駅に掲示された「ゴミ箱撤去」を知らせる張り紙

 都心の重要交通網である「東京メトロ」は、1月16日をもって駅構内のゴミ箱をすべて撤去する。

 東京メトロは、海外でのテロ発生の影響などで、2005年から中が見える透明パネルがつけられたゴミ箱を設置してきた。だが、今回「セキュリティ強化の観点」からゴミ箱の撤去を決めたという。

 撤去の事実が明らかになると、ネット上ではさまざまな疑問や批判が噴出した。

《素直に経費削減のためって言えばいいのに》

《コストかかるだけ、ってことなんだろうけど、ユーザーのことを考えずに済むとは思えない》

《コロナの売上減を人件費カットで補った結果なのだろう。雇用を削る事にもなるし、これなら東急みたいに素直に値上げした方がマシな気がする》

 こうした「本当にセキュリティが理由なのか?」という疑問に加え、「駅構内で買ったものはどこで捨てればいいのか?」という疑問もある。

《別にゴミ箱を無くす事自体はいいけど、売店とか自販機で買った後のゴミは、どうすればいいの?》

《JRも地下鉄も、ゴミ箱撤去するのやめて。新聞、捨てる所無くて困っている。食べ終わった駅弁家まで持って帰るのキツイ》

《自販機でドリンク売ったり、キオスク?で物品を販売して、寡占的に乗客から利益を得ているのに、ゴミ箱は撤去するって矛盾しすぎやろ?》

 このように東京メトロが駅構内にコンビニや販売店を設置していることとの “矛盾” を指摘する声も多くあがっている。

 これらの利用者の声に、東京メトロはどのように答えるのか。同社広報を取材した。

――ゴミ箱の撤去に対して「素直に経費削減と言ってほしい」との声があがっています。

「そのような観点ではなく、セキュリティ強化のための撤去です。大手町駅で不審物と思われるものが、過去に複数回ゴミ箱に入れられていた事象が発生していまして、同駅では2021年11月からゴミ箱をすでに撤去しておりました。

 その点について、特にお客様からご意見もいただいておらず、大手町駅以外でも不審物が捨てられているケースがあったために、全駅で撤去となりました」

――不審物はどのようなものなのでしょうか?

「たとえばですが、白い粉のようなものが入っていた場合、こちらで勝手にそれが安全なものとは判断できないため、それ相応の対応をする必要があります。

 結果、その粉が『砂糖だった』とわかって危険物ではなかったとしても、日々こうした不審物と思われるようなものが捨てられているということです」

――ネット上で意見があがっていても、撤去の方針を変えるつもりはないのですか?

「特段、ありません。再設置する見込みも、いまのところはありません」

――駅構内の販売店で購入したものがゴミになった場合、どのように処理をすればよいのでしょう。

「大変申し訳ございませんが、基本的にはゴミはお持ち帰りいただく形でご理解、ご協力をいただきたいです。

 自動販売機の横のリサイクルボックスは撤去予定はありません。トイレ内のゴミ箱も撤去予定はありません」

 現在、東京メトロにはゴミ箱撤去に対するクレームは来ていないという。安全な都市を守るためには仕方がない決断なのかもしれない――。