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はじめに

レンジローバーの5代目が登場した。もし、抜本的な見直しの必要がないと思えるクルマがあったとしたら、それこそレンジローバーだろう。

【画像】写真で見るレンジローバーとライバル 全16枚

50年以上にわたって、レンジローバーがやってきたことはシンプルだ。最高のオフロード性能と豪華さを組み合わせるのである。それこそ、ランドローバーが生み出したテーマだと主張しているものだ。


テスト車:レンジローバーD350 HSE    LUC LACEY

そうして、どこへでも行けるクルマの伝統が生まれた。朝方に農場のフェンスをチェックしに行って、それから買い物や子供の送り迎えをして、夜にはオペラを観に行く。一日中、すべての用事を1台で済ますことができる。

疑問はいくつかある。それが現代においても必要なのか、もし必要だとしても、本当にそういう使われ方をしているクルマはいったいどれくらいあるのだろうか。ランドローバーは130カ国で車両を販売しているが、ニーズも国土の広さもまちまちだ。

ひと目見てわかることだが、最新のレンジローバーは大きなクルマだ。最低でも全長は5mを、全幅は2mを超える。今回テストするのが、まさにその仕様だ。

D350というのは、350psを発生するディーゼルの最上位機種だが、レンジローバーのラインナップ全体を見れば下位にあたる。もっとも、HSEグレードにオプションをいくつか追加すれば、価格は12万4245ポンド(約2050万円)に達してしまう。

さらに、上は際限がない。車体は今回の通常サイズに加え、ロングホイールベースが設定される。ガソリンエンジンのラインナップも数多く、さらに驚くような性能を発揮する。加えて、SVOことスペシャルヴィークルオペレーションにオーダーすることも可能だ。

レンジローバーは、単にハイエンドSUVだというだけではなく、高級車であることも求められるクルマだ。このテストでは、そうしたあらゆる要素を、ほかにないほど厳しく検証していこうと思う。

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

新型レンジローバーは、MLAフレックスと銘打った、アルミ素材が80%を占めるプラットフォームを使用する。しかし実質的には、ランドローバー各車と可能な限り多くのコンポーネンツを共用している。部分的、もしくは全面的な電動化にも、もちろん内燃エンジンにも対応する。なお、今回のD350を含め、内燃エンジンのほとんどはマイルドハイブリッド化されている。EV仕様は2024年登場の予定だ。

CピラーとDピラーの部分には、ボディを取り囲むようなスティールの環状構造が用いられる。Aピラー下のボディ下部と、フロントドア開口部のエッジ周りも、同様の補強が入る。静的ねじり剛性は3万3000N/degで、先代比50%アップしている。


エンジンラインナップは幅広く、MHEVやPHEVも揃えるが、さらに2年後にはEVも加わる予定だ。    LUC LACEY

サスペンションはエアスプリングで、コイルは選択肢にない。オフロードなどでは車高を135mm上昇し、乗降時には50mmダウンすることができる。フロントはダブルウィッシュボーンで、リアは5リンク。48V駆動のアクティブスタビライザーも標準装備で、ナビのデータにより前方のコーナーを検知し、先読み制御を行う。

さらに、アクティブ四輪操舵も標準装備。低速では前輪と逆位相に最大7.3°転舵し、小型ファミリーカー並みの最小回転半径を実現する。ターンインで効果を発揮するブレーキでのトルクベクタリングや、電子制御LSDも全車に備わる。

オフロード走行に関しては、テレインレスポンスIIを採用。ドライブトレインやトラクションコントロール、スタビリティコントロール、サスペンションの制御を、路面や地形に応じて変更できる。

改めていうが、これは大きなクルマだ。これまでもそうだったが、今回は標準ボディでも全長は5052mm、ホイールベースは2997mmもあり、ロングホイールベースはさらに200mm長い。それでも、5141mmのベントレー・ベンテイガや5151mmのBMW X7には及ばない。

全幅も広い。ミラー格納時で2047mm、展開すると2225mmに達する。しかし、過去のランドローバー各車は、ライバルよりはるかに優れた視認性で、幅の広さを多少なりとも埋め合わせてきた。

エンジンのラインナップは、現時点でも幅広いが、さらに広がりそうだ。機種名は、使用燃料と出力の組み合わせで、ガソリンマイルドハイブリッドのP360とP400、V8ガソリンのP530、ディーゼルマイルドハイブリッドのD250/D300/D350を設定。さらに、ガソリンPHEVも、P440eとP510eの2タイプが用意される。

トランスミッションは、全車ともZF製の8速トルクコンバーターATで、より過酷なオフロード走行に備えてローレンジの副変速機が搭載される。もちろん四輪駆動だが、気温3℃以上において、19〜161km/hで舗装路を走行する際には二駆となり、CO2排出量を4g/km削減する。

それでも、エミッションが低いとは言い難い。Cd値は0.30で、エアフローはスムースかもしれないが、ボディはワイドな上に1870mmの高さもあって、空気抵抗は小さくない。結果、D350の燃費は12.6km/L、CO2排出量は207g/kmとなっている。

内装 ★★★★★★★★★☆

インテリアには、L322こと2002年登場の3代目からはじまったテーマがそこはかとなく感じられる。ダッシュボードは、横方向の大きな塊を、縦方向のエレメントが2等分していて、ヨットなどにインスピレーションを得たスタイルとなっている。

ただし、過去のモデルほどそれが明確には感じられない。それはダッシュボードのなかほどに、新たに13.1インチのタッチ式ディスプレイが浮かぶように設置されていることも一因だ。それでも、考え方は変わらない。高級感や古典的なテイスト、流行に流されない感じをもたらしている。


インテリアのデザインテイストは、3代目から続くテーマを感じさせる。走りに集中するようなドライビングポジションではないが、運転環境は寛容で心地よい。    LUC LACEY

シートに深くゆったり座ると、操縦系がしっくりくる。スポーツカーのようにドライバーフォーカス傾向を追求したコクピットとは、まったく違う運転環境だ。

それがむしろ、どこをとっても心地いい。シートは大柄でフラットだが、調整範囲は非常に広い。ドライビングポジションは高く、立ち気味で、大きなステアリングホイールやペダルに対して真正面に座らされる。

シフトセレクターはずんぐりとしていて大きく、どことなくパワーボートのスロットルレバーに見えなくもない。その隣にあるテレインレスポンスの切り替えノブは、トランスミッショントンネルへスッキリと押し込むことができる。小物入れとカップホルダーにはカバーがつき、使わないときには隠しておける。

ちょっと残念だったのは、アルミ調のパネルが反射した光が目に入りやすいこと。また、音量調整ノブがないことも惜しまれる。それがあれば、インフォテインメントシステムがもっと使いやすくなったのだが。

デジタルのメーター類は鮮明だ。ステアリングホイールのスイッチはフィジカルなボタンではなくタッチパネルだが、ミスタッチしやすいものではない。マテリアルの質感とフィッティングや仕上げは、10万ポンド(約1650万円)以上の車両価格に見合ったものだ。

後席スペースも広々としており、ロングホイールベース仕様には7シーターも設定されるが、中心となるのは5シーター。SVOにオーダーすれば、電動テーブルや冷蔵庫などを装備する4シーターも製作できる。

おそらく、使いやすさを高めてくれるのは、上下分割式を歴代モデルから引き続き採用したテールゲートだ。下段は手前に倒れて、ピクニックテーブルや椅子の代わりにもなるし、上段はひさしになる。リアシートは電動分割可倒式で、荷室フロアのディバイダーを背もたれにすることもできる。

走り ★★★★★★★★☆☆

6気筒ディーゼルのインジニウムユニットがいかに静かなのかはこの後詳しく紹介するが、注目に値するのは、350ps/71.3kg−mのスペックがもたらすパフォーマンスは、普通にドライビングしていると、しばしば活発さを感じさせずに発揮されることだ。

満タンで2667kgに達するテスト車では、パワートレインに多くを求めることも多いが、そうした場合でさえ、スムースで控えめだ。さらに2名乗車してのゼロスタートは、0−97km/h加速が6.3秒。公称値にはやや及ばないが、それでも十分速く性能は高い。


2.6tを超えるクルマでありながら、エンジンが苦しそうなところを見せることなくスムースに加速する。一方、ブレーキ性能には物足りなさを感じる。    LUC LACEY

レスポンスもスムースだ。パドルシフトでのギアセレクトもしやすい。スロットルのトラベルは長く、キックダウンは予期しやすいので、自動変速にしていても意のままに走れる。

もっとゆったり走れば、どのギアに入っているかまず気づかせない。ソフトもハードも、このサイズのクルマとしては世界最高レベルの燃費を実現するもので、エンジンを酷使したり、洗練性を損なったりすることなく、この上なく賢明に高いギアを選んでくれる。113km/h巡航では、8速で1550rpmしか回さないので、じつに慎み深い感じを保つ。

ブレーキ性能はそれほど際立っていない。ドライ路面で試すことができなかったことは不運だったが、それにしても、97−0km/hの3.67秒というタイムも、113−0km/hに要した66.2mという距離も物足りない。

前回、2.5t以上の車両を湿ったコースで試したケースを思い返すと、BMW iXのテストまで遡るのだが、そのときは気温が7℃しかなかったにもかかわらず、同様の制動試験で3.42秒と57.8mをマークしている。

もっとも、レンジローバーはオールシーズンタイヤ、BMWはグリップに勝るオンロードタイヤを履いていたというのも、多少は影響しているだろう。

使い勝手 ★★★★★★★★☆☆

インフォテインメント

ランドローバーのPivi Proシステムで選べるメニューにはどんなものがあるのか。列挙したら書くスペースが尽きてしまいそうなほど多い。タイヤ情報、ナビ、バレーモード、オフロード情報、低トラクションローンチ、Android AutoとApple CarPlay、メディア、カメラ、車両の進行方向、音声操作、牽引/トレーラー、キャビン照明、パークアシスト、空気のクオリティ、送風、などなど。

あまりにも多すぎる。使う機会が滅多にないテレインレスポンスのノブをセンターコンソールに配置するくらいなら、この多すぎる項目を選び操作するダイヤルか何かを設置したほうがよかったのではないだろうか。


13.1インチのタッチ式ディスプレイで選択・操作できる項目は非常に多い。できればセンターコンソールに、ダイヤルなどの操作デバイスを設置してもらいたかったところだ。    LUC LACEY

停車中であれば、このインターフェースの機能性や使い勝手も、メニューも、じつにわかりやすい。操作に対するディスプレイの反応も素早い。

マーケットによっては、Amazon Alexaを用いたボイスコントロールも装備される。ナビゲーションにはショートカットや、What3Wordでの位置決め機能も備わる。オーディオはメリディアン製で、すばらしいサウンドを聴かせてくれる。

燈火類

並外れて明るいヘッドライトだが、他者への眩惑防止もしっかりできているようだ。

ステアリングとペダル

ステアリングホイールと運転席のセンターはピッタリ合っていて、ブレーキペダルもセンターに位置する。スロットルペダルは右側の完璧なポジションにある。しかし、スペースを考えると、正しい場所に配置されていて当然ともいえる。

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

全長5m以上、全幅2m以上のクルマをワインディングで走らせるのは、多くのドライバーにとってうれしい体験を期待できるケースではない。はっきりいって、大きなクルマは苦痛に感じる、という声さえあるだろう。

たしかに、レンジローバーの幅広さは否定しようがない。それでも、Qがつくアウディや、Gではじまるメルセデスに比べれば見切りがよく、車両感覚がつかみやすい。競合する大型SUVの多くと比較して、グラスハウスは広い。


正確なステアリングと優れた視認性が、狭い道でも位置決めを、ほかの大きなクルマより容易にしてくれる。    LUC LACEY

ライバルたちはもっとオンロード志向で、ドライビングポジションが低かったり、クーペ風を謳うデザインだったりする。それにより、ボンネットのエッジが把握しづらい。側面の低いところも見づらいが、レンジローバーなら、広いミラーで楽に確認できる。世界各地で売るクルマなので、英国の路上では大きすぎるとは感じるが、これで視認性が悪かったら、事態はもっと悪化していただろう。

路上での位置決めをする能力は、操縦系や操舵系がいかに正確でレスポンスがいいかという点にも及ぶ。もし、目に入る3番目のキャッツアイ位置を合わせようとすれば、それができる。コーナーのイン側に思い切り寄せて、対向車が通るスペースを空けたいと思えば、それもできてしまう。

このコントロール系には、重量から想像する以上の敏捷性も備わる。アクティブスタビライザーとエアサスペンションが、本当にスポーティではないにしても、ロールを抑えてうまく鼻先の向きを変えてくれる。

そして市街地や、タイトなエントランスの出入りでは、アクティブリアステアが大きな効果を発揮し、ドライバーに自信をもたらしてくれる。

快適性/静粛性 ★★★★★★★★★★

静粛性は、レンジローバーの大きな強みだ。ヘッドレストに内蔵されたアンチノイズのノイズキャンセル機能によるところもあるが、物理的なキャビンの遮音性をかなりがんばった結果でもあるはずだ。

アイドリングでは、このクルマの直6ディーゼルは、暗騒音以上のノイズをキャビンに送り込んではこない。路面が湿っていることを考慮した上で、できるだけ全速力を出してみても、わずかに音が大きくなるだけだ。


ありがたいのは、エンジンルームや路面から集中力を削ぐような入力がないことだ。速度を上げても静かで、路面からのショックやボディの無駄な動きも感じられない。    LUC LACEY

あるテスターが、ドライ路面で試乗した際に持ち込んだ、メモ代わりのボイスレコーダーを聴かせてもらったときも驚かされた。「いま97km/hで走っている」とコメントしている背景のノイズは、50km/h以下で走っているときとなんら変わらないのだから。

ロールス・ロイスのSUVでも、もしこれより静かだったとしたら、驚くだろうというくらいの静粛性だ。サセックスに心ある人がいて、以前にテストしたブラックバッジより静かな仕様を貸してくれるなら、きっちり計測して答えを出したいところだ。

乗り心地はまるで、路面の隆起を簡単に掃き清めてしまったよう。ジャガー・ランドローバーは、開発のすべてを等しく適切に行ったとはいえないかもしれない。しかし、緩やかなアキュラシーや操縦系のリニアなレスポンス、シャシーの手際のよさに関していえば、ほかのメーカーを含めても、とくにこれほど大きなクルマで、ここまで完璧なものはほとんどない。ベントレー・ベンテイガでも、ここまでではないと断言できる。

路面不整やキャッツアイ、ジョイントを乗り越えると、音でそれとわかっても、22インチホイールを履いていてさえ、身体に感じるショックはない。どこか遠くで、押し殺した衝撃音がする、という感じだ。

それでいて、抑えの効いていない浮き上がりやピッチ、揺れも起きない。気持ちいいほど落ち着いたボディの挙動は、このクルマの快適性の大きな部分を占めている。少なくとも今回の仕様なら、レンジローバーはこのうえなく正しく適切に仕上がったといえる。

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

レンジローバーは、コンフィギュレーターをいじりだすと長い時間を費やしてしまう類のクルマだ。ボディは長短2種類、パワートレインは8種類あり、グレードも数多いので、モデル数だけで37もある。その中には、オプション抜きの車両価格が17万8220ポンド(約2940万円)という仕様も存在する。

われわれの見解では、レンジローバーはより控えめな仕様ほどいい、ということになる。今回のテスト車のように、本体価格が10万ポンド(約1650万円)程度の仕様のことを指すので、控えめといっても、あくまでラインナップ内での相対的な表現ではあるのだが。


テストしたのはディーゼル車だが、4年後までの残価率は競合モデルを上回ると予想される。

車両の不足は、短期的な残価には有利に働くだろう。オーナーにとって、最近の半導体不足がプラスとなるのは、新車供給が限定されるという点だ。ランドローバーは、もっとも利益の上がるモデルを優先しているはずだが、それでもクルマが足りない状態が続いているのである。

テスト時の燃費は、12km/L前後だった。サーキットテストでは5.7km/Lまで落ち込んだが、これは例外的な数字だ。一般道であれば、よほど飛ばしてもここまで悪化しないだろう。巡航時でも13km/Lには届かないだろうが、11.4km/Lという今回の平均燃費を出すのは難しくない。

スペック

レイアウト

新開発のMLAフレックスプラットフォームを、多モデルに先駆けて導入したレンジローバー。素材は80%がアルミだが、衝突安全や遮音のキーとなる箇所にはスティールを用いている。

先代モデルに対し、重量はわずかに増加している。実測値は2667kgで、前後重量配分は50:50。サスペンションは前ダブルウィッシュボーン/後5リンクで、エアスプリングと、48Vシステムで駆動するアクティブスタビライザーを採用する。後輪は最大7度の操舵が可能だ。

エンジン


プラットフォームは80%がアルミだが、衝突保護や制振に強度が必要な箇所はスティール素材を用いる。後輪操舵の舵角は最大7度だ。

駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:直列6気筒2997ccターボチャージャー、ディーゼル
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ83.0×92.3mm
圧縮比:15.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:350ps/4000rpm
最大トルク:71.3kg−m/1500−3000rpm
エンジン許容回転数:4700rpm
馬力荷重比:144ps/t
トルク荷重比:29.3kg−m/t
エンジン比出力:117ps/L

ボディ/シャシー

全長:5052mm
ホイールベース:2997mm
オーバーハング(前):860mm
オーバーハング(後):1195mm

全幅(ミラー含む):2225mm
全幅(両ドア開き):3900mm

全高:1870mm
全高(テールゲート開き):−mm

足元長さ(前席):最大1100mm
足元長さ(後席):最大760mm
座面〜天井(前席):最大1000mm
座面〜天井(後席):950mm

積載容量:725〜1841L

構造:スティール/アルミモノコック
車両重量:2430kg(公称値)/2667kg(実測値)
抗力係数:0.30
ホイール前・後:9.5Jx22
タイヤ前・後:285/45 R22/104Y M+S
ピレリ・スコーピオンゼロ・オールシーズンLR
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)

変速機

形式:8速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.50/8.4 
2速:3.52/13.2 
3速:2.20/21.1 
4速:1.72/27.0 
5速:1.32/35.2    
6速:1.00/46.3 
7速:0.82/56.3 
8速:0.64/72.6 
最終減速比:3.31:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:11.4km/L
ツーリング:12.7km/L
動力性能計測時:5.7km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):−km/L
中速(郊外):−km/L
高速(高速道路):−km/L
超高速:−km/L
混合:12.6km/L

燃料タンク容量:80L
現実的な航続距離:909km
CO2排出量:207g/km

サスペンション

前:ダブルウィッシュボーン/エアスプリング、アクティブスタビライザー
後:マルチリンク/エアスプリング、アクティブスタビライザー

ステアリング

形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.8回転
最小回転直径:11.37m

ブレーキ

前:380mm通気冷却式ディスク
後:355mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:自動式、ステアリングホイール右側にスイッチ設置

静粛性

アイドリング:37dBA
全開時(5速):70dBA
48km/h走行時:52dBA
80km/h走行時:55dBA
113km/h走行時:61dBA

安全装備

緊急ブレーキ/死角アシスト/レーンキープアシスト/後方クロストラフィック警告/後方衝突モニター
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人−%/子供−%
交通弱者保護性能:−%
安全補助装置性能:−%

発進加速

テスト条件:湿潤路面/気温14℃
0-30マイル/時(48km/h):2.2秒
0-40(64):3.4秒
0-50(80):4.6秒
0-60(97):6.3秒
0-70(113):8.2秒
0-80(129):10.6秒
0-90(145):13.4秒
0-100(161):17.0秒
0-110(177):21.3秒
0-120(193):26.6秒
0-402m発進加速:14.9秒(到達速度:152.1km/h)
0-1000m発進加速:27.1秒(到達速度:194.4km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
メルセデス・ベンツGLS 400d AMGライン・プレミアム4マティック(2020年)
テスト条件:乾燥路面/気温6℃
0-30マイル/時(48km/h):2.4秒
0-40(64):3.5秒
0-50(80):4.8秒
0-60(97):6.5秒
0-70(113):8.5秒
0-80(129):10.9秒
0-90(145):13.9秒
0-100(161):17.5秒
0-110(177):22.0秒
0-120(193):28.5秒
0-402m発進加速:15.0秒(到達速度:151.1km/h)
0-1000m発進加速:27.4秒(到達速度:191.0km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):2.4秒(2速)/3.6秒(3速)

30-50(48-80):2.7秒(3速)/3.7秒(4速)/4.2秒(5速)

40-60(64-97):3.1秒(3速)/3.4秒(4速)/4.3秒(5速)/5.6秒(6速)/7.4秒(7速)

50-70(80-113):4.6秒(4速)/4.4秒(5速)/5.9秒(6速)/7.2秒(7速)/11.2秒(8速)

60-80(97-129):4.6秒(5速)/6.3秒(6速)/7.7秒(7速)/10.9秒(8速)

70-90(113-145):5.2秒(5速)/6.7秒(6速)/8.4秒(7速)/11.7秒(8速)

80-100(129-161):7.2秒(5速)/7.3秒(6速)/9.3秒(7速)

90-110(145-177):8.1秒(6速)/10.2秒(7速)

制動距離

テスト条件:湿潤路面/気温14℃
30-0マイル/時(48km/h):12.5m
50-0マイル/時(64km/h):33.5m
70-0マイル/時(80km/h):66.2m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.67秒

ライバルの制動距離

メルセデス・ベンツGLS 400d AMGライン・プレミアム4マティック(2020年)
テスト条件:乾燥路面/気温6℃
30-0マイル/時(48km/h):8.6m
50-0マイル/時(64km/h):23.5m
70-0マイル/時(80km/h):45.5m

各ギアの最高速

1速:40.2km/h(4700rpm)
2速:62.8km/h(4700rpm)
3速:99.8km/h(4700rpm)
4速:127.1km/h(4700rpm)
5速:165.8km/h(4700rpm)
6速:218.9km/h(4700rpm)
7速:233.3km/h(4138rpm)
8速(公称値):233.3km/h(3218rpm)

8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1553rpm/1775rpm

結論 ★★★★★★★★★☆

このレンジローバーほどラインナップが幅広いと、ベストなモデルと、それには及ばないものの境界線というのができてしまうものだ。われわれとしては、ショートホイールベースで、ホイールは23インチより22インチ、ドライブトレインは合理的なものを選ぶのが、よりよい仕様を手にする成功への近道だと考えている。

キャビンの静粛性や落ち着いた乗り心地は、このクラスでも比類ないものがある。賭けてもいいが、ほかのクラスでもこれほどのものはめったにない。乗ってみれば、ランドローバーの値付けにも容易に納得できる。オンロードでもオフロードでも、その性能は抜きん出ている。


結論:並外れて静かで快適な高級車でありながら、高性能4×4としても完璧だ。    LUC LACEY

残念なのはウェイトの重さだ。たとえあと250kg軽くても、まだレンジローバーは重いクルマだ。しかし、先進技術を惜しみなく投入して、本格オフロード性能も備えた高級車をランドローバーが作れば、マーケットのトップエンドに位置するクルマとなることは必然だ。

また、このサイズが求められるマーケットに向けて作られたレンジローバーが、英国の路上で扱いやすいものになっているというのは、それだけでもみごとなことだ。

担当テスターのアドバイス

マット・プライアー

回転計を気にすることはほとんどなかった。レンジローバーはじつに静かで、エンジンが中回転域に跳ね上がっても音はほとんど聞こえず、そこそこの距離を走っても低い振動があるだけだ。

イリヤ・バプラート

新型レンジローバーのワイドさは避けがたい。ある意味、それにより感じる尊大さはうれしいが、長い目で見ると、ボディサイドを擦らないようにいつも気にしなければならないことが、ラグジュアリーな感じを損ねてしまうように、個人的には思った

オプション追加のアドバイス

おそらく、安価な仕様を選んだほうがいい結果につながる。レンジローバーはどれを選んでも高級感がある。標準装備のレベルが高いからだ。しかし、安いモデルほど軽い。そのことはたぶん、選ぶに値する美徳だ。

改善してほしいポイント

・重量を削減できる余地がないか、検討してもらいたい。
・センターコンソールに、インフォテインメントシステムの操作ダイヤル的なものを設置してほしい。
・センターコンソールといえば、パネルが光を反射してまぶしいので、サテン仕上げの艶消し具合ををもっと強めたほうがいい。