落率の高いエリアは八王子市・松戸市

このほか、騰落率5位の東京都八王子市、7位の千葉県松戸市が、70平方メートル換算価格2,000万円台で、騰落率+20%台の上昇率です。

八王子市は、東京都西部の中心都市です。最近は、より都心に近い立川市に押されていた感もありますが、価格の安さから再び注目されるようになっています。

八王子駅はJR中央線、京王線で新宿駅に直結しており、JR中央線なら中央特快利用で新宿駅まで約38分、東京駅へも約53分です。通勤・通学に便利なだけではなく、市内には人気が高い高尾山があり、奥多摩や山梨方面へのアクセスにも恵まれています。明治時代から繊維の街として栄え、各種のインフラも充実している点なども人気の要因になっているようです。

同様に千葉県松戸市も騰落率が高く、将来の値上がりが期待されるエリアです。松戸駅はJR常磐線や新京成電鉄などが乗り入れ、都心をはじめとする各方面へのアクセスが充実しています。

こうした将来性の高そうなエリアでマンションを取得して、将来の買い替えによるステップアップなどを考えてみてはどうでしょうか。

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八王子駅 / 松戸駅

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