3Dプリンターや安価なシングルコンピューターボードなどの登場によって、自作人工呼吸器や自作人工すい臓といった医療関連の機器を個人で作成できる環境が整いつつあります。そんな状況の中で生まれた「匂いを嗅いで物体の種類を認識できる人工鼻」をもとに、13歳の少年が「呼気から肺炎を診断できるデバイス」を開発したことが話題となっています。

How a 13-year-old used my artificial nose to diagnose pneumonia - Benjamin Cabé

https://blog.benjamin-cabe.com/2022/02/16/how-a-13-year-old-used-my-artificial-nose-to-diagnose-pneumonia

Second Sense: Build an AI Smart Nose - Make:

https://makezine.com/projects/second-sense-build-an-ai-smart-nose/

話題となっている肺炎診断デバイスは、Microsoft所属のプログラマーであるベンジャミン・カベ氏が2021年に公開した「人工鼻」をカスタマイズして開発されました。人工鼻は以下の画像の左上に写るデバイスで、内部にガスセンサーやコンピューターボードが搭載されており、物体から放たれる気体の成分を分析して物体の種類を推定することが可能です。



カベ氏は、この人工鼻の3Dデータやファームウェアのソースコードを公開しており、作り方の詳細を自作デバイス情報サイト・Makeで解説していました。



その後、カベ氏に対してカリフォルニア州に住む13歳の少年カレブ君から人工鼻に関する質問が寄せられました。カベ氏がカレブ君と連絡を取ったところ、カレブ君が肺真菌症について数カ月間調査しており、既存の方法よりも患者に負担がかからず安価な診断方法の開発のために人工鼻のアイデアを活用しようとしていることが分かったとのこと。

その後、カレブ君は人間が発する揮発性物質や肺真菌症を患った人が発する揮発性物質の特徴に関する研究結果を参考に、肺真菌症を見分けるAIを搭載した「呼気の成分を分析し、肺真菌症を診断するデバイス」を開発しました。以下は、カレブ君が描いた診断デバイスのアイデアスケッチです。



以下のムービーではカベ氏とカレブ君がMicrosoftの公式配信で肺真菌症診断デバイスについて語る様子を確認できます。

AI Show - Episode 50 - Artificial Nose and 30 Days of Learn: AI Fundamentals - YouTube

肺真菌症診断デバイスの見た目はこんな感じ。画面左側の上から3番目に映っている男性がカベ氏で、再下段に映っている少年がカレブ君です。



診断デバイスの上部には、カベ氏が公開していた人工鼻の構成部品が納められています。



現在カレブ君は診断デバイスに関する論文を執筆中とのことで、近日中に論文が公開される予定です。