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履くのが楽なのはすごく良いんだけど…

 夏用の履き物として重宝されるビーチサンダルですが、クルマの運転をするうえで適した物とは言い難いです。それどころか交通違反として取り締まりの対象になる可能性もあります。

 ではどういった理由で取締りとなっているのか、また実際に運転に適さない履き物で運転するとどのようなリスクがあるのか解説します。

運転時にビーチサンダルを履くのはOK?

【画像】これは運転に支障出そう…ペダル操作が難しくなる履き物を画像で見る(10枚)

 ビーチサンダルで運転したことを取り締まる法的な根拠としては、「道路交通法 第70条 安全運転の義務」というものがあり、「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」とされています。

 つまり安全運転のための操作に支障があるとみなされるビーチサンダル、厚底靴、ハイヒール、下駄などが取り締まりの対象となります。

 違反すると違反点数2点、反則金6000円(普通車)です。

 道路交通法 第70条は言い換えれば「安全な運転ができないと判断された場合に適用されるもの」であり、明確に履き物を制限している法ではありません。ですが、各都道府県における条例によって具体的に指定されていることがあります。

 東京都道路交通規則 第8条の2では、「木製サンダル、げた等運転操作に支障を及ぼすおそれのあるはき物をはいて車両等(軽車両を除く。)を運転しないこと。」と、具体的に運転に支障が出る履き物は禁止とする旨が記載されています。

 では運転に適さない履き物で運転すると、クルマの操作にどのような影響が出るのでしょうか。

 JAFは過去に、サンダルや革靴・スニーカーなど履き物の違いによる運転操作の変化をテストコースで検証し、その結果を公表しています。

 検証ではスニーカー、爪先が尖った革靴、木製サンダル、ビーチサンダル、厚底ブーツ、ハイヒールなどで運転しました。なお、サンダルはいずれもかかとが固定されないタイプのものです。

 結果としては木製サンダル、ビーチサンダルはかかとが固定されていないこともあり、ペダル操作時に足元がぐらついて履き物が脱げそうになる場面が見られました。また厚底ブーツやハイヒールはつま先での操作を余儀なくされている状態となり、ペダル操作がおぼつかなくなりました。

 そんななかで安定した運転ができていたのは、やはりスニーカーでした。とくに大きな影響が出たのは急制動時のブレーキペダルへの踏み込む力の強さで、他の履き物では30daN程度になったのに対して、スニーカーは90daN以上に達し、力強くブレーキを作動させることができていました。

いったいどうなの? クルマの「裸足運転」

 JAFの検証から「足首などの動きを妨げず、足の感覚に近い履き物=スニーカー」が適していることがわかりました。では、足の感覚を妨げる要素がない裸足ではどうなのでしょうか。

果たして「裸足運転」はNG?

 確かに法的には裸足である事を禁止する内容は盛り込まれておらず、取り締まりの対象からは外れることになります。

 しかし裸足では急制動などの際に、ペダル操作によって足に痛みが生じ、踏み込む力が弱まる可能性があります。

 また裸足では「緊急時の脱出や避難の際に足をケガする可能性がある」というリスクが付きまといます。

 これは交通事故に限らず他の災害時でも指摘されることであり、屋外への脱出を余儀なくされる状況下にて靴を履くことで、ガラス片や小石から足を守ることができます。

※ ※ ※

 運転に適した履き物は、スニーカーのような、足の形に合わせられ柔軟性と追従性の高いものになります。サンダルなどを履いていたときでも、運転用として履き替えるドライビングシューズを車内に用意しておくと、より万全でしょう。