プチプラ服でも高く見える人と高い服でも安見えしてしまう人の決定的な差とは?(写真:【IWJ】Image Works Japan/PIXTA)

「せっかく高い服を買っても、安い服に見えてしまう」人もいれば、「プチプラ服を買っても、ブランド服のように見える」人もいます。また、年齢を重ねると去年までは似合っていたはずの服が、今年着るとなんだか違和感……と感じること人も少なくないはず。その違いは、服そのものではなく、着こなしに原因があるのかもしれません。

『手持ちの服でなんとかなります』の著者で、人気パーソナルスタイリストの杉山律子氏が、新たにお金をあまりかけずに、手持ちのクローゼットにある服でもオシャレに着こなせるプロのコツを紹介します。

自分と服がキレイに見える「いいシワ」を作り出す


(出所)『手持ちの服でなんとかなります』(サンマーク出版、以下同)

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写真のワンピースは、1枚でそのまま着ることもできますが、ウエストマークしてシワを作り、動きを出してみました。袖もたくし上げて手首を見せ、たるませることでより表情をつけています。比べるとよくわかりますが、シワを出して着たほうがスタイルよく、素敵に見えませんか?

下に仕込んだボトムスにも注目してください。これがぴったりしたレギンスやタイツだったらどうでしょう? 私の場合、O脚を気にしていて、ぴったりしたボトムスだと、そのフォルムがリアルに出すぎてしまい、人様にお見せできません......。写真で穿いているテーパードパンツだと、ほんのちょっとの隙間があることで、脚の形がカモフラージュできますし、「じつは、細いの?」と錯覚して見せる効果があるんです。大人が着て素敵に見えるには、フィットしているよりも、少し余裕があるくらいのサイズ感が不可欠です。

身体と服の間の隙間感、服の中で体が心地よく動かせるほどの余白感、これがとっても大事です。これを私は「ちょいゆる」と呼んでて、その効果はマイナス3キロ&マイナス3歳ぶんくらいと見積もっています。

シンプルな普通の服に見えるけれど、トータルでいい雰囲気があふれている。「なんか素敵」と、内側から自然な魅力や存在感を感じさせる。周りにそんな人はいませんか? おしゃれとは、手持ちの服の数より、ブランドや値段より、最終的に着こなしによって差がつきます。アイテム自体より、顔立ちやスタイルの差より、着こなしの差のほうが人の印象を決定づけるのです。

では、着こなし力とはなんでしょう?簡単に言うと、服の着方によって、動きを出したり、表情をつけること。SNSやブランドのサイトの写真を見てみると、服をそのままのっぺりと着て、仁王立ちしている姿など、1枚もないですよね?くしゅくしゅと腕まくりしていたり、襟を遊ばせたり、ボタンを開けたり閉めたり。それによって服に動きが出ています。これが着こなし力です。すごく細かいポイントなのですが、これをやるのとやらないのでは、服の表情が変わってきます。

私たちスタイリストが撮影現場でやっていることも、まさにこれ。「あれ?似合わなくなった?」と思ったら、そこで諦めないで、服を自分に似合わせていく作業を行っていきましょう。


同じ服でもウエストマークの位置を変えれば印象が変わる

大人女子は服から肉感がでないようにすることが大切

30代後半以降になると、どんなにスリムな人でも、思わぬところに贅肉がつきます。その肉感をなるべく拾わないことが老けないように見せるコツであり、服をきれいに着こなすための大前提です。洋服の生地にもよりますが、NG写真のように1枚でワンピースを着るとゆったりして太って見えてしまうことがあります。

服を着たときは、前からだけでなく、後ろもしっかりチェックが必要。ブラジャーやブラトップなどのカップ付きのキャミソール、お尻など、大人ならではの肉感は背面に出ることがほとんどです。鏡でチェックするだけでなく、少し動きながら動画で自撮りしてみると、客観的に判断しやすくなります。

私自身、前後に体をゆらしたり、しゃがんだりして動いてみて、肉感をチェックしています。仁王立ちしたときには気づかない肉感が発見されることも!モデルのようにスタイル抜群でない限り、自分の体型に合わせて、服を「着こなす」ことは必要不可欠。手持ちの服で肉感が出てしまったり、ピタピタなものがあったら、そのまま着るのはやめて「カバー」してしまいましょう。トップスならロングカーディガンを重ねたり、ボトムスならチュニックやロングブーツが便利です。

服の組み合わせで失敗しやすいのがトップスとボトムスの面積のバランス。トップスとボトムスの面積が1対1に近くなるほど、スタイルよく見せるのが難しくなります。たとえば、チュニックにワイドパンツを合わせるコーデはよっぽどスタイルがいいモデルでないと着こなせません……。そんな「ゆる×ゆる」のコーデはしっかり計算して着こなせれば素敵ですが、時間のないときは避けたほうが無難。

簡単なのは、「細×ゆる」のバランスです。トップスがゆったりしたものなら、ボトムスはテーパードパンツで細めに。ボトムスがゆったりなら、トップスはシャープなアイテムにしたり、タックインしてコンパクトにしたり。メリハリをつけると、パッときれいめにまとまります。


「ゆる×ゆる」の上下服はぽっちゃりの人に逆効果

ときどき、ぽっちゃりされていることを気にして、「ゆる×ゆる」で上下ともふんわりした服でカバーしようとする人がいますが、ボリューミーにふくらんで見えて体の面積が大きくなるので逆効果。ぽっちゃりを気にしている人こそ、締め色を上手に使いながら「細×ゆる」にしてみるといいでしょう。「ゆる」のアイテムを服の中で体が泳ぐくらいゆったりしたデザインにすれば、大人っぽい優しい雰囲気になって素敵です。


また、面積が同じでも「太く、短く」か「細く、長く」で、見え方は変わります。スタイルアップして見せるためには、全身の中で細くて長いところを作るのがコツ。特にボトムスは「細く、長く」が理想的です。ふんわりとボリュームのある膝丈のギャザースカートは「太く、短く」の典型。縦より横の比率が多くなってコロンと見えます。モデルのような長身ならかっこいいのですが、一般身長の私たちには寸足らずで脚が短く見えてしまいます。

タイトスカートも、膝丈よりふくらはぎ丈のほうが「細く、長く」のラインが作れます。素材も大切で、ハリ感のあるものよりも、柔らかいニットやポリエステルなど、落ち感があるもののほうが「細く、長く」が作れるので効果的です。