『仮面ライダーオーズ』岩永洋昭と君嶋麻耶が語る『復活のコアメダル』結末への思いと『バースＸ誕生秘話』
●10年ぶりも「久しぶりって気がしない」
800年の眠りから復活した怪物グリードの襲来と、これに立ち向かうべくオーメダルの力で変身する青年・火野映司（演:渡部秀）の戦いを描く平成仮面ライダーシリーズ第12作『仮面ライダーオーズ/OOO』（2010年）は、「人間の欲望」という根源的なテーマと、映司に手を貸すグリードのアンク（演:三浦涼介）をはじめとする個性豊かなキャラクター同士のぶつかりあいにより、さまざまに熱いドラマが生み出された。
『オーズ』の魅力的なキャラクターたちの中で、ひときわ輝きを増しているのがオーズと共にグリードと戦うもうひとりの「仮面ライダー」、すなわち仮面ライダーバースである。バースの変身者には、世界各地を回り「戦う医師」との異名を取るタフな男・伊達明（演:岩永洋昭）が選ばれ、重火器系の武器を用いてパワフルな戦いを繰り広げた。そして、伊達の後を受けて新たなバース変身者となるのが、元ライドベンダー隊第一小隊長・後藤慎太郎（演:君嶋麻耶）だった。
細かいことを気にしない豪快な伊達とは対照的に、世界を救いたいという気持ちだけが先走り、生真面目ゆえの失敗が見られた後藤だったが、伊達とコンビを組むことによって人間的成長を遂げ、オーズを助けて戦う立派な戦士となった。
ここでは、放送10周年記念Vシネクスト『仮面ライダーオーズ/OOO 10th 復活のコアメダル』および東映特撮ファンクラブ配信ドラマ『仮面ライダーバース バースＸ誕生秘話』でも活躍する岩永洋昭、君嶋麻耶の2人が、テレビシリーズ『仮面ライダーオーズ/OOO』の思い出や、10年以上もの月日を経て「新作」が作られた『オーズ』の持つ底知れぬパワー、そして作品を長年にわたって愛し続けてくれた多くの『オーズ』ファンへの感謝の気持ちを語ってくれた。
――『仮面ライダーオーズ／OOO』放送当時のころをふりかえり、ご自身の役柄についてのご感想をお願いします。
岩永:伊達は世界中を飛び回って人の命を助けてきた医者という設定だったので、衣装も野性味のある革ジャンになりました。基本ずっと短髪だったし、何も考えずヒゲ生やしたままでオーディションに行ったんですけど、それでいいんじゃないってことで、ほぼ素のまま役が決まった感じです。以前『トミカヒーロー レスキューフォース』で隊長の役をやっていましたけど、マジメな隊長よりも伊達のほうが自分の地に近いのかもしれません。マジメではないので(笑)。
君嶋:後藤ちゃんは第１話から出ているんですけど、台本を読んでいくうち、彼の置かれている状況がどんどん変化していくんですよね。ライドベンダー隊第１小隊の隊長だったのが、クスクシエ（知世子が経営する多国籍料理の店）でアルバイトをしていたり。あのバイト時代については、脚本家の（小林）靖子さんに文句を……言わないですけど……(笑)。後藤は次にどんな目に遭うんだろう？と少し戸惑いながら演じていた部分もありました。
――伊達が番組に途中加入してから、後藤は伊達とコンビを組むことによって戦士として人間として、飛躍的に成長していった感じです。お二人のチームワークについて教えてください。
岩永:悪くなかったよね。お互い気さくに声をかけあってた。
君嶋:二人とも芝居について、こうしたほうがいいとかああしようとか話した覚えが全然ないんです。プライベートな話題ばっかりで、よい距離感で過ごしていました。
岩永:どんな演技がいいかとか、話してなかったな(笑)。他のドラマと違って、1年近くずっと一緒にいますからね。肩の凝る話は自然にしなくなっていきました。
君嶋:伊達さんと後藤ちゃんがコンビを組んで、一緒にいるシーンが増えるにつれて、話す機会が多くなったように思います。今でもそうですが、仲良くさせていただきました。
――テレビシリーズ最終回を迎えたときのお気持ちはどうでしたか。
君嶋:終わって寂しいとか悲しいとかの感情はなくて、1年間いろいろな出来事があって大変だったけど、なんとか無事に終わることができてよかったという思いでした。張りつめていた緊張がようやく解け、ホッとしたのを覚えています。
岩永:俺は終わって寂しいという気持ちが大きかった。キャストのみんなとも、スタッフとも仲が深まりましたから、これで（撮影）終了か……と感慨深かったですね。
――放送終了から11年、『オーズ』完結編というべきVシネクスト『仮面ライダーオーズ／OOO 10th 復活のコアメダル』が2022年に公開されました。ファンが驚いたのは当時のメインキャストの方々が勢ぞろいされたことと、みなさん10年以上もの歳月を経ているのに見た目の印象がぜんぜん変わらないことでした。お二人は今回の出演に合わせ、どんな役作りをされたのですか。
君嶋:僕は10年前と体重が変わっていないので、ほぼ何もせずそのまま現在の後藤を演じるよう努めました。普段の生活で、実年齢より若く見られることが多かったので、髪型とかを大人っぽい雰囲気にアレンジしてみたのですが、集まったキャストのみんながそれぞれ10年前の感じに戻してきたのを見て「ああ、そっちでよかったのか」という思いが少しありました。
岩永:僕も体型や体重がほとんどあのころと変わらなかったんですけど、顔つきとかは10年分の年齢が表れていると思いましたね。
君嶋:ヒロちゃん（岩永）も俺も、10年分老けてますよ(笑)。それが自然です。
――キャストのみなさんが久しぶりに集まったときのお気持ちを聞かせてください。
岩永:放送が終わってから何度か会っていた人もいたし、ほんとに放送当時以来ひさびさの人もいましたが、みんなで話していたのは「すごく久しぶりではあるけれど、久しぶりって気がしない」ってことでした。あれからもう10年以上も経っていると思えないほど、スッと自然に現場の空気に入っていくことができたし、楽しかったんです。
君嶋:本当にそうですね。10年ぶりだからって、妙によそよそしい感じにもなりませんでした。
岩永:1年ずっと一緒に撮影をしていた仲間同士だと思ってるから、やっぱり違うよね。
●『復活のコアメダル』結末について
――『復活のコアメダル』の悲しくも切ない結末は、長年『オーズ』を愛してきたファンの人たちの間でも賛否が分かれました。お二人はこれについてどうお考えですか。
岩永:僕自身は、あの終わり方でいいかなって思います。これでオーズの物語は「完結」なんだという潔さも感じられて、嫌いではなかったです。
君嶋:確かにあのラストには驚きましたが、『復活のコアメダル』という作品自体、秀ちゃんと「もう一度オーズを見たい」と言ってくれているお客さんのためにやろうという感じで作り始めたので、秀ちゃんがやりきっていればそれでいいと思っています。10年ぶりの新作をお見せすることができたというのが最も重要であり、結末について僕が意見を言うことはないと思います。
――シリアスで笑いの部分が皆無な『復活のコアメダル』から一転、TTFC（東映特撮ファンクラブ）で配信されるスピンオフドラマ『仮面ライダーバース バースＸ誕生秘話』ではかなりコミカルなシーンがあると聞きました。役者としては、ムードの異なる作品を交互に撮影していると混乱したりしないのでしょうか。
岩永:コミカルタッチの作品を撮っているときは、現場も楽しいですよ。
君嶋:『復活のコアメダル』がピリッとしていたから、TTFCではコミカルで行こうとなったんでしょうね。『オーズ』放送時にも、スピンオフ配信番組でかなりギャグっぽいやつをやっていましから、そのノリはよく分かっています。
――かつてテレビで『オーズ』を観ていた熱心なファンの方から「観てました」と声をかけられたりしたことはありますか。
岩永:実はつい先日も言われたんですよ。本広克行さんの作品に出演しているとき、僕が殴られるシチューエーションで監督から「はい、ここから（岩永が）変身して……」なんて、僕がライダーに「変身」していることを知ってもらえていた。すごい嬉しかったですよ。
君嶋:わりと、どこへ行っても先々で「観てました」と言われます。そのときは「応援ありがとうございます」とお礼を言いながら、仮面ライダーの強い影響力を実感しますね。
――ヒーローを演じるにあたり、意識していたことは何ですか？
君嶋:秀ちゃんは当時から、赤信号になったら絶対渡らないとか、常に子どもたちの思いを大切にしていました。しかし、僕はそれほどじゃないですね。どちらかといえば、杓子定規なルールに意味があるのか、現実を見るべきじゃないのか、とか思ってしまうタイプです。
岩永:わかる。大人が決めたルールが絶対で、これより正しいものはない、みたいな教育はしたくないんだよね。正解、不正解の間にも答えはあるし、単純に善悪を決めつけないで、自分自身で判断が出来るようになってくれたらいいなと思います。
――もしも岩永さん、君嶋さんが再度「ヒーロー」を演じるなら、次はどんなヒーローを演じてみたいですか
岩永:僕はバース以降も、けっこうヒーローを演じているんです。『宇宙刑事NEXT GENERATION』（宇宙刑事シャイダー／烏丸舟役）とか、舞台『僕のヒーローアカデミア』とか。
君嶋:ヒーローはもう、お腹いっぱい？
岩永:そんなことはないよ。もしも演じることができるなら、闇を背負った「ダークヒーロー」を演じてみたい。悪の匂いがするヒーローには、強い魅力を感じます。
君嶋:僕もダークヒーローをやってみたい。僕自身、映司みたいな明るい方向のキャラクターで行くのが難しいかもしれません。
――お二人から『バースＸ誕生秘話』の見どころを教えてください。
岩永:まずはいつもと違う『オーズ』キャストそれぞれの言動に注意して観てほしいです。伊達なんて、鴻上会長（演:宇梶剛士）のスーツを着ていますから。キャスト陣の、ちょっと変なようすをお楽しみください(笑)。
君嶋:気楽にご覧になり、笑ってくだされば嬉しいですね。『バースＸ誕生秘話』は映司もアンクも伊達もみんな「パラレルワールド」の住人ですが、後藤だけがいつもの後藤なんです。今回、後藤がバースＸに変身して敵とメインで戦うシーンがあります。どうしてもテレビシリーズでの主役はオーズですから、バースの活躍シーンが短かったりすることが過去にはたくさんありました。今回はバースが主役なものですから、たっぷりとバースの勇姿をお楽しみいただけると思います。
プロフィール
岩永洋昭（いわなが・ひろあき）1979年生まれ、長崎県出身。2000年にモデルデビュー後、2004年より俳優としても活動を始める。『トミカヒーローレスキューファイヤー』（2008年/石黒隊長役）などテレビドラマ出演を経て『仮面ライダーオーズ』（2010年）で伊達明/仮面ライダーバースを演じ、人気を博す。『僕のヒーローアカデミア』シリーズをはじめとする舞台への出演のほか、『ベルセルク』などのアニメ作品で声優を務めるなど、多方面で活躍中。
君嶋麻耶（きみじま・あさや）1987年生まれ、神奈川県出身。2003年よりファッションモデルとして活躍し、大学卒業後の2009年から本格的に俳優としての活動を開始。『仮面ライダーオーズ／OOO』（2010年）ではクールで真面目な男・後藤慎太郎を熱演し、仮面ライダーファンからの注目を集める。俳優に転向後もファッションアイテムのデザインに携わるなど、ファッショニスタとして一目置かれる存在で、日々コーディネートを発信している。
(C)石森プロ・東映
800年の眠りから復活した怪物グリードの襲来と、これに立ち向かうべくオーメダルの力で変身する青年・火野映司（演:渡部秀）の戦いを描く平成仮面ライダーシリーズ第12作『仮面ライダーオーズ/OOO』（2010年）は、「人間の欲望」という根源的なテーマと、映司に手を貸すグリードのアンク（演:三浦涼介）をはじめとする個性豊かなキャラクター同士のぶつかりあいにより、さまざまに熱いドラマが生み出された。
『オーズ』の魅力的なキャラクターたちの中で、ひときわ輝きを増しているのがオーズと共にグリードと戦うもうひとりの「仮面ライダー」、すなわち仮面ライダーバースである。バースの変身者には、世界各地を回り「戦う医師」との異名を取るタフな男・伊達明（演:岩永洋昭）が選ばれ、重火器系の武器を用いてパワフルな戦いを繰り広げた。そして、伊達の後を受けて新たなバース変身者となるのが、元ライドベンダー隊第一小隊長・後藤慎太郎（演:君嶋麻耶）だった。
細かいことを気にしない豪快な伊達とは対照的に、世界を救いたいという気持ちだけが先走り、生真面目ゆえの失敗が見られた後藤だったが、伊達とコンビを組むことによって人間的成長を遂げ、オーズを助けて戦う立派な戦士となった。
ここでは、放送10周年記念Vシネクスト『仮面ライダーオーズ/OOO 10th 復活のコアメダル』および東映特撮ファンクラブ配信ドラマ『仮面ライダーバース バースＸ誕生秘話』でも活躍する岩永洋昭、君嶋麻耶の2人が、テレビシリーズ『仮面ライダーオーズ/OOO』の思い出や、10年以上もの月日を経て「新作」が作られた『オーズ』の持つ底知れぬパワー、そして作品を長年にわたって愛し続けてくれた多くの『オーズ』ファンへの感謝の気持ちを語ってくれた。
――『仮面ライダーオーズ／OOO』放送当時のころをふりかえり、ご自身の役柄についてのご感想をお願いします。
岩永:伊達は世界中を飛び回って人の命を助けてきた医者という設定だったので、衣装も野性味のある革ジャンになりました。基本ずっと短髪だったし、何も考えずヒゲ生やしたままでオーディションに行ったんですけど、それでいいんじゃないってことで、ほぼ素のまま役が決まった感じです。以前『トミカヒーロー レスキューフォース』で隊長の役をやっていましたけど、マジメな隊長よりも伊達のほうが自分の地に近いのかもしれません。マジメではないので(笑)。
君嶋:後藤ちゃんは第１話から出ているんですけど、台本を読んでいくうち、彼の置かれている状況がどんどん変化していくんですよね。ライドベンダー隊第１小隊の隊長だったのが、クスクシエ（知世子が経営する多国籍料理の店）でアルバイトをしていたり。あのバイト時代については、脚本家の（小林）靖子さんに文句を……言わないですけど……(笑)。後藤は次にどんな目に遭うんだろう？と少し戸惑いながら演じていた部分もありました。
――伊達が番組に途中加入してから、後藤は伊達とコンビを組むことによって戦士として人間として、飛躍的に成長していった感じです。お二人のチームワークについて教えてください。
岩永:悪くなかったよね。お互い気さくに声をかけあってた。
君嶋:二人とも芝居について、こうしたほうがいいとかああしようとか話した覚えが全然ないんです。プライベートな話題ばっかりで、よい距離感で過ごしていました。
岩永:どんな演技がいいかとか、話してなかったな(笑)。他のドラマと違って、1年近くずっと一緒にいますからね。肩の凝る話は自然にしなくなっていきました。
君嶋:伊達さんと後藤ちゃんがコンビを組んで、一緒にいるシーンが増えるにつれて、話す機会が多くなったように思います。今でもそうですが、仲良くさせていただきました。
――テレビシリーズ最終回を迎えたときのお気持ちはどうでしたか。
君嶋:終わって寂しいとか悲しいとかの感情はなくて、1年間いろいろな出来事があって大変だったけど、なんとか無事に終わることができてよかったという思いでした。張りつめていた緊張がようやく解け、ホッとしたのを覚えています。
岩永:俺は終わって寂しいという気持ちが大きかった。キャストのみんなとも、スタッフとも仲が深まりましたから、これで（撮影）終了か……と感慨深かったですね。
――放送終了から11年、『オーズ』完結編というべきVシネクスト『仮面ライダーオーズ／OOO 10th 復活のコアメダル』が2022年に公開されました。ファンが驚いたのは当時のメインキャストの方々が勢ぞろいされたことと、みなさん10年以上もの歳月を経ているのに見た目の印象がぜんぜん変わらないことでした。お二人は今回の出演に合わせ、どんな役作りをされたのですか。
君嶋:僕は10年前と体重が変わっていないので、ほぼ何もせずそのまま現在の後藤を演じるよう努めました。普段の生活で、実年齢より若く見られることが多かったので、髪型とかを大人っぽい雰囲気にアレンジしてみたのですが、集まったキャストのみんながそれぞれ10年前の感じに戻してきたのを見て「ああ、そっちでよかったのか」という思いが少しありました。
岩永:僕も体型や体重がほとんどあのころと変わらなかったんですけど、顔つきとかは10年分の年齢が表れていると思いましたね。
君嶋:ヒロちゃん（岩永）も俺も、10年分老けてますよ(笑)。それが自然です。
――キャストのみなさんが久しぶりに集まったときのお気持ちを聞かせてください。
岩永:放送が終わってから何度か会っていた人もいたし、ほんとに放送当時以来ひさびさの人もいましたが、みんなで話していたのは「すごく久しぶりではあるけれど、久しぶりって気がしない」ってことでした。あれからもう10年以上も経っていると思えないほど、スッと自然に現場の空気に入っていくことができたし、楽しかったんです。
君嶋:本当にそうですね。10年ぶりだからって、妙によそよそしい感じにもなりませんでした。
岩永:1年ずっと一緒に撮影をしていた仲間同士だと思ってるから、やっぱり違うよね。
●『復活のコアメダル』結末について
――『復活のコアメダル』の悲しくも切ない結末は、長年『オーズ』を愛してきたファンの人たちの間でも賛否が分かれました。お二人はこれについてどうお考えですか。
岩永:僕自身は、あの終わり方でいいかなって思います。これでオーズの物語は「完結」なんだという潔さも感じられて、嫌いではなかったです。
君嶋:確かにあのラストには驚きましたが、『復活のコアメダル』という作品自体、秀ちゃんと「もう一度オーズを見たい」と言ってくれているお客さんのためにやろうという感じで作り始めたので、秀ちゃんがやりきっていればそれでいいと思っています。10年ぶりの新作をお見せすることができたというのが最も重要であり、結末について僕が意見を言うことはないと思います。
――シリアスで笑いの部分が皆無な『復活のコアメダル』から一転、TTFC（東映特撮ファンクラブ）で配信されるスピンオフドラマ『仮面ライダーバース バースＸ誕生秘話』ではかなりコミカルなシーンがあると聞きました。役者としては、ムードの異なる作品を交互に撮影していると混乱したりしないのでしょうか。
岩永:コミカルタッチの作品を撮っているときは、現場も楽しいですよ。
君嶋:『復活のコアメダル』がピリッとしていたから、TTFCではコミカルで行こうとなったんでしょうね。『オーズ』放送時にも、スピンオフ配信番組でかなりギャグっぽいやつをやっていましから、そのノリはよく分かっています。
――かつてテレビで『オーズ』を観ていた熱心なファンの方から「観てました」と声をかけられたりしたことはありますか。
岩永:実はつい先日も言われたんですよ。本広克行さんの作品に出演しているとき、僕が殴られるシチューエーションで監督から「はい、ここから（岩永が）変身して……」なんて、僕がライダーに「変身」していることを知ってもらえていた。すごい嬉しかったですよ。
君嶋:わりと、どこへ行っても先々で「観てました」と言われます。そのときは「応援ありがとうございます」とお礼を言いながら、仮面ライダーの強い影響力を実感しますね。
――ヒーローを演じるにあたり、意識していたことは何ですか？
君嶋:秀ちゃんは当時から、赤信号になったら絶対渡らないとか、常に子どもたちの思いを大切にしていました。しかし、僕はそれほどじゃないですね。どちらかといえば、杓子定規なルールに意味があるのか、現実を見るべきじゃないのか、とか思ってしまうタイプです。
岩永:わかる。大人が決めたルールが絶対で、これより正しいものはない、みたいな教育はしたくないんだよね。正解、不正解の間にも答えはあるし、単純に善悪を決めつけないで、自分自身で判断が出来るようになってくれたらいいなと思います。
――もしも岩永さん、君嶋さんが再度「ヒーロー」を演じるなら、次はどんなヒーローを演じてみたいですか
岩永:僕はバース以降も、けっこうヒーローを演じているんです。『宇宙刑事NEXT GENERATION』（宇宙刑事シャイダー／烏丸舟役）とか、舞台『僕のヒーローアカデミア』とか。
君嶋:ヒーローはもう、お腹いっぱい？
岩永:そんなことはないよ。もしも演じることができるなら、闇を背負った「ダークヒーロー」を演じてみたい。悪の匂いがするヒーローには、強い魅力を感じます。
君嶋:僕もダークヒーローをやってみたい。僕自身、映司みたいな明るい方向のキャラクターで行くのが難しいかもしれません。
――お二人から『バースＸ誕生秘話』の見どころを教えてください。
岩永:まずはいつもと違う『オーズ』キャストそれぞれの言動に注意して観てほしいです。伊達なんて、鴻上会長（演:宇梶剛士）のスーツを着ていますから。キャスト陣の、ちょっと変なようすをお楽しみください(笑)。
君嶋:気楽にご覧になり、笑ってくだされば嬉しいですね。『バースＸ誕生秘話』は映司もアンクも伊達もみんな「パラレルワールド」の住人ですが、後藤だけがいつもの後藤なんです。今回、後藤がバースＸに変身して敵とメインで戦うシーンがあります。どうしてもテレビシリーズでの主役はオーズですから、バースの活躍シーンが短かったりすることが過去にはたくさんありました。今回はバースが主役なものですから、たっぷりとバースの勇姿をお楽しみいただけると思います。
プロフィール
岩永洋昭（いわなが・ひろあき）1979年生まれ、長崎県出身。2000年にモデルデビュー後、2004年より俳優としても活動を始める。『トミカヒーローレスキューファイヤー』（2008年/石黒隊長役）などテレビドラマ出演を経て『仮面ライダーオーズ』（2010年）で伊達明/仮面ライダーバースを演じ、人気を博す。『僕のヒーローアカデミア』シリーズをはじめとする舞台への出演のほか、『ベルセルク』などのアニメ作品で声優を務めるなど、多方面で活躍中。
君嶋麻耶（きみじま・あさや）1987年生まれ、神奈川県出身。2003年よりファッションモデルとして活躍し、大学卒業後の2009年から本格的に俳優としての活動を開始。『仮面ライダーオーズ／OOO』（2010年）ではクールで真面目な男・後藤慎太郎を熱演し、仮面ライダーファンからの注目を集める。俳優に転向後もファッションアイテムのデザインに携わるなど、ファッショニスタとして一目置かれる存在で、日々コーディネートを発信している。
(C)石森プロ・東映
