docomo 5GがSA方式でも12月13日から提供開始!まずは法人向けのみ

NTTドコモは13日、オンラインにて「ドコモ5Gのさらなる進化に関する説明会」を開催し、5G(第5世代移動通信システム)において新たにスタンドアローン(SA)方式によるサービスを2021年12月13日(月)より日本全国で提供開始すると発表しています。

まずは法人向けとして提供され、5GのSub6(3.7GHz帯および4.5GHz帯)を用い、下り最大1.7Gbpsおよび上り最大143Mbpsとなるとのこと。また個人向けサービスを2022年夏に提供開始することを明らかにし、2022年夏に5G SAに対応したスマートフォン(スマホ)を投入するということです。

なお、サービスが開始される法人向けは「Wi-Fi STATION SH-52B」をベースに5G SAに対応させた製品を利用するとのことで、個人向けサービスを提供開始する際に既存のスマホなどの製品について5G SAが利用できるかどうかは現時点では検討中だとのこと。

また説明会では5Gのエリア展開や通信品質などのこれまでの状況についても紹介され、特に5Gエリアの端で通信品質が低下してデータ通信が止まる事象(いわゆる「パケ止まり」)への対策としてすでに3つのチューニングを行っているほか、送信データ速度を改善する施策を今年度中に実施することが案内されました。

その他にも既存の4G向け周波数帯の5Gへの転用については技術的な準備は着々と進めているものの、同社では4Gを利用している人が仮想移動体通信事業者(MVNO)を含めてまだかなり多いこともあり、そうした人々への影響が少なからず出てくるため、影響をしっかりと見定めながら導入時期を検討しているとしていました。


NTTドコモでは総務省より2019年4月に5G向けに新たに周波数帯域が割り当てられ、Sub6では3.7GHz帯(n78)と4.5GHz帯(n79)、ミリ波(mmWave)では28GHz帯(n257)という4Gの周波数よりも広い幅が利用できるため、5G専用の周波数を活用した高速&大容量なサービス「瞬速5G」として提供しています。

また5Gの通信速度も商用サービス開始当初の2020年3月から段階的に高速化しており、2020年9月にミリ波のサービスを開始し、送信時最大480Mbpsを実現したほか、2020年12月にSub6の周波数帯を束ねて利用するキャリアアグリゲーション(CA)を導入して受信時最大4.2Gbpsを提供してきました。



こうした高速化技術の導入とともにエリアの拡大にも努めており、特にエリア拡大の途上で起きる品質の課題にも取り組んでいるとし、すでに案内されているように5Gエリアの端で通信品質が低下してデータ通信が止まる事象であるパケ止まりに対してネットワーク装置をチューニングする品質改善を行っています。

これまで実施してきたパケ止まり対策のチューニングは3種類で、(1)5G通信中に4G電波にもデータを流しやすくする、(2)通信開始時に5G電波品質が悪い場合に4Gを活用する、(3)端末に割り当てる電波の周波数幅を最適化して上りの電波を届きやすくするというもの。


その結果、トラフィックデータの監視で改善が確認できており、エリアの端では失敗することがあった5G接続成功率は約10%改善し、これによって5Gデータ通信の流量も約30%ほど増加したということです。とはいえ、まだパケ止まりは完全に解消したわけではなく、エリアは“生もの”であり、刻々と変化するため、それらに対して常に対策を行い続けているということです。

そして新たな対策としてAIを活用したビッグデータ分析や申告情報など、継続的な取り組みで効果を実感してもらえるように新たなチューニングも予定しており、5G電波をより効率的に活用できるように送信時の通信速度を改善する施策を今年度中に実施するとしています。

具体的にはタイムスロットの一部で送信時の制御信号のみを送っているような部分があったものの、これを制御信号+ユーザーデータを流すことによって送信時の高速化を図るとのこと。その他、同社では今後もより快適に利用してもらえるよう品質の向上に努めるとしています。





そうした中で新たに5GにおいてSA方式に対応したサービスを12月13日から開始したとのこと。SAは当初は法人向けのみで、来夏からは一般向けのサービスも開始予定となっており、来夏には5G SA対応スマホも投入予定であることが明らかにされました。

2020年3月の5Gの商用サービス開始からこれまで提供してきたノンスタンドアローン(NSA)方式と比べ、4Gの装置を流用せずに済むため、NSAでは3つの装置が必要だったのに対し、SAでは新たに5Gコアを導入することでよりシンプルなネットワーク構成になります。



またSAによって今後は5Gをさらに高速化していくほか、SAならではの技術となるネットワークスライシングを活用し、5G導入時の目的のひとつである社会課題の解決には高速・低遅延に加えて高信頼などの要求条件への対応が必要となっていますが、これらのニーズに対応する手段として活用するということです。

ネットワークスライシングはネットワークを分割してスライスごとに特徴付けることが可能となるため、例えば、スライス1は大容量、スライス2は低遅延といったネットワークを提供することが可能になり、ネットワーク全体にスライス技術を適用することによって多様なニーズに対応可能となるとしています。



特に法人向けではスライスの通信性能を柔軟に切り替えたり、全体の通信リソースを効率的に活用できるようにコントロールするE2Eのインテリジェントなシステムを提供することによって多様なニーズに応えられるようなネットワークの進化を継続していくとのこと。

一方、5G SAが利用できるエリアについてはまずは限定エリアから提供され、一気に面展開で広げるよりも法人向けにそれぞれの用途の中でどのようなことを解決すべきかでひとつひとつ進めており、エリアをさらに広げる必要があれば、それに応えていくとし、そのためには暫定局や移動基地局車もあるので、用途に応じて構築していくということです。


今後のSAの普及によって無線区間ならスループット向上や低遅延化、安定性向上などが行え、スライス技術によって個人向けの複雑な設定ではなく利用状況に応じて細かなニーズに対応するための設定が行えるようになるということです。なお、5G SA開始当初は最大通信速度が受信時最大1.7Gbps、送信時最大143Mbpsとなっています。

また5G SAの開始当初は専用データ端末を1機種提供し、MECとしてドコモオープンイノベーションクラウドやソリューションを7つ提供するとのこと。今後もさまざまな分野のパートナーと連携して、声を聞きながら進めていき、すでに41社と5G SAの利用に向けてエリア化などの準備を進めてきたとのこと。




活用予定事例としては東京女子医科大学や日立製作所、TBS、カラーが挙げられ、遠隔医療や取材、アニメーション作業のテレワーク・リモート化などに用いられるとのこと。なお、5G SAの法人向けサービスの料金や申込については全国のドコモ法人営業担当者に問い合わせるよう案内されています。

なお、来夏開始予定の個人向けサービスについては現時点では詳細を検討中だとし、5Gエリアではない場合に4Gや3Gへのハンドオーバーの挙動や5Gによる音声通話(VoNR)への対応をどうするのかといったことを含め、来夏のサービス開始の発表に合わせて案内する予定だということです。











記事執筆:memn0ck


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