UFOに撃墜された? 「マンテル大尉事件」発生-1948.1.8 高高度で大尉は何を見たのか
「空飛ぶ円盤」が何者なのか、真相が不明なうちはしばしばUFOと称されますが、1948年の今日、その円盤を追跡中の戦闘機が墜落し、搭乗員が亡くなるという「マンテル大尉事件」が発生しました。真相はいまだわからずじまいです。
戦闘機P-51「マスタング」で追跡、高高度へ…
日本時間で1948(昭和23)年の1月8日(現地時間:1月7日)、アメリカのケンタッキー州で、「空飛ぶ円盤」を戦闘機で追尾した飛行兵が墜落死するという、いわゆる「マンテル大尉事件」が発生しました。当時、ニューヨークタイムズ紙も「『空飛ぶ円盤』を追跡した飛行兵が死んだ」という見出しで報じ、人々の関心と恐怖を誘いました。真相は未解明な点も多く、アメリカ空軍に所属していたトーマス・F・マンテル大尉は「UFO(未確認飛行物体)による戦死者」ともいわれます。
マンテル大尉がUFOを追跡した際に乗っていたアメリカ空軍のP-51「マスタング」戦闘機(プロトタイプ)。写真は同型機(画像:アメリカ空軍、一部加工)。
事故当日はケンタッキー州などで、UFOの目撃が相次ぎました。空軍は大尉らにUFOを追跡し調べるよう命令。大尉は空軍の単発単座戦闘機P-51「マスタング」に搭乗し、みるみる上昇していきます。
しかし高高度になるにつれ、ほかの機体は引き返します。マンテル大尉機のみが追跡を続けますが、2万5000フィート(約7625m)に達した辺りで交信が途絶。すでにP-51は制御不能になっていたとされます。
その後、地上において墜落したとおぼしきP-51の残骸と大尉の遺体が発見されました。空軍は当初、墜落と死亡原因を「大尉は金星をUFOと誤認して高高度まで追跡し、酸欠状態に陥って意識を失ったため」と発表。ところがしばらくして、アメリカ海軍が高高度で気象観測するために無人の気球を飛行させていたことが判明すると、空軍は「金星ではなく海軍の気球を誤認したため」と発表内容を訂正しています。
先述の、ケンタッキー州などで目撃されたUFOとされる空飛ぶ円盤の正体は、やはり気球だったのでしょうか。真相は大尉以外に知る由もなく、またUFOが地球外の強力な兵器で機体を撃墜したとの噂もあいまって、謎に包まれたまま「マンテル大尉事件」として現代に語り継がれています。